Idol~推しの子~Cool Japan | Kazmarのブログ

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YOASOBIの「Idol/アイドル」が6月10付のビルボード・グローバル・チャート200(米国除く)でJポップとしては初の1位を獲得した。喜ばしいことだ。

 

楽曲自体は非常に複雑な構成でありJポップに慣れ親しんだ人たちにとっては嵌りやすい曲であるが、それ以外の人たちにとっては馴染みにくい曲であるにもかかわらず、この快挙である。

 

その背景にはこの曲がフィーチャーされたアニメ「推しの子」が世界配信されたことが大きいだろう。

「推しの子」はアイドルを目指す少女たちがさまざまな苦難を乗り越えて頂点を取りに行く物語だ。少なくとも私はそのように理解していた。評判がいいのは知っていたのだがそれがゆえに積極的に見たいとは思っていなかった。

 

7月からアマゾンやネットフリックス等で全話配信されたので、最初の一話だけでも話のネタに見ようと思ったのが私にとっては運命の選択となった。

 

感想を一言でいえば面白い。これに尽きる。

 

何の前情報もなく見たのだが、第一話は非常に長い。後で調べると82分だった。全体の物語のプロローグに当たるエピソードだが、最初の10分で主人公と思われる人物は死んでしまう。最後にはこの子が成長していく話かなと思っていたアイドルの子もあっけなく死んでしまう、といった最初から全力疾走の82分だった。オープニングテーマは流れず、Yoasobiの曲はエンディングで流れるといった演出もよかった。

第2話以降が本編となるが単なるアイドル成長譚ではなく、サスペンスあり、芸能界の裏側を描いたり、SNSでの誹謗中傷に壊れかける少女を描いたりとか、今時点でのホットな話題が全部のせみたいな感じで、視聴者の興味を維持させるストーリー展開は素晴らしいに尽きる。

 

中でも圧巻なのはステージシーンの描き方である。エピソード1の終盤とエピソード11で描かれているが、臨場感に満ちた演出で、おそらく実際のアイドルコンサートを観覧するよりも、満足度の高い表現に成功している。

 

このような物語のピークを第一話の終盤とシーズン1の終盤にもってきて、視聴者をつなぎ留めようとする演出も小憎らしいが大成功している。私はその罠にまんまと掛かってしまった。

気になった点をあえて挙げるとすれば、新規性のなさと心の中をセリフで説明している場面の多さであろうか。

 

新規性はなくても面白ければいいとは思うが、ここまで質の高い作品であれば、30年後にも語り継がれるような新規性があった方がベターだ。原作漫画もオンゴーイングなので考えてはいかがだろうか。

 

例えば永井豪は「マジンガーZ」により初めて人が搭乗して操縦する巨大ロボットを世に送り出した。このことは後に「機動戦士ガンダム」や「新世紀エヴァンゲリオン」を生み出し、ハリウッドでもこのアイデアは使用されている。

 

また松本零士が考え出した戦艦大和を宇宙で飛ばすというアイデアは、宇宙空間での本格的な戦争アクション時代を作り出した。ルーカスが認めているかは定かではないが、「スターウォーズ」のアイデアの一つであったことは間違いないだろう。

 

モノローグは演出手法の一つであることは間違いないが、多用されると気がそがれるし、表現力の未熟さを演出に感じてしまう。漫画の場合は説明的セリフをなくして絵で表現すれば、難解になり読者が離れてしまうので理解できるが、アニメの場合は難解にならない程度に絵やプロットで説明してもいいのではないか。

 

期待以上に作品の質が良かったので、この二点は個人的には気になってしまった。

還暦過ぎてこのようなアニメに嵌るのは情けない気がしないでもないが、観ていてわくわくさせる作品はやはり面白い。

 

キャラクター設定の良さと、そのキャラクターを存分に活躍させている演出もこの作品の魅力を増大させている。

 

ちなみに私の推しの子は黄色のMEMちょだ。

 

シーズン2がとても待ち遠しい