長崎県北松佐々町の書肆みやま(監修発行者:鴛渕和明)が発行する「100句シリーズ」第ニ段(第一段は『推しの牛飼瑞栄 百句』)が発行されました。発行日は2024年1月6日、発行されたばかりです。

 表紙下部の写真は、高平さんのお住まいの近くの日本本土最西端の地、神崎鼻(こうざきばな)の写真のようです。

 高平さんは、俳歴?十年のベテランさん、地元で句会も主催され、母港俳句会(2021年終刊)の同人でいらっしゃって私からすれば大先輩。妹の小田恵子さん(故人)も俳人でした。また高田緑風さん(故人)の姪御さんで、小田さん共々佐世保俳句界でも大先輩です。

 表題の「船団」は掉尾に収録された「船団の先に船団鶴来(きた)る」から。

 ページの随所にデフォルトされた写真が載せてあります。印刷者「TMK」さんの装幀。全部で150句ありました。

 いつでもどこでも読めるように全句を記録していきます。はすえよし註。


(昭和61〜64年)

1 海よりも濃き吾が夫の夏のシャツ

2 青空に弾くる声や鯵大漁

3 籐枕仮寝の夫に潮匂ふ

4 帰港やや遅るる知らせ霧の夜

5 大寒や短く交はす漁ことば

6 五智網の大漁の沙汰さくら鯛

 ※「五智網」=吾智網。瀬の周辺などに集まった魚を漁船装備の袋状の網でとる漁法。

刻々と変化する潮の流れと海底の地形を読みながら網をひく難しさを表す「吾(われ)の知恵」からその語源がある。

7 アバを組む赤銅色の肩の汗

 ※「アバ」とは、行商のおばさんという意味かも。肩には担い棒の跡。→コメント欄にて私の誤りを指摘していただきました。

⭕「アバ(網端・浮子)」漁網の上縁部につけ、浮かせる浮子。木・ガラス・プラスチッで、中空の球・樽型など。

8 凧上げて使ひきつたる浜の空

9 野分立つ操舵の窓に十字切る

10 初鰹ひと際はねて高値つく


11 なにはさておき寒鰤を捌かねば

12 玄海の色失はず飛魚(あご)かわく

13 バンダナや二百十日の舫ひ船

14 錨打つ波の一撃台風来

15 船団へ声かけて雁帰りけり

16 黒南風のすんなり開かぬ船箪笥

17 冬日差し網つくろひの大あぐら

18 飛魚北(あごぎた)や空白続く漁日誌

19 牡蠣焼いて太平洋をすすりけり

20 潮の香の君に抱かるる十六夜


以後、暫時記録していきます。