良好胚を移植しても妊娠しません。腹腔鏡手術を勧められましたが、腹腔鏡手術でどうして妊娠する可能性が上がるのでしょうか?
この様な質問がありましたのでお答えします。
良好胚を移植しても妊娠が継続しない方の多くに腹腔内、卵管内、子宮内に慢性的な炎症が起きており、これが原因となり着床を阻害していることがわかっています。
原因はクラミジア感染、子宮内膜症、過去にオペをしたことがあるなどが挙げられます。卵管の先天的な奇形やそれ以外の感染症もあります。生活習慣が悪い場合通常の生理が原因で炎症が起こることもあります。
腹腔鏡手術ではこれらの慢性炎症を細かく見ながら治療ができるという大きなメリットがあります。
これは年齢によらず全ての方に効果があることです。
具体的には大量の生理食塩水で洗浄すること、子宮内膜症を一つ一つ電気メスで焼灼すること、卵管周囲の癒着を丁寧に剥離すること、卵管や卵巣周囲の様々な疾患を取り除くこと、子宮内の微小なポリープを取り除くことが挙げられます。
これらは全て慢性的な炎症が原因となり起こります。
慢性子宮内膜炎は抗生剤で治るケースもありますが難治性の腹腔内の炎症は治りませんし、癒着は当然抗生剤では剥がれません。
例え年齢が上がっていても、腹腔内をきれいにして受精卵を最高の状態で受け入れる事が効果がないとは言うべきではありません。
保険が通り日帰りである低侵襲の腹腔鏡手術という方法があるにもかかわらず体外受精のみで治療を進めていくことは無理があります。
どのような病気も内科的な治療で結果が出ない場合には外科的な手段にでます。
自身の施設で行っていないことや医師自身に経験がない事だとしても、それが患者さんの為になることであるならばいろいろな治療方法を組み合わせて柔軟に最も良い治療を提案するのが医師のすることであると思います。
こちらの動画がかなりわかりやすいかと思います。
腹腔鏡手術に関しては過去の腹腔鏡手術というテーマに度々掲載していますので参考にしてください。
以前も一度記事にしておりますので以下に再掲リンクします。