時の彼方に取り残されたもの~Just Another Night | Kazmarのブログ

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Just Another Nightは1985年にリリースされたミック・ジャガー初のソロアルバムの中の曲で、アルバムに先行してシングルとしてリリースされた曲だ。

 

スライ・ダンパーのドラムから始まり、ロビー・シェイクスピア―の重たいが歯切れのよいしまったベースが絡んでくる。ここまでの8小節があまりにも艶やかで聞くものの心を完璧にとらえてしまう。続く8小説ではサイドギターとエレピの音が被さり、そのあと御大ミック・ジャガーの野卑て野太いテノールが始まる。

 

Give me just another night, just another night with you

Give me just another kiss, just before the dawn breaks through

 

途中で24小節のフラメンコっぽいジェフ・ベックのギターソロがあり、シンセサイザーが効果音的に入るが、基本はスライ&ロビーのタイトなリズムセクションとジャガーのヴォーカルが協演した野太い楽曲だ。ストーンズではないミック・ジャガーがとてもなまめかしい。

 

 

この曲が入ったジャガー初のソロアルバム「She’s The Boss」は1985年2月にリリースされた。プロデュースはミック・ジャガーとビル・ラズウェルで、ナイル・ロジャースもアルバム中3曲のプロデュースに携わっている。

 

ビル・ラズウェルの名が世界中に知れ渡ったのはハービー・ハンコックのロック・イット・バンドに参加してプロデュースにも携わった「Future Shock (1983)」と「Sound System (1984)」だ。

 

 

リズムセクションを担当したスライ&ロビーは80年代に活躍したリズムユニットだ。このアルバムの前年(1984年)にはBlack Uhuru with Sly&Robbieとして来日、Live Under The Skyに参加し、その強力でタイトなリズムを以て観客を愕然とさせたことは強く記憶に残っている。この年のイベントでは、ほかにHerbie Hancock and Rock It Band、YAMAHA DX-7を弾くハンコックがとてもいかしてた、そしてGile Evans Orchestra with Jaco Pastoriusが真夏の炎天下での演奏を行った。パストリアスが自身の曲「The Chicken」の演奏中に観客席へと降りてきて演奏したのが印象深い。かなり酔っていたようだった。エヴァンスじいちゃんはこのパフォーマンスにご機嫌斜めだったようにも見えたことが、今でも目の前で起きている出来事のように思い出される。彼ら(エヴァンスとパストリアス)のこの演奏が日本での最後の雄姿になったのは大変残念だった。

 

 

話がそれてしまったが、ジャガーの初のソロアルバムは80年代当時の勢いのあったミュージシャンたちのうたかたの饗宴で演出したものであり、その時にしか出せなかった音である。忘却の海に葬り去るには惜しい一曲であり、一枚ではないだろうか。

 

それにしてもこの曲のリリースから40年近くが経ってしまったということにただ驚くばかりだ。確かに遠い昔のような気もするし、昨日のことのようにも思える。

 

 

 

 

 

 

御大ミック・ジャガーは今月26日で81歳。私が十代だった70年代にミック・ジャガーは雑誌MUSIC LIFEのインタビューで確か40歳までロックをやるつもりはない、と言い切っていたと思うが、昨年もストーンズとしての新譜「Hackney Diamonds」をリリースし、現在北米ツアーの真っ最中だ。体力的に大変だと思う。それでも老いて涸れしぼんでいくのではなく、力の続く限りロックンローラーとしての生き様を私たちに届けてくれている。

 

そのような生き方はありだ。