330.ムダな汗


アルバムのコンセプトにもなっている"清く正しく美しく"のメロディーを取り入れたオルゴール風味のサウンドが印象に残るインストナンバー。


まるで映画のオープニングのような、どことなくゴージャスさを感じさせられるナンバー。


その後の玉置さんのソロコンサートなどでも、このような嗜好のインストナンバーを設ける機会が増えていった。


このナンバーから発展していったのではないかとも考えられる。


その事をふまえると短いインストナンバーではありますが重要なポイントになった一曲とも捉えられるかも知れませんね。



資料1.アルバム”安全地帯XII"引っ提げて、安全地帯は全国ツアーも展開された。現在では珍しく映像作品など未発表のままになっている。アーカイブ作品のリリースが待たれる。



331.R-『★』指定


アマチュア時代にスケジュールを表記する際、練習を"R"を表記していた安全地帯。


その"R"をタイトルに加え、彼等がアマチュア時代に影響を受けた’70年代のウエストコースト風なサウンドが漂うスケールの大きなロックナンバーでアルバム"安全地帯XII"はスタート。


’70年代のウエストコーストを彷彿とさせる矢萩さんと武沢さんのカラッとした中での濃密なツインギターに、サウンドに追い打ちをかけ、たたみ掛けるようなアグレッシブさがたまらない田中さんのドラムのストロークなど、力強い演奏が印象的。


聴いていてストーリーの始まりを予感させるには申し分ないナンバーだとおもいます。


余談ですが、タイトルの『★』は指定がない、みんな自由であるという意味でつけられたとの事。





332.STEP!


韓国のラップミュージシャン The Quietさんとの共演によるラップを土台にした立て続けに展開されるリリックが印象に残るラップナンバー。


元々は"ムダな汗"というタイトルで、見返りを求めない愛をテーマに作詞していた玉置さんが、制作途中で、'01年1月26日、東京の新大久保駅で発生した泥酔した男性を救出しようとして事故に巻き込まれて命を落とした韓国人留学生 イ・スヒョンさんの事を思い出し詩のテーマが決定した。


作品が完成した際には、イ・スヒョンさんの家族のもとに、玉置さんと青田さんが訪ねて行かれ、その様子がテレビ番組"SONGS"でも取り上げられたので、ご存知の方も多くいらっしゃるかと思います。


そういう経緯で完成された作品という事もあってか、全体的にテンション高めの玉置さんのボーカルに目に行くアルバム内においても、一段とエネルギッシュに展開される玉置さんのボーカルと、引っ張っていかれるように熱い安全地帯としての演奏が心に突き刺す楽曲に仕上がっていると感じさせられるナンバーだと思います。



資料2."STEP!"は聴いていて、テンションが高い聴いていて引き込まれていく玉置さんの圧巻のボーカル。改めて規格外のボーカリストとしての存在感を感じさせられる。





333.ビリケツ×ケチャップ



玉置さんって改めてサービス精神が旺盛で茶目っ気もあり、ひとりの人として本当に魅力的な方なんだなぁと実感することが多々ありますよね。


振り返ってみると、'85年の横浜スタジアムでのライブ作品"ONE NIGHT THEATER"の”ワインレッドの心"の前でのストーリーでの演出、’96年の"CAFE JAPANツアー"でのオープニングでの会場案内のシーンをはじめ、大河ドラマ”秀吉"での快演⁉️など含めて、コミカルな一面を含めて、本当にたくさんの表現法を兼ね備えた多彩な方なんだなぁと感じさせられる事が多々ありますよね。


この"ビリケツ×ケチャップ"も冒頭のテレビショッピング風のドラマ仕立ての演出では、注意深く聴いていると、登場するキャラクターを全て玉置さんが演じるという、コメディタッチでありながら、改めて玉置さんの多才ぶりな演出からスタートして展開されるゴキゲンなロックナンバー。


