新型BRZ(ZD8)試乗 | ちょんまげインプの部屋

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これであなたも立派な変態。
今後ともどうぞよろしくっす。

(以前、ちょんまげのついたインプレッサに乗っていたのでこんなタイトルです)

2021年の夏にフルモデルチェンジで登場したスバルBRZ(ZD8)。

先行予約が始まり、さーて試乗するぞ~うふふふふ…と思っていたものの、生産が追い付かないのか試乗車がディーラーになかなか回ってこない。

しかもせっかく試乗車が配置されてもオートマだったりして、一向に乗れません。

そうこうするうちにようやく近所のディーラーでMTの試乗車がきたことを知り、子を連れて試乗へ。

 

かかか、カッコイイ…!!

もともとネットで見ていたので形状は知っていましたが、実車を見てみるとビックリするほどのカッコ良さ。

なんだろう、「クルマとはこういうものだ」というような、よくわかんないけど正統的なカッコ良さです。

横から見てもかっこいい。

これ、欲しくなっちゃいます。

宝くじあたんねーかなー!

後ろは旧BRZのほうが好きかも。

 

フと気づくと、あちこちに整流効果のあるフィンが造形されていて、現代の車だなあと思わせてくれます。

(リアアーチフィン)

(整流フィン)

前輪の後ろの開口部とかも、ニセモノのVABのアレとは異なり、本当に穴が開いていて空気を流しています。

VABはこれがただの飾りだからなあ。

 

旧来の2リッターから2.4リッターになったエンジン。

そりゃまあ排気量が大きいほうが上質なフィーリングになるのは分かりますが、 なんとなく2リッターのままでいてほしかったような気がするのは古いアタマなのでしょうか。

重いバッテリーが鼻先でなくてバルクヘッド側ギリギリに設置されています。

タワーバーは「Vタワーバー」という名称のものがもともとついてますね。

VABに比べて、バルクヘッドからストラットタワーまで空間があるので、剛性確保に必要なのかもしれません。

 

トランクは狭いですが、そういうものなので仕方ない。

ちなみにこれも現代の車ならではの、テンポラリタイヤ無し(オプションあり)。

ついでに車載工具の定番の、パンタジャッキもありません(オプションあり)。

個人的にはエマージェンシー用にテンパータイヤもジャッキも必要と思っていますが、現代はもう自分でタイヤ交換するような人が絶滅しかかっているので、重いだけで不要なのでしょうね。

しかしタイヤパンク修理キットが効かないシチュエーションもあるので、テンパータイヤはオプション付加しておいたほうがいいでしょう。

車載パンタも、サス交換の際に役立つほか、油圧ジャッキを使っている時に油圧ジャッキのトラブルに遭うこともあるので、ワシならオプションつけるかなあ。

もちろん量販店でも汎用のパンタジャッキを売ってますが、トランクの専用スペースに入るかどうか気を付けましょうね。

 

後席は当然狭いですが、子供ならまあ問題ナシ。

大人は長時間はとても乗ってられません。

閉所恐怖症の人なら一瞬でも無理なのでは…。

 

シートは先代BRZや、トヨタGRヤリスと同じような形状。

(形状は似てるけど改良されて軽量化もされてるっぽい)

ホールド性はけっこういいものの、ジムカーナやサーキットだとやはり力不足。

とはいえ、例えばレカロのSR-7とかに替えようと思ってるなら純正のままで大丈夫です。

しかしコレ、ヘッドレストの角度が固定式という重大な欠陥があります。

女子で髪を後ろで束ねている人は相当にシートを倒さなければいけなくなるし、サーキットなどでヘルメットを被る場合も同様。

まあ、走りに特化させる人ならシートなんて換えちゃうでしょうけど・・・

とはいえ運転席に座ると、「包まれ感」があって、いかにもスポーツカーらしくてヨシ。

ハンドル周り。

個人的にはツルツルとしたハンドルはあまり好きではないのですが、握り心地は悪くないです。

シフトレバーとサイドブレーキの位置は、まあいいでしょう。

ただ、ちょっとナビのモニター位置はイマイチ。

運転中の目線からすると、ナビの位置がチト低いのです。

 

