体外受精と卵管留水腫 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

女性の不妊原因の中で最も多いのが卵管因子です。

卵管因子の場合には、体外受精により比較的容易に妊娠できるケースが多いです。しかし卵管留水腫が認められる場合には治療が必要と言えます。


卵管留水腫とは卵管が閉塞して、卵管内に分泌物が貯留した状態をいいます。

原因はクラミジア感染等によるものが多数を占めています。

経膣エコーにて卵管が腫大している事から診断されます。


卵管留水腫がある場合、貯留した卵管液が子宮内へ流入(逆流)して子宮内の環境が悪化する事により着床しにくくなることが分かっています。


エコー上卵管水腫が認められた場合には、その周期での胚移植は中止にして、早急に腹腔鏡手術を行う事が望ましいと考えられます。


術式は卵管開口術、卵管切除術、クリッピング等があります。


卵管開口術により約7割に卵管の疎通が回復され、2~3割程度の自然妊娠も得られるため卵管留水腫の第一選択は卵管開口術と考えられます。


ただし卵管開口術の場合、卵管の再閉塞や子宮外妊娠の恐れもあるため、卵管切除を選択する方が良いケースもあります。


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