孤独を抱きしめて | 河内大和 Yamato Kochi

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役者・河内大和(こうちやまと)のあれこれ。シェイクスピア道、その極みを追い求めて。

子供の日。
稽古、お休み頂戴して、かねてから待ち望んでいた、大倉孝二さんの一人芝居、
『ゴドーは待たれながら』
水戸芸術館ACM劇場まで観に行きました。

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大倉さんとは、昨年NODA・MAP「エッグ」で共演させて頂いて、その演技に、存在のし方に、計り知れない衝撃を受けた。
特殊な身体。
脱力する観察眼。
飄々として変幻自在。
笑いの関節外し。。
大倉さんの芝居を観ていると、とっても不思議な感覚に満たされる。


さて、ゴドー。
ゴドーは何者か。
そんなことはいい。
ゴドーは待たれている。
ゴドーは待たしている。
ゴドーは待っている。
そこにいる大倉さんは人間の代表だった。

ふざけながら泣いている。
笑いながら冷ややかで。
絶対の孤独を抱きしめる人間の愛おしさ。。

いとうせいこうさんの戯曲の寄る辺なさ、ケラさんの演出の遣る瀬なさ、全てが相からまり、真空のピラミッドを創り出す。

僕は完璧に呑み込まれた。
心地よく食べ尽くされた。

終演して外に出ると、目前にそびえ立つ展望台。
photo:02


このイビツな塔は、人の心だった。
寄って立つところもなく、歪んだまま、真っ直ぐに空に向かう。
孤独のカタチ。

劇場内の2時間は、きっと僕の一生に喰らい付き、不朽のモニュメントへと変わっていくだろう。


コドモの日、
人のコドクは、コドウと共に、
みんなゴドーを抱きしめる。。

(。-_-。)