0046 お寺さんって消費税を払うの? | パピルスから電子文書へ

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文書名 宗教法人の税務について
文書番号 0046
作成日 2013/08/31
ジャンル 消費税法

Ⅰ 事例

① 消費税の課税事業者であるA宗教法人は、本年度において本堂の改修のために信者から寄付金を募り、本堂を改修した。A宗教法人の本年における収入と支出は次の通りであると仮定する。消費税の取扱いは?
②収入  駐車場収入 2,100万 寄付金収入3,000万
 支出  本堂改修工事 4,200万

Ⅱ 取扱い

簡単に言うと、原則の方法で計算すれば本堂の建設費に係る消費税が還付になってしまいます。
しかし、収入金額の半分以上が寄付金です。その寄付金に対応する部分まで還付を受けることができるとすれば、あまりにも有利であるといえると思います。そこで、消費税法では、課税売上に対応しない寄付金や補助金などに対応する部分について、仕入税額控除の制限を加えています。

●原則的な取扱い
① 消費税の可否区分
   駐車場収入 2,100万 ⇒ 課税売上
   寄付金収入 3,000万 ⇒ 不課税
   工事支出  4,200万 ⇒ 課税仕入れ

従って、原則の消費税額は次のようになる。
㋑課税標準額に対する消費税額  2,100万×4/105 =80万
㋺控除対象仕入税額 4,200万×4/105 =160万
㋩ 差引税額 ㋑-㋺ 160万-80万=80万 還付

●制限を加える場合
 宗教法人Aは法別表第三に掲げる法人に該当し、特定収入割合が5%を超えることから、特定収入に係る仕入税額控除の特例が適用される。
【判定】
(イ) 資産の譲渡等 2,100万×100/105 = 2,000万
(ロ) 特定収入  
㋑ 使途特定 0
㋺ 使徒不特定 寄付金3,000万
㋩ ㋑+㋺ = 3,000万
(ハ) ㋑特定収入割合
  3,000万÷{(イ)2,000万+ (ロ)3,000万}=60% >5% ∴適用あり。
    ㋺調整割合  特定収入割合の計算式と同じなので調整割合は60%となる
(ニ) 特定収入に係る課税仕入れ等の税額  
    ㋑ 使途特定  0
    ㋺  (課税仕入れ等の税額160万 - ㋑ ) × 調整割合60% =96万
    

(ホ)控除対象仕入税額  本来の税額160万 - 特定収入の税額96万 =64万
(ヘ)差し引き税額  80万-64万 =16万 納付


Ⅲ 根拠
[1] 事業者の意義
事業を行う個人及び法人をいう。宗教法人は法人なので事業者に該当する。

[2] 課税の対象
国内において事業者が行った資産の譲渡等には消費税を課する。ゆえに宗教法人が行った資産の譲渡等にも消費税が課税される。

[3] 非課税
土地の貸付けは非課税となる。ただし、貸付期間が1月未満の場合及び駐車場などの施設としての貸付けを除く。ゆえに、宗教法人が行った駐車場の貸付けは消費税の課税対象となる。

[4] 課税仕入れの意義
事業者が事業として他の者から資産を譲り受け、借り受け又は役務提供を受けることをいう。本堂は宗教施設に該当するが、宗教法人であるAが事業として修理という役務提供を受けることに該当するので課税仕入れとなる。

[5]特定収入とは
資産の譲渡の対価以外の収入で一定のものをいう。寄付金は資産の譲渡の対価に該当せず、また出資の払戻しなどにも該当しないため特定収入である。

[6] 特定収入に係る消費税額の控除の特例
(1) 内容
  国、地方公共団体の特別会計、法別表第三に掲げる法人又は人格のない社団等(免税事業者を除く)が課税仕入れ等を行う場合において、その課税仕入れ等の日の属する課税期間に特定収入があり、かつ、特定収入割合が5%を超えるときは、簡易課税制度の適用を受ける場合を除き、仕入税額控除の特例が適用される。
(2) 計算方法
  課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、原則により計算した課税仕入れ等の税額の合計額から特定収入に係る課税仕入れ等の税額として一定の方法により計算した金額とする。
  この場合において、その金額は、その課税期間における仕入に係る消費税額とみなす。

Ⅳ 追加情報  宗教法人の行う事業についての消費税の可否区分
① 葬儀法要に伴う収入 不課税       理由 役務の提供の対価ではない。事業性の有無。
② お守り、おみくじ等の販売  不課税   理由 通常商品の販売の利益率からかけ離れており寄付に近いから
③ 暦、線香、ろうそく、供花   課税
④ 永代使用料による墓地等の貸付け 非課税   理由 土地の貸付けに該当する
⑤ 墓地、霊園の管理  課税  理由 管理という役務提供
⑥ 駐車場の経営  課税
⑦ 宿泊施設(宿坊) 1泊2食1500円以下  不課税  理由 よくわかりません。宗教活動だからか??
⑧ 神前結婚、仏前結婚  不課税   理由 役務提供の対価ではなく寄付
⑨ 挙式後の飲食、挙式のための衣装貸付け  課税
⑩ 幼稚園の経営  非課税
⑪ 付属する博物館や美術館、寺院内の常設所蔵品の観覧  課税
⑫ 新聞、経典出版、講話   課税
⑬ 生花、茶道、書道などの教授   課税
⑭ 拝観料  不課税

なおろうそくや線香などで参拝に伴うものは不課税となります。
また、上記事業のうち 不課税のものは 特定収入に該当して、上記の課税仕入れの制限規定の適用がある可能性があります。

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