反復着床不全をRIFと呼びます。今回の論文ではRIFはほぼ存在せず5%未満と述べています。
以下論文の内容です。
国際的な生殖医療の専門家たちは、2022年7月1日にスイスのルガノで集まり、反復着床不全(RIF)を見直し、その診断と適切な管理を定義しました。
システマティックレビュー(メタ分析なし)により、2015年1月から2022年5月までに出版された研究をレビューした結果、RIFは過大評価され、過剰診断され、過剰に治療されていることが明らかになりました。
本当のRIFは非常に稀で、不妊のあるカップルの5%未満で発生することが分かりました。
そのためほとんどの場合安心して従来の治療を継続することが推奨されます。
真のRIFの生物学的決定要因は一部の不妊症患者に存在する可能性がありますが、現在の検査では特定できていません。
このため、少なくとも3回の染色体正常な胚盤胞移植(または年齢に応じたPGT検査をしていない胚の同等の回数)に失敗するまで患者にRIFの診断をすることは合理的ではないとされています。
実際にARTの成功に影響を与えるRIFは非常に稀で、ほとんどの場合で安心して従来の治療を続けることが適切です。
この論文の言いたいこと
反復着床不全(RIF)が不妊カップルにとって非常にまれな現象であると結論づけています。
そのため、少なくとも3回の染色体正常胚の移植に失敗するまでは、患者にRIFの診断を下すべきではないと述べています。この見解は、現在のところ続けられている治療法を継続することがほとんどの患者にとって最も適切な対応であると提言しています。
『RIFはほぼ存在しない』と言い切るなかなか挑戦的な提言と言えますが、27名のこの分野の専門家がスイスに集まり170の論文をレビューして結論付けていますのでエビデンスはかなりのものです。
Fertility and Sterility® Vol. 120, No. 1, July 2023
Recurrent implantation failure:reality or a statistical mirage?
Consensus statement from the July 1, 2022 Lugano Workshop on recurrent implantation failure