コロナ禍、ウクライナ侵攻があ
り、米国で依存症が話題になり、
性依存症が蘇ったぼく。
現在、療養中の身で担当医の付
き添いのもと近くの公園を散策。
咲いた花木を見、その樹の名前
を教えてもらい知ることが多く
なった。こうして10年経ち、
花に興味をもち、花を人と重ね
たり、またひとを重ねては、夢
のような姿を夢で見ることが多
くなっている。
何とも言えない香が漂ってくる。
牡丹だそうだ。
薄い桃色の牡丹を見かける。
牡丹
どこかで見かけた似た花だ。
この牡丹に似た花、公園では満開に
なっていた八重桜だ。
八重桜または牡丹桜
八重桜といえば、江戸時代の枕絵
にもある。
公家
くげのうた手まらといふけれど
手よりまらより ぼぼのことじゃ
それじゃによって ぼぼ宮びとの
まい 長うたをもうたったものじ
や
女房
こちゃ まらのミやこの八重桜
が よいわな サアさ よやさ
のサ
喜多川月麿画(半紙本・文化期・1804-1817)
平安の頃の源氏物語や百人一首の歌
に詠まれている桜は、すべてが八重
桜で、牡丹桜とも呼び、同じ花にな
のに、名が違い、思い違い、かん違
いをすることが多い。
加えて、白色の花の牡丹、白牡丹が
ある。
白牡丹
この白牡丹。井原西鶴の浮世草紙
「諸艶大鑑」(副題:好色二代男)
のなか、大尽の世伝が太夫たちに
花を持って廓の花競い遊びをする。
野田の藤、生玉の若楓、佐太(現
守口市)の芍薬、浅沢のかきつば
た(住吉村浅沢沼)、中津川(長
柄川)の花菖蒲、そして御堂(南
御堂)の白牡丹の花をもってくる
太夫がいる。
「諸艶大鑑」(新町廓・吉田屋の太夫らの花競い)
初夏の匂いに包まれた牡丹。
季節は4月。
ところは二階の稽古部屋。
卯月(4月)にちなみ詠む歌。
花の名も よしや卯月の 色すがた
花の名もよしや卯月の色すがた(「風流十二季の栄花」磯田湖龍斎)
稽古屋の二階、男が女師匠に稽古
をつけてもらっているが、男は心
がうずき、女師匠に仕掛けると、
女師匠
「エゝも、いっそどうしょうのう」
男
「おれも もういくぞ 〱」
今は4月。
窓の外には卯花が咲き乱れ、空に
は初夏のホトトギスが鳴き声を発
しながら飛んでゆく。
白牡丹
咲いた花木を見、季節の移ろいを
感じ、はや10年の年月を経た。
何とも言えない香が部屋に漂って
くる。担当医の艶女医だ。
ベッドのぼくに「今日はどんな夢
を見ましたか」と、診察してもら
う。
2024.4.14
2024.4.15
2024.4.16
2024.4.17