体外受精と腹腔鏡手術
腹腔鏡手術は卵管の癒着や腹腔内の環境を整えることができ、術後に自然妊娠する確率が上がるため不妊治療において非常に有効であると考えています。
ただ手術であるため侵襲が伴います。
侵襲とは、全身麻酔を受ける事、小さいながらも傷が残る事、痛みが伴うことなどです。
そのためだれでも気軽に受けるべきであるとは思いません。
オペを受ける以上それにより妊娠する確率が上がらないことには意味がないと考えます。
ここで問題になるのが年齢です。
腹腔鏡手術はあくまで卵管の癒着を剥離して、内膜症の治療をして、腹腔内を洗浄して、卵管の流れを良くするものです。オペで卵子の質を改善することはできません。
妊娠しない原因が卵管の癒着だけであればオペを受けるべきですが、年齢が上がってくると卵子の質の低下が原因となってきます。
つまり卵管の問題だけではないため、35歳以上の方の場合には慎重にこの辺りを説明して理解していただくことが大切になります。
一般的には35歳以上の方には腹腔鏡ではなく体外受精が良いといわれるのはこの辺りの理由からです。
ただ、体外受精の間の周期に自然妊娠する可能性を上げるという目的や、腹腔内の環境を良くすることで妊娠率を上げるという目的も期待できるため、35歳以上でも腹腔鏡手術は効果的であるかと思います。
なお卵管水腫がある場合には 年齢を問わず腹腔鏡手術はとても効果的です。
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