 

ちなみにエアコンの温度調節などがダイヤル式なのはマル。

うちのVAB後期型はスイッチ式で、運転中に感覚的に操作できないのが気に入りませんでした。

サイドレバーの位置は良く、これならサイドターンもしやすいでしょう。

それにパーキングブレーキがいまだに独立式なのも〇。

 

さて・・・

個人的に重要な問題としては、まあどうせそうだろうと思っていたペダル。

例にもれずアクセルペダルが低く、そしてクラッチペダルが高すぎなのです。

そしてそのクラッチ。

踏み始めが重く、ぐっと力を入れると途中からスカっと軽くなるのがちょっと気に入りません(VABは踏み始めが軽く、その先が重いので逆ですね)。

おまけにストロークが多く、しかも踏み込んだ側の遊びも多め。

VABがストロークが少な目なせいでしょうけど、スバルのテストドライバーさん、ホントにこれでいいんですか?

先代のBRZはクラッチが軽すぎたのでまだマシなのですが・・・

とりあえずアクセルには5mm厚のスペーサーをかましてクラッチにはリターン側もプッシュ側もワッシャでかさましし、そしてブレーキペダルをちょっとだけ下げるといいと思います。

 

※ここまで嵩上げするスペーサーは要らないと思います。

 

メーター。

これまでデジタルメーターには懐疑的でしたが、これはけっこう見やすい。

しかも、表示方法がいろいろいじれて、スポーツカー乗りとして重要な、油温計を表示させることもできるのです。

もっともその油温が本当なのかどうかが疑問なのですが、後付けでオイルブロックを挟んでセンサーをつけて…ということをしないで済むのはありがたいこと。

地味にうらやましかったのが、このスウェードのメーターフード。

これは反射が抑えられてとてもいい。

むしろダッシュボード全面コレにしてほしいなあ(笑)

でもコレ、SにはあるけどRにはつかない…

 

ちなみにこいつはGRヤリスと同じく、ボンネットだけでなく、フロントフェンダーとルーフがアルミになり軽量化されています。

個人的にはルーフなんて頑張らないでその分値段を下げてほしかった気もするのですが、軽量化と低重心化への意気込みは高評価です(VABはその辺がダメ)。

 

ちなみにこの試乗車は上級グレードの「S」なので、ホイールは18インチ、タイヤは215/40R18のミシュランパイロットスポーツ4。

しかし今どきのスポーツカーで、215幅かあ。

せめて225とかにしてくれればよかったのになとも思うのですが、パワーはそれほどはないし、車重も1260kgと軽いので、これくらいでいいのかな。

ブレーキローターはフロント16インチ、リア15インチ対応です。

ちなみに足回りはフロントがストラット、リアがダブルウィッシュボーンで、うちのVABとも同じなのでなじみがあります。

 

 

さて、エンジンをかけると・・・いい音!

そして重いと思ったらスカッとなるクラッチにイラっとしながら1速に。

シフトの感触は、節度感はVABに一歩譲るものの決して悪くない。

でもVABのほうが好き。

ただ、クラッチ踏んでシフトを1速に入れる時、ちょくちょく下の方から「ゴン」という軽い衝撃があったのが気になりました。

ミートすると・・・おっ半クラしやすい!

アクセル吹かさないでそのままするすると発進できました。

前方の見切りは〇。

走り出してみると・・・んん?

エンジン音から想像するエンジン回転数と車速がマッチしない。

エンジン音だと結構速度が出てると思いきや、スピードメーター見るとぜんぜん出てないという。

アクティブサウンドスピーカーとかいう機構でエンジン音を増幅して鳴らしてくれてるそうですが、コレは要らないかも。

ただ、排気量が増えた恩恵か、低い速度を高めのギアで普通に走ることができます。

 

気になる乗り心地ですが・・・

純正アシなので柔らかいのは柔らかいのですが、市販車としては固いと思います。

しかしちょっと気になったのが、後輪。

車道の段差を越えるたびに、バックミラーに写る後席の子の頭がかなり上下に揺さぶられるのが見えるのです。

車高調を入れたうちのVABより、明らかに後席の乗り心地が堅めなよう。

子にも「うちの車のほうが乗り心地がいい」と言っていました。

オーリンズが優れているのか、はたまたBRZが堅いだけなのか…。

ちょっと前後がちぐはぐな印象で、この辺りマイナーチェンジで変わってくるのではないかな?