楽曲のテーマとして、ビリケツ=特攻隊の日本兵ケチャップ=アメリカ兵に、オープニングでの零戦のプロペラ音をイメージさせられる仕掛けがしていて、既にご存知の方も多くいらっしゃるかとは思いますが、さりげなく戦争の悲惨さ、愚かさを伝える内容になっていて、聴いていていろいろと考えさせられる一面も感じさせる一曲だとも思います。


’70年代ボストンからLAにかけて発展していき、'80年代に隆盛をほこったハードロックを彷彿とさせる小気味よいギターサウンドにのって展開される玉置さんのシャウトも、それまでになかった展開で新鮮。


テーマとサウンドと、安全地帯の新境地が垣間見れるナンバーと思います。



資料3.冒頭のラジオドラマ仕立ての演出に、ハードロック風のシャウトにと、"ビリケツ×ケチャップ"は玉置さんの多才ぶりが存分に発揮されている。




334.MANGO



安全地帯が切磋琢磨しながらメジャーデビューを目指して’70年代は、’50年代に大衆的に支持をされ拡大していったポピュラーミュージックがさまざまな形態で発展していきましたが、コンセプトアルバムなどの作品などの形態、ブルースに、プログレシッブロックに、グラムやパンクにレゲエなどさまざまなスタイルに発展したり、ライブツアーの一つの形が完成したりと、音楽文化がピークを迎え、過渡期に達した時期と重なる。


"MANGO"はそういった’70年代に拡大して発展していったポピュラー音楽の一つで’70年代前半のハードロックの作品などで用いられた、トラディショナルフォークと中近東的な香りが漂うアコースティックサウンドが印象的なミディアムナンバー。


"MAMGO"というタイトルは、当時玉置さんが、頻繁に”MAMGO"を食べていてそれから繋がっていったというエピソードがあります。


アコースティックサウンドとなると、どうしても焦点はギターに目が行きがちですが、この"MANGO"に関しては、一つ踏み込んで注目したいのが、’50年代に米国 ミシシッピ〜シカゴを経由して、ロックとブルースの架け橋的なビートとなり、一世風靡したジャングルビートを、より一段とタイトなビートで独特のグルーヴを展開している田中裕二さんのドラムに注目して聴いていただきたい。


シンプルだが、タイトで、開放感があり、かつエネルギッシュな田中裕二さんのカッコイイビートを浴びれば浴びるほど感じ取られるナンバーだと思います。



資料4.独特の雰囲気あるビートを叩き出す田中裕二さん。"MANGO"は彼の存在感がいかんなく発揮されたナンバーとも言えるかと思います。





335.なにもないイス



いきなり運動会のBGMのようなマーチから、徐々に、どこか悲しげなメロディーへの展開が印象に残る作品の奥深さを感じさせられるスケールの大きなバラードナンバー。


今では玉置さんのソロ作品を語る上で欠かすことのできない快作"カリント工場の煙突の上に"の続編的、発展的なナンバーで、当時の状況がより濃く反映されているリリックに目をやると、リアルに状況が浮かんできて、聴いていて作品の重みを感じさせられる辺りは、身を削ってまでオーディエンスに、アルバムコンセプトの"清く 正しく 美しく"を伝えたいという玉置さんの想いが伝わってくるように感じられる。


聴いて決して熱唱、絶唱という言葉で片付ける事のできない鬼気迫る玉置さんのボーカルが印象に残っているという方も多くいらっしゃるかと思います。


聴いていて身に染みる曲、作品の重みという点においてはアルバムを代表するハイライトナンバーとも言える一曲だとも感じます。



今回も長い投稿になりましたが、最後まで目を通していただきありがとうございました😊


次回は、前半同様にバラエティに富んだアルバム後半を振り返ってみたいと思います。


またお時間ございましたら目を通して頂けると嬉しいです😃


引き続きよろしくお願いします🙇


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