神奈川県東部住みのワシにとって、御殿場線というのは実に半端な存在でした。
気軽にヒョイと行ける位置ではないものの、旅行に行くほどの距離でもない。
そのうえクルマでなら何度も通過したり行ったりできているので、わざわざ電車で乗りに行く必要性もありません。
しかし、生きているうちに少なくともJR東日本(※御殿場線はJR東海。後で気づいた)路線の全線完乗を果たしたいと思ってる身としては、ああいや違う、鉄ちゃんでもなんでもないのでどうでもいいのですが、それでも御殿場線には乗っておかないとな、と思っていました。
そこで平日に休暇を取り、わざわざ御殿場線に乗りに行ったのでした。
通勤時間に逆方向の電車に乗るのは気持ちのいいものです。
東海道線で国府津(こうづ)から御殿場線に乗り換えるのですが、御殿場線の本数があまりないうえに、接続がバッチリすぎたので先頭車両の写真を撮れず。
さて。
御殿場線はもともと東海道本線でした。
重要な動脈でもあったので複線化され、蒸気機関車の引く特急客車列車がこの御殿場線を走り回っていたそうです。
しかし昭和19年に丹那トンネルが開通し、そこで東海道線が熱海回りとなって御殿場線は支線に転落し、折しも激化していた戦争で資材供出のためにレールを剥がされ単線になりました。
そんな経緯で、ローカル線なのに直線や駅の構内やホームが長く、そして築堤はもう1本隣にレールが敷けるほど広く取られています。
国府津を出るとひたすらまっすぐ。
そのうち隣に国道246号が並走します。
この辺りはよく富士スピードウェイに行く時に道路から見た光景で、その頃はまさか自分が御殿場線に乗るなどと思っていませんでした。
景色としてはすっかり見飽きた、特筆すべくこともないこの辺りのソレです。
途中から山が険しくなり、トンネルも増えてきます。
しかし御殿場線はせっかく線形もいいのに、駅という駅に停まるたびにかなり前から減速しゆっくりゆっくりと停車するもんだから、1駅について1~2分はロスしている気がします。
また御殿場までの間は、松田と御殿場いがい全て無人駅というのもまたコストカットが徹底しています。
乗客はけっこういるのですが・・・
途中で、新東名の橋脚の工事が見えました。
早く全通してほしいなあ。
すっかり山の中。
電車だと何と言うこともない勾配ですが、昔の蒸気機関車にはキツかったことでしょう。
いつもはあの上を走ってるんだなあ。
交通時事故とかでクルマが落ちてきたりしないのかしら。
(どでかい積み荷が落ちてきて、下の道路の車が潰された事故はありましたね)
山を抜けると視界がひらけ、地形がなだらかに見えてきます。
すると御殿場はもうすぐそこ。
さすが通勤通学時間帯の御殿場、人が多い。
というわけで、いったん御殿場で下車。
駅前にD52が展示されていました。
御殿場駅でしばらく人待ちをしたのですが、御殿場って美人さんが多い。
長野の松本もそうでしたが、地方都市って美人さんが多いですね。
ここで東京からクルマで来るとある方と待ち合わせをしたのですが、よりによって東名下りで3車線のうち2車線をふさぐ事故があり、ワシはなんと御殿場駅前で2時間も待ったのでした・・・。
「待て」ができるワシ、えらい。
で、御殿場駅から向かったのは、こちら。
陸上自衛隊の総合火力演習(総火演)の、予行です。
本番は26日(日曜)に開催されるのですが、コロナ禍のせいもあって今は一般参加の受け入れをしていません。
今回はたまたま某エラい方の招待を賜り、それで10年ぶりにお邪魔したのでした。
前回は初めての見学でただもう圧倒されるばかり。
まあその圧倒は音や衝撃波だけでなく、見学者の多さにも圧倒されたのですが、今回は関係者と招待者だけなので観覧席もトイレもゆるゆるで助かりました。
今回は、発砲炎をちゃんと撮るぞ!と意気込みます。
そこでもう15年前のデジカメに望遠レンズをつけて持参したのですが、最新のミラーレス一眼を使っていた身からすると連射も遅くピントもいまいち、液晶も見づらく・・・
新兵器、ドローン。
そういえば今回、携帯電話を機内モードにというアナウンスがありましたが、ドローンの関係でしょうか。
20式小銃を撃ってるところ。
でも総火演だと小銃がぜんぜん見えない・・・
こちらは狙撃銃。
サプレッサーの有/無の音の違いを見せてくれました。
なんかの誘導兵器。
命中。
迫撃砲の発砲炎とタマを捉えました!
