何故か朝方に夢枕で彼女が不思議

と出てくる。

ぼくは、どうしても女と逢って

おきたいと思い、連絡をとった。

 

一緒にゆくことになったゴルフ場。

ここは、ぼくには忘れられないコ

ースだった。

 

 

新緑の山々に囲まれたコースでは

鶯(ウグイス)がよく啼いていた。

樹から樹へと姿を隠して移り、

の頂きで鳴いている。

全然泣かずにいるのもあれば、只

勢いよく啼くだけのもあり、また

上手く泣くのもあり鶯の泣き方も

色々あるようだ。

 

人生何が起こるかわからない。

彼女は突然父が亡くなり、故郷に

帰った。その後東京の大学病院勤

務となり、現在医療研究者として

活躍しているようだ。

一方、ぼくはというと、和歌山か

ら京都に転勤した後大阪の病院で

療養中の身であり、医師に余命数

か月と訊く。

 

 

あれから30年経った。

月日が経つのは夢のようだ。

会社の関係のゴルフ大会で、2人

が賞品・受付などいつも同じ係を

担当しすることで、親しくなって

いった。

あの頃のぼくたちは若かった。

紀の川沿いのゴルフ場でコンペが

あったその帰途、以心伝身で、モ

ーテルに入った。

激しく体をむさぼるように求め、

幾度か彼女が声をだして泣くのを

耳にし、朝方にCの字の形になっ

て、いつまでもとまどろんでいた。

 

 

 

その後彼女と逢瀬をかさね、親密

な関係になっていった。

季節は移りときが過ぎ去り、彼女

は、その後結婚し、子どもを出産

し離婚したと耳にする。

 

人の命は、花の命と同じで短い。

彼女の子どものサッカーの試合を

観たあとの帰途、彼女からあの子

がぼくの子だと初めて聞かされる。

これがぼくに残してくれた最後の

言葉になった。

 

彼女の庭には秋に咲くサルビアの

花が咲き、強い風に揺れている。

四季がなくなってきたのか、気も

おかしくなり、ウグイスが綺麗な

声で泣いていた。

 

 

 

夢と現実がわからなくなってき、

鶯の声を法~法華経、法華経と

拝んでもらっている夢枕を視て

汗をかき目覚めた。

担当医の彼女が部屋に入ってきて、

性依存症のぼくに「何か夢をみて

いたのですか」と優しく尋ねてい

ただく。

30年も前のことが昨日のよう

で、最近妙な夢をみるようにな

った。

 

 

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