35歳以上で腹腔鏡手術を受けるメリット | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

不妊治療には二つの大きな治療方法があります。

一つは体外受精で、もう一つは腹腔鏡手術です。


以前の記事でも何度か取り上げておりますので参考にしてください。


体外受精 vs 腹腔鏡手術


体外受精と腹腔鏡手術



腹腔鏡手術は不妊の原因を取り除くためとても強力な治療法です。


ただ35歳以上の方には年齢的なこともあるため、卵管以外の問題もあり、腹腔鏡ではなく体外受精が良いといわれるケースがあります。


今回は35歳以上でも腹腔鏡手術を受けるメリットについて記載したいと思います。



卵管水腫がある場合

この場合には年齢を問わず腹腔鏡手術を受ける必要があります。いくら良い胚を戻しても卵管水腫がある場合には妊娠率は有意に低下します。


②体外受精の間の周期に自然妊娠の可能性が上がる

採卵は毎月行うわけではありませんので、採卵を行わない周期に自然妊娠する可能性が上昇します。人工授精を行う際にも効果があります。

自然周期での凍結胚移植の際の妊娠
自然排卵を利用するため、癒着剥離を行っておいた方が自然妊娠の確率が向上します。


ただ腹腔鏡手術にはデメリットがあり、麻酔を受ける事、小さいものの傷が残る事、体外受精よりもワンテンポ遅い治療であること、、、


この辺りのメリット、デメリットを示したうえで、その方にとって最適な治療方針を示すことが一番大切であると考えています。