でもその他はダメでした・・・。
15年前のEOS50Dなのですが、当時は速いと思っていた連射も今になっては遅く、瞬時にしか出ない発砲炎を逃してばかり。
ミサイル発射。
あとは他の陣地と連携しての砲撃。
今は「富士山」やらないんですね・・・。
輸送ヘリが隊員をロープで降ろしていきました。
こっちのヘリからも。
初めて見るオスプレイ。
あの狂暴そうな機体も、日の丸がつくとなんだか安心。
次はいよいよ戦車。
今回、実践的な演習になると聞いていたのですが、それはシナリオではなく、もともと決められていた標的を撃つのではなく、いきなりポップアップする標的を捉えて照準し、撃つ方式になったそうです。
まあ観客には全く分からないのですが・・・。
しかし90式は発砲のタイミングを逃してばかりでロクな写真がありません。
お次はヒトマル式。
ここでカメラを新しいミラーレス一眼にチェンジ。
望遠は効きませんが、後でトリミングすればいいかと。
それが正解でした。
見てください。
ヒトマル得意のスラローム射撃。
(2枚目に赤熱したタマが見えます)
耳栓ないと鼓膜が…。
やはり駐屯地行事の空包とは違います。
またスラロームして・・・
ドン!
そして右の1台も・・・
ドン!
赤熱した砲弾が煙を曳いて飛んでいきます。
16式機動戦闘車の105mm砲は、発砲炎があまり出ませんでした。
これがせいぜい・・・。
りゅう弾砲がしきりに撃ってます。
F2戦闘機も2機飛来。
訓練弾を投下したそうです(見えなかった)。
機関砲を撃つ攻撃ヘリ。
曳光弾がかろうじて写っています。
みんな大好き87式自走高射機関砲が35mm砲を連射。
こっちからも。
地雷原を啓開する何かを撃つ何か。
このようにして砲兵の支援と戦車による敵戦車の撃破、地雷原の啓開によって突撃路を作り、そこから戦車を先頭に主力部隊が進撃を開始。
・・・するのですが、予行なので進撃も射撃もなし。
というわけで総火演予行は終了。
途中、何度か演習が止まることがあって間延びしましたが、それは予行のためであって仕方ないでしょう。
実際、戦車小隊が観覧席の前で十数分停止したままだったことがありましたが、無線が通じなかったんだそうです。
これらの不具合をあぶり出し修正しつつ本番を迎える・・・となるのですが、しかしそれだと演習のための演習となってしまい、そこが難しいところです。
とはいえ総火演は訓練というよりは対外的に「見せる(魅せる)」というのも目的でしょうから、それでもいいのかな・・・。
というわけで帰途につきます。
以前の一般参加での総火演の帰りは、シャトルバスを2時間も待ったものですが、今回は駐車場までそうとう歩いた他はスイスイ。
あとは御殿場以南の未乗区間を乗ります。
ずっとこんな感じの、なだらかな山裾の景色を進んでいきます。
30分ほどで沼津市街に。
沼津は車でなら何度も来て(通過して)ます。
その昔、まだ御殿場線が東海道本線だった頃はこの沼津で上り列車の機関車の付け替えがあった(下りは走りながら追加の機関車を切り離し)ために停車時間が長く、そこで沼津では駅弁が相当に売れたようです。
また丹那トンネルが開通した後も蒸気機関車だと長いトンネルを通ることができない(機関士が酸素不足で失神する)のでやはり機関車の付け替えがあり、やはり沼津で駅弁が売れたそうです。
それが東海道線の電化で沼津での長時間停車が短くなって駅弁の売れ行きは落ち、さらに新幹線は沼津を通らずく三島に駅を構えたため、すっかり忘れられたような存在になっています。
そこからは東海道線でとって返し、ワシの御殿場線ぶらり旅は終わったのでした。
予行演習参加の皆さんお疲れ様でした、本番に向けて頑張ってください!
あとお招きくださった●●さん、ありがとうございます!
さあ、次は下半身をぶらりするぞ!