街に、早や満開の白梅が咲いていた。
ここは関西国際空港のある街で、かつ
てコロナで人の往来が無くさびれてし
まっていたが、元に戻ってきた駅前商
店街を歩き、近くの神社や寺を訪ねて
みた。
泉佐野駅
泉佐野駅(南海電車)駅前は、かわっ
た。駅を覆うようにに高いホテルのビ
ルが建っている。古くからの商店街は
平日の昼過ぎだが人を見、活気がある。
泉佐野駅(西口側)
上善寺(燈誉良然)
商店街の一角にある上善寺。
本尊は阿弥陀如来座像で、永正9(15
12)年燈誉良然(1472-1559)に
より創建される。
燈誉良然(とうようりょうねん)上人
は、下総国(現茨城県)・三河国(愛
知県)で修業後に堺に来てから約50年
泉州の岸和田の西福寺(春木)・極楽
寺(極楽寺町)などを建立。
天文13(1544)年宗祖法然上人の3
30回忌に、大法会の唱導師を勤めたの
ち、総本山知恩院の住職となる。
白道山西岸院上善寺(浄土宗知恩院派、中本山格。泉佐野市栄町10-5)
上善寺(観音堂)
上善寺の観音像は、江戸時代に波の底か
ら漁師の網に引き上げられたもので、そ
の後、境内の観音堂に水かけ観音として
祀られ、毎月18日に観音様の縁日が開
かれていたという。
上善寺の観音像
上善寺(泉州大仏)
泉州地区の浄土宗本山になる上善寺。
明治維新で、日本全国に廃仏毀釈の嵐
が吹き荒れ、各地で仏像など破壊され、
地方の末寺の存続が危ぶまれた。
このときに上善寺の末寺安養寺の大仏
が壊される寸前に上善寺に安置された。
この大阪府下で最も古くて大きい大仏
は、上善寺創建500年を契機にこれを
「泉州大仏」と称するようになる。と
いう。
上善寺の泉州大仏
天文3(1534)年に現在の佐野の町に
移転してきた上善寺。この寺の近くに
は春日神社がある。
春日神社
春日神社は、豊臣秀吉の根来攻めで焼
失。
のち再建後佐野の総社となり、神社合
祀(明治41-42年)のとき29の神社が
ここに合祀される。
境内には、江戸時代に此の地を拠点に
廻船問屋で財を成した食野・唐金一統
の献燈がある。
春日神社(大阪府泉佐野市春日町4-12)
春日神社(食野・唐金家)
豪商食野家は、江戸時代中期から幕末
まで廻船業で巨大な富を築き、本家・
分家・唐金家などで食野一統として、
堀江(現大阪市)を中心に活動してい
た。
当時の全国の長者番付け「大日本持○
長者」には、江戸の大関・三井(のち
三井財閥、現在の巨大企業)とならび
筆頭であった。
ところが幕末に幕府・各藩の経済が揺
らぎ、時代は徳川家から薩・長藩閥に
よる新政府に移り、各藩に膨大な貸付
をしていた食野・唐金氏は、借金が返
済されずに没落する。
春日神社には現在食野・唐金家が寄進
した「今村大明神燈籠」が残されてあ
る。
前灯篭:食氏真澄(食=食野)建立(享保10年・1725年)
後灯篭:唐金建立(宝永2年・1705年)
榮福山妙浄寺(日蓮宗)
榮福山妙浄寺は春日神社の向かいにある。
榮福山妙浄寺の山門
榮福山妙浄寺の山門傍に、はや白梅が
咲く。
参道の左に本堂、正面に鳥居がある。
榮福山妙浄寺の参道
榮福山妙浄寺
寛文2(1662)年一乗院日縁上人の開祖。
日縁は、「法誉」と号し、知恩院の末寺・
上善寺で修業を重ね万治年間に一乗妙法に
ふれ、日達上人(泉佐野妙光寺一如院)の
感化を受け、法華経の真髄を学ぶ。
上善寺を離れ、妙光寺にのぼり、翌年寛文
2年現在地に建立。
妙浄寺本堂
当地一円に法華経を広め、寛文4(1664)
に遷化。寛延2年本堂を焼失、翌年3年慈
照院12世が再建し、現在に至る。以来31
0余年、現在歴代35世が法灯を継承。
最上位経王稲荷(岡山県最上稲荷)大菩薩を祀る堂
妙浄寺(梵鐘)
山門横の鐘桜は大正3(1914)年に再建
されたものだが、梵鐘(つりがね)は佐野
の豪商・唐金利範、弟・利重が出資、鋳造
され天和2年春日大明神に奉納される。
明治の神仏分離後に保管され妙浄寺に移さ
れて現在に至る。
榮福山妙浄寺(泉佐野市大宮町11-15)
商店街(参道)
春日神社・妙浄寺、上善寺前の商店街は、
古くよりこれらの寺社の参道に面し、以
来賑わっていた。
春日神社から泉佐野駅の山手(東)側に
ゆく。
南海泉佐野駅(東口側)
春日神社(大阪府泉佐野市春日町4-12)
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