TOEICのリスニングはなぜ4問も間違えても495点が取れるのか、という点について日ごろから不思議に思っている方もおられると思います。
私はこの点についてすでに2009年9月にTOEIC運営委員会に質問をして、先方から下記の回答をいただいておりますので参考にしてください。
「TOEICスコアは素点ではなく、換算点に換えてスコアを算出している。そしてこれは、テストの難易度によるスコアのブレを防ぐためで、『イクエイティング』というテスティングの手法である。しかも、TOEICテストは第1回テスト(1979年)からこの手法を続け、評価スケールを一定に保っている。」
私はこの内容に関しては理解できましたが、依然として理解できない点が1つありましたので、当時、先方に以下の質問をさせていただきました:
<質問>
「イクエイティングという手法を使っているのであれば、下記の2つのケースのどちらも起こりうるはずです:
ケース① リスニングは4~5問間違えても495点が獲れ、リーディングは全問正解しなければ495点が獲れない。
ケース② リスニングは全問正解しなければ495点が獲れず、リーディングは4~5問間違えても495点が獲れる。
しかしながら、私の60回に及ぶTOEIC受験経験では、ケース①はしばしば起こっているが、ケース②は今までに一度も起こったことがありません。これは何故でしょうか?」
これに対し、TOEIC運営委員会の方からのお答えは以下のようなものでした:
「ご指摘の通り、上記2つのケースはいずれも起こりえます。しかし、TOEICの問題と解答は非公開なので、今までのスコア算出結果がどうであったかを検証することはできません。」
結論を言うと、その理由はよくわからないようです。ただ、私が60回受験した中で、ケース②が今までに一度も起こったことがないことは事実です。実際、今までに「リスニングで1問だけ間違えて495点が獲れなかった」という人を見たことも聞いたこともありません。特に新TOEICになって以来、何問間違えたかはスコアレポートのABILITIES MEASUREDの欄を見ればかなりの精度でわかるようになりましたので、間違いありません。
ただ、一つ気付いたことは、先方からいただいた2009年版の資料を見ると、TOEICがスタートした1979年から1982年までの4年間の公開テストのリスニングのスコアとリーディングのスコアは毎年ほぼ同じで、それ以降は今日までずっと、リスニングスコアがリーディングのそれを上回っているのです。
これはあくまで私の想像ですが、TOEICが30年以上前にスタートした当時は、受験者のリスニング能力はそれほど高くなかったために、リスニングの採点基準を甘くしたのではないかと思います。いわゆる、「下駄を履かせる」というやつです。そして、そのときに設定した基準が、今まで途中で見直されずに今日まで適用されていると見るのが妥当でしょう。
いずれにしてもこの件については、私も含め、現在日本でTOEICを教えているトップクラスの講師ですら本当の理由を知らないわけですから、TOEIC主催者側ももっとわかりやすいスコア算出基準を開示してもらいたいですね。
満点講師Kazuが教える
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