カバサールについて
生理中のホルモン採血の結果でプロラクチンが高い時に、カバサールという薬が出されます。このカバサールについて少し説明します。
カバサールとは
キッセイ薬品が販売している薬(薬価 0.25mg錠 = 90.6円)で、主成分はカベルゴリンです。カバサールは体内のドパミン受容体というタンパク質を活性化させる薬で、ドパミン作動薬と呼ばれています。
プロラクチンは、脳下垂体から分泌されるホルモンで、出産後「母乳を作れ」という指令を出しているホルモンです。
出産していない女性がプロラクチンを大量に分泌しているケースを高プロラクチン血症と呼びます。詳細は高プロラクチン血症の記事 を参照して下さい。
ドパミンは、プロラクチンの分泌量を下げる働きを持っています。そこで、カバサールの出番になります。カバサールは、ドパミン受容体を刺激して、ドパミンの働きを強める作用を示します。その結果プロラクチン分泌が低下します。
カバサール服用方法
1週間に1回(同一曜日)就寝前に服用します。1回1錠(主成分として0.25mg)から服用を始め、臨床症状を観察しながら、少なくとも2週間以上の間隔で1回量を1錠(0.25mg)ずつ増やし、維持量〔標準1回量1~3錠(0.25~0.75mg)〕が定められます。年齢、症状により適宜増減されますが、1回量の上限は4錠(1.0mg)です。
妊娠が確認されたら原則として内服を中止します。また産後に授乳を望む場合は投与再開を遅らせます。
カバサールの副作用
副作用としては吐き気があげられます。服用していると慣れてきます。吐き気がひどい場合は吐き気止めと併用します。その他便秘、めまい、ふらつきも報告されています。
カバサールの他の使い方
①断乳をしたい時に用います。
産後授乳を希望しない場合ですぐ母乳を止めたい場合に用います。
産褥性乳汁分泌抑制:通常、成人は4錠(主成分として1.0mg)を胎児娩出後に1回のみ食後に服用します。これにより母乳が完全に止まります。
②OHSSの治療
昨日の記事(OHSSの予防 )でも説明しましたがカバサールがOHSSの治療効果がある事が論文で証明されています。
Youssef MA, van Wely M, Hassan MA, Al-Inany HG, Mochtar M, Khattab S, van der Veen F.
Hum Reprod Update. 2010 Sep-Oct;16(5):459-66. Epub 2010 Mar 30. Review.
ちなみに
カバサールはもともとパーキンソン病という病気の治療薬として開発されました。パーキンソン病では脳の黒質からのドパミンの分泌がとまってしまい、体の運動がうまくコントロールできなくなります。カバサールはドパミンと同じくドパミン受容体を活性化することができるため、不足したドパミンの働きを補う作用を示し、パーキンソン病の症状を抑えることができます。