小田恵子さん遺句集「菓子工房」(1)


小田恵子さんの句集が出来ました。

小田恵子さんは過日やはり同じ発行所(書肆みやま=発行者鴛渕和明)から句集(「船団」)を出された髙平保子さんの妹さん。

小田恵子さんは姉髙平保子さんや私が所属していた「母港」(2020年西山常好主宰死去に伴い廃刊)の方。でも残念ながら2年前(令和4年4月)に亡くなられました。

かねてより小田恵子さんの句をまとめて拝見したかったので私も大変嬉しく思っております。髙平保子さんも恵子さんのご命日に仏壇にお供えするのに間に合ってよかったと仰っていました。また髙平保子さんも小田恵子さんも佐世保の俳句界の大先輩高田緑風さん(故人)の姪御さんで、素晴らしい俳句を詠まれております。

句集にはご丁寧にお手紙まで添えてありました。

(略)いつか姉妹で記念に句集を ! と願っておりましたが、恵子の病の為叶いませんでした。

 佐世保や小佐々の句会の方々から背を押され、又恵子の子供たちが協力してくれて、出版のはこびとなりました。

 製本につきましては、鴛渕先生、THKプリント社様に大変なご尽力をいたゞき、心より感謝しております。ことにプリント社様には、多くの景色や工房の様子を撮っていたゞきすてきな句集になりました。

 恵子も自分の句が活字になり皆様に手に取っていたゞき心よりよろこんでいると思います。(略)

(小田恵子さん略歴)昭和23年2月生まれ。高平保子の妹。令和4年4月逝去。平成13年西日本新聞俳句最優秀賞・優秀賞(多数)。平成20年「河」同人。平成29年64回長崎原爆忌平和祈念大会大賞。令和元年佐世保俳句大会市長賞。

(編集)高平保子

(監修発行者)鴛渕和明


※64回長崎原爆忌平和祈念大会大賞、というのは↓


 ★雑巾のねぢれて乾く原爆忌(安西篤・中村重義特選、野田・高野ムツオ選)


※令和元年佐世保俳句大会市長賞というのは↓


 ★振つて売る陶の風鈴振つて買ふ(選者特選1、選者選3)


句数を数えてみましたら、120句ありました。各章に分けてあり、それぞれ「鶏頭花」H20〜、「菓子作る」H25〜、「冬薔薇」H28〜、「しゃぼん玉」H30〜、「陶の風鈴」R2〜、と見出しが付いています。

 先ずは、1番目の「鶏頭花」(H20〜)より(抄出。このシリーズの最後のページには全句掲載予定です)。

★声立てて笑ふ嬰となり木の芽晴

★晩学の道はゆつくり黄水仙

★蕗の薹死ぬる話はあと回し

★半日を百の粽を結うてをり

★どの子から話聞かうか鳳仙花

★その話待つてさうめん食べてから

★動くものほしくて金魚買ひにけり

★秋がもうほら鍵穴の向かう側

★かなかなや丈夫な母と病む夫と

★鶏頭花一輪抱かせ夫葬る

★秋冷えや永久の棺の小窓閉づ

★開戦日行つて来るぞと征つたきり

★双子には異なる未来冬木の芽


 (2)「菓子作る」H25〜に続きます。

 ↓は、髙平保子さんの「船団」のところのURLです。

◎高平保子句集『船団』(1) 1〜20

https://ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12836193037.html

◎『船団』(2) 21〜60

https://ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12836362891.html

◎『船団』(3) 61〜100

https://ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12836475524.html

『船団』(4) 101〜150

https://ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12836484593.html

『船団』(5) 全句一挙掲載

https://ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12836485745.html