愛と勇気の物語② | 鬼ですけど…それが何か?

鬼ですけど…それが何か?

振付師KAZUMI-BOYのブログ


富岡町を訪れる前に、Mくんが言いました。

「俺この前、福島県のホームページを見たんだ。そしたら、4年前にお参りした慰霊碑の場所が移されてた。」

「え?なんで?」

前回、お線香をあげさせて頂いた慰霊碑は、海を背にして、町を見守る様に、富岡駅に設けられていました。


そこは慰霊碑を設置するに、最適な場所の様に感じていた私は、慰霊碑の移動が腑に落ちませんでした。

「町の様子を見に行く前に、慰霊碑に行こう。でも、びっくりしないでな・・・」

Mくんの表情は沈んでいました。

「なんでびっくりするの?」

解せない私。

「ん・・・まぁ・・・あるモニュメントがあってさぁ・・・」

そのまま黙り込むMくん。

「あるモニュメント?」

「うん。警察署の裏側に公園があるんだけどさ、その公園に移設された時に、一緒にまつられたんだ。」

「で?なんでびっくりするの?」

暫く黙っていたMくんが言いました。

「ホームページでそれ見た時・・・俺、涙出ちゃってさぁ・・・」

私はMくんのこの言葉に、困惑しながらも、何か、覚悟をしなければならないと感じました。


双葉警察署の裏にある公園は、遊具も無く、小さな校庭の様な公園でした。


車を降り、公園に足を踏み入れた私は、慰霊碑が何処に設置されているのか、全く分かりませんでした。

「何処?何処に設置されたの?」

移設された事に、あまり納得の行かない私は、多少苛立ちながらMくんを振り返りました。

「あそこ。」

Mくんが指さした方を見ても、モニュメントらしき物を認識出来ず・・・

私はMくんが指さした方へと歩き出しました。

「!!」

公園の入り口から祭壇まで、半分程歩いた所で、私の足は動かなくなり、涙が溢れて来ました。

まだ、何故『それ』が慰霊碑と共に設置されているのか?その理由すら知らないにも関わらず、胸を痛烈な閃光が貫いたのです。


そこにあったのは・・・

1台の車・・・

・・・だったのです。