不妊治療を受けたカップルの子供は体重や血圧、コレステロール値に関する健康指標が悪化する傾向がある | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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体外受精で生まれた子供に健康で何らかの影響を与えるかどうか不安があると言う方が少なからずいます。今回の論文では正にこの辺りを調べており興味深い内容なので紹介します。

今月号の論文です。

 

親の不妊が子供の心血管代謝の経過に違いをもたらすかどうかを評価しています。

対象となったのは、UK、ポルトガル、アムステルダム生まれの子ども合計14,609人です。

親の不妊は妊娠までの時間が12ヶ月以上かかることで定義されました。

結果として、不妊のカップルの子供は、25歳の時点でBMIが高く(平均予測レベルの差: 1.09 kg/m2)、拡張期血圧が25歳で若干高いことが示唆されました(1.21 mmHg)。

また、LDLコレステロールは年齢とともに高くなる傾向があり、HDLコレステロールは低くなる傾向にありました。

17歳の時点で、不妊のカップルの子供はウエスト周りと収縮期血圧が高くなりましたが、これらの差は年齢とともに薄れました。トリグリセライドとグルコースレベルの経過にはグループ間の違いは観察されませんでした。

 

結論として、不妊のカップルの子供は、不妊でないカップルの子供と比較して、年を追うごとにBMIが高くなり、血圧レベルが若干高くなる傾向があり、LDLコレステロールが高く、HDLコレステロールが低くなる傾向があります。

 

 

論文の言いたいことのまとめ

不妊治療を受けたカップルの子供は、不妊でないカップルの子供と比べて、体重や血圧、コレステロール値に関する健康指標が悪化する傾向があるという結果を示しています。

具体的には、BMIが高く、LDLコレステロール(悪玉コレステロールとされるもの)が多く、HDLコレステロール(善玉コレステロールとされるもの)が少ないという結果が見られました。

これらの違いは、子供が成長するにつれて顕著になるという点で、親の不妊が子供の長期的な健康に影響を与える可能性があることを示唆しています。

 

Fertility and Sterility® Vol. 121, No. 5, May 2024

Parental infertility and offspring cardiometabolic trajectories: a pooled analysis of three European cohorts