 

ブレーキは自然なフィーリングで、変なアシストもなくていい感じ。

ハンドリングは、街なかの試乗では特に思うこともなし。

ハンドルは市販車にしては小径だし重いですが、片手で手のひらで回すのも普通にできます。

確認するの忘れたけど、パワステは油圧?電動?

どちらだと言われても「そうか」と思えるステアリングフィールでした(鈍感)。

後でエンジンルームの画像を見てみたら、パワステフルードのタンクが見当たらなかったので、電動パワステなのかもしれませんね。

 

さて今回、1時間かけて高速も含めた試乗をさせてもらいました。

一般道から高速に乗ってみると、それまでの街中での感触から一変。

まず加速は、VABのような脳天を突き抜けるような鋭さはないものの、ふおっ!という感じで気持ちよく加速していきます。

エンジン音もいい感じですが、それよりもタイヤを通じてロードノイズが入ってくるのは仕方ないでしょうか。

乗り心地は、市街地の時とは性格が変わったように、滑らかに。

かといって変なフワフワ感があるわけでもないので、とても気持ちいい。

気になったのがハンドルで、遊びが少ないのかタイヤ幅のせいか、あるいはこれがFRというものなのか、ちょっとハンドルに力を入れた程度で舵が効いてしまいます。

それと横風にも影響されやすい。

なので常に修正舵を当てることになり、高速道路での長距離移動はちょっと疲れやすいかも。

ステアリングのギア比は13.5:1と、うちのWRX-STIに近いもののそれほどクイックではないので、単に遊びの問題でしょうか。

以前乗っていたGC8のRAは11:1というあほみたいなギアレシオで、そこまでしろとは言いませんが、もっとクイックでもよかったのになと。

 

パーキングでいったん休憩。

いやあ、かっこいいなあ!

 

車線変更の際、右後方は振り向いてもピラーが邪魔をして目視できないので、ドアミラーの後方接近警報は必要でしょう。

でもドアミラー・バックミラーによる後方視界は思ったほど悪くないと思います。

あまり関係ないですが、駐車場のチケットを取る時や、車庫入れ車庫出しで縁石を見ようとして窓から顔を出そうとすると、アタマをぶつけます。

まあ背が低いスポーツカーなので仕方ないですね(^^;

ところで、今回は試さなかったのですが、6MT車にも「定速クルーズ」というクルコンがつけられました。

個人的には、クルコンは確かに楽な面もありますが、有効なのはあくまで空いている高速道路だけであって、速度を一定に保てない車が多い現状ではほとんど使えないと思っています。

 

そんなこんなで試乗も終わり、ディーラーに戻って車庫入れ。

リバースが1速の左と、VABの6速とは逆についているのでちょっと戸惑いましたが・・・

リバースは、リングを引き上げてから左前にシフト。

これは単に慣れの問題ではなく、手の動きからしてもこの位置のリバースはどうかと思います。

リングを引き上げてから身体と逆方向にシフトを入れるのは、自然に反する動きで気に入りません。

それにバックしようとして間違えて1速に入れてしまうようなこともあるのでは・・・?

 

 

とはいえ、この新型BRZは、久しぶりに真剣にほしくなる車でした。

もし実際に自分で乗り換えるとしたらどうするか・・・という視点でまじめに考えてみましょう。

もともとATは考えていないので6MTに絞ると、グレードがRとSとが存在します。

とはいえどちらもベースは同じで、Rに比べるとSのほうがちょっと豪華装備があるという程度です。

違いは次の通り、それほどありません。

*ホイール+タイヤ

 ・Rは215/45R17

 ・Sは215/40R18

*シート

 ・Rはファブリックでシートヒーターなし

 ・Sはウルトラスウェードでシートヒーター付き

*スピーカー

 ・Rは6スピーカー

 ・Sは8スピーカー

*その他

 ・ドアカーテシランプのの有無(Rにはない)

