世間(せけん) | 二文字熟語

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漢字の中には、その文字を超越した深い意味思いが込められていることが多くあります。日頃何気なく読んでいる数々の言葉の中に、脈々と流れている日本精神を読みとろうと努めてみませんか。とても、興味深い事実に気がつくはずです。

苦笑
 今日の言葉は、世間(せけん)です。

 世渡りという言葉がありますが、いろいろなしがらみの中で生きている私達の周囲には、さまざまな障害が立ちはだかっています。その障害を上手に乗り越え、あるいは避けながら、身を守り、それぞれの人生を生き抜いていく。仕事をそつなくこなしていく、これが世渡りということだと思います。この世(よ)とは、いわゆる世間(せけん)の事です。とりわけ難しいのは、人と人との関係だと思います。わが国の人口は約1億2000万人。同じ日本人であっても、親の影響、周囲の人達の影響、さらには人生経験の中で培われてきた価値観には大きな違いがあるとります。まさに、ここに世間のしがらみという障害を乗り越えていく難しさがあるんだと・・。

 さて、世間(せけん)とは。世(せ)の意味は、人が形作るものとしての”生活の場”、人が生活を営む期間等の事です。また、間(けん)とは、物と物との間、へだたり、ちょうど良い機会等の意味となります。この2つの文字からは、人が形作る生活の場であって、なおかつある一定の隔たりを持ちながら維持している社会の事をイメージできます。ウィキペディアの解説では、「世間(せけん)とは、仏教用語であり、出世間(しゅっせけん)とあわせてこの世を二分して見る言葉である。移り変り、破壊を免れない迷いの世界という意味である。さらに、日本ではこの用語は一般名化して、この世、世の中、社会のことを表す用語として使われている。」とあります。意外にも、もともとは仏教用語であったんですね!

笑顔
 私たちが生きている社会のことを世間(せけん)というようですが、仏教用語の意味から考えるに、まさに迷いの世界、煩悩に悩む人々が暮らすこの世の事を意味してます。渡る世間に鬼はない・・という言葉がありますが、TV番組で、それをひねって”渡る世間は鬼ばかり”なんていうタイトルのドラマがありました。いずれも、世間のもつ意味を反対の側面から表していると感じます。