江戸の六大浮世絵師のひとり鳥居清長。

清長は江戸材木町(現在の日本橋)の書

肆(しょし・本屋)白子屋の関口氏の子。

鳥居清長は、役者絵を専門とする画派だ

が、「美南見十二侯」で八頭身の美人画

を描き、絵師として一世を風靡する。

その鳥居清長が描いた江戸の頃の浮世絵

春画『色道十二番』(色摺大判・天明5

年・1785頃作)をみる。

 

<『色道十二番』>

念願の所帯をもった新婚夫婦。このとき、

男と女の関心事は昼夜関係なく、この一

事にあり。

亭主は、裁縫している新妻に昼間から、

仕掛ける。

 

(新妻)

あれさ よしなョ 昼ひなか

阿んま里 ばかばかしい

人が来れハ わるい ハナ

そ モウ  い門そ

(亭主)

このようふに 水(淫水)して いながら

どうも もう こらゑられぬ サア 〱

 

 

若夫婦昼と夜の区別なく

 

<『色道十二番』>

夫婦も、新婚の時期を過ぎ、事をかさねると、

余裕ができ、ゆっくり味わうようになる。

亭主はうしろから女房の片足をもちあげて挑

み、女房は、絵の書き入れに…。

 

(女房)

ヲゝ それいくよ 〱

いつそ フウ 〱

これで ちょうど さんど き(気)やいく

アゝ 〱 ヲゝフウ 〱

 

 

鳥居清長『色道十二番』(お多福や慣れても熟れた味を出す)

 

 

参考(メモ)

ー「江戸の六大浮世絵師」ー

江戸の六大浮世絵師6人とは鈴木春信、東洲斎

写楽、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川

国芳の名が挙げられる。

 

<鈴木春信(1725-1770)>

鈴木春信の春画(「風流 艷色真似ゑもん」)

 

<東洲斎写楽(誕生ー1797?)>

江戸(写楽、歌川国貞の枕絵「吾妻源氏」)ー新東京物語(26)

 

<鳥居清長(1752-1815)>

『色通十二番』

 

<喜多川歌麿(1753-1806)>

「歌まくら」の女ー「艶歌枕撰(「あながう女」)<5>」

喜多川歌麿艶寝言撰<7>ー『歌まくら』の女

 

<葛飾北斎(1760-1849)>

浅草寺(葛飾北斎)ー新東京物語(24)

 

<歌川国芳(1797-1861)>

江戸っ子(日本橋「国芳」)ー新東京物語(29)

 

<年譜>

天明元(1781)年  歌麿「身貌大通人略縁起」(版元蔦屋)

天明5(1785) 年  京伝「艶本枕言葉」、鳥居清長『色道十二番」

天明7(1787) 年  歌麿「三保の松原道中」

天明8(1788) 年  歌麿「歌まくら」

寛政2(1790) 年  「百千鳥狂歌合」(版元蔦屋・歌麿画)

寛政3(1791) 年  京伝50日・蔦屋筆禍

寛政6(1794) 年  写楽「役者絵」

寛政11(1799)  年    歌麿「ねがひの糸口」

文化元(1804)年  歌麿・豊国(初代)・蔦屋(二代)が筆禍

文化3(1806) 年  歌麿没

文化6(1809) 年  石川『飛騨匠物語』(北斎画)

文化14(1817)年   浅草寺(「山東京伝机塚」建立)

天保2(1831) 年  北斎「富嶽三十六景」 

天保13(1842)年    天保の改革

嘉永2(1849)年  北斎没

文久元(1861)年  国芳没

 

 

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