 ・メーターフードのスウェード生地の有無(Rにはない)

この違いで18万円の差というのが高いかそうでないかはその人の考え方にもよりますが、ワシだったらどうせ純正ホイール+タイヤは移動用で別に遊び用のホイール+タイヤを1セット買うことになるでしょうし、シートもどうせ換えちゃうでしょうし、スピーカーなんてあとでどうにもなるしで、Rにしますかね。

 

で、オプションパーツを選ぼうとすると、気づくことがあります。

それは、STI系のパーツがけっこう高価なこと。

必須ではないものの、換えれば換えたなりの効果があるSTIギアシフトレバー(ショートストロークシフト)は、工賃込み約5万。

リアの足回りの動きがスムーズになるSTIラテラルリンクセットは工賃込み約6万3千円。

個人的に効果が分からないフレキシブルタワーバー(STIフレキシブルVバー)も工賃込み約6万2千円。

これらは、個人的には不要かな。

それら3つを入れたら18万にもなるので、それだったらもう少しお金を足してサスペンションキットを買う方がはるかにいいでしょう。

ただ、純正オプションの車載パンタジャッキとテンパータイヤは個人的には必須だと思います。

 

でもウレシイことも。

それは、近年はスバルで新車を買おうとすると、フロアカーペットとかが含まれる高額なベースキットもつけさせられる傾向にあったのが、そうではなくなったらしいこと。

もちろんこれまでもベースキットは必須ではなかったものの、ベースキット込みで純正ナビが安くなる(ベースキットを買わないと純正ナビが高い)という仕組みで、ぜんぜん要らない高いフロアマット等を抱き合わせで交わされていたのです。

それが今はそうでなくなり、ディーラーオプションが本当に必要に応じて選べるようになりました。

※でも兄弟車のGR86には設定されているサイドバイザーがない・・・

 

さて、ジムカーナやサーキットを走るとしたら・・・

サスペンションは純正のままでもいいですが、やはりソレ用のものにしたほうがいいと思います。

とはいえ、「これだ!」というものに巡り合えるまで純正のまま走り込むのでもいいかも。

 

 

 

 

LSDはトルセンが入っているので、サーキットだけならそのままでもいいでしょう。

ジムカーナだったら機械式LSDが要りますね。

 

シートはワシはセミバケですが、走り込む人はフルバケでしょうか。

 

 

 

あとジムカーナでは、サイドシューの前側だけ効くものにしたほうがいいですね。

ブレーキパッドはサーキット走行の場合は高温域対応のものにしないとだめでしょう。

ジムカーナなら純正のままでもいけると思いますが、できればフロントの効きを抑えてリアをよく効くものにすると楽しくなります。

 

あとはクラッチのストロークがありすぎるので、例えばアルファリジットさんのクラッチストッパーでストロークを縮めたり、アクセルペダルがあまりに低いので、アクセルカバーやウチ製のアクセルスペーサーを入れれば、かなり操作性が改善されます。

 

 

それから水温計・油温計表示ができるOBDⅡコネクタ接続のレーダー探知機もお勧めです。

 

ちなみに普段の使い勝手ですが、後席はいちおう「シートみたいなものがついている」と考えたほうがいいでしょう。

ウチはまだ子が小学生なので、後席でも問題ないですが、大人3人乗車はまず無理。

ワシが自分で運転する際の最適ポジション(シート位置はやや前め)にしても、後席にはこの画像ほどしかレッグスペースがありません。

このシート位置で自分が運転席の後ろに座ろうとすると・・・

片足を突っ込んだだけで動けなくなりました。

両足はとても入れられません。

これは子供でも無理そう。

赤ん坊なら、チャイルドシートで大丈夫です。

このクルマは大人2人乗りですね。

 

 

いろいろ不満点も書きましたが、スポーツカーとしていいクルマであることに間違いありません。

ここまで乗ってみるとトヨタ86のほうにも興味が出てくるところですが(笑)

そろそろ本当にこういう車がなくなってきてしまうので、皆さん今のうちにいかがでしょうか?

 

 

(2022.6追記)

乗り換えてしまいました・・・