物事って、できるかぎりシンプルに考える癖を持ってる方が
良いと思っています。
じつは、自分で勝手に複雑にしてしまってるだけで、
ほんとはとてもシンプルなことって
沢山あるんですよね。
たとえばさ、パリコレを見てると
「ファッションとは、なんなんだ……？」
と感性がパニックを起こしますよね。
たまに人背負って出てくるし、
風船かぶって出てくるし、
ファイナルファンタジーの中ボスみたいなのも出てくるし、
たぶん、そのうち綿菓子とか着てくるんじゃないかと思ってる。
これが、いいファッションなのか？
これが最先端のオシャレなのか？
っていうか、もはや服なのか？
ファッションとは……。
と、さまようよろいみたいな顔して
出口のない迷路をさまよっちゃうんだ。
まぁ、実際その会場にいたら、
ゆっくりと（うんうん）とうなづいて
それっぽい顔しとくけれど。
んでね。
これは興味があればやって欲しいんだけどさ、
「名文」って打ち込んで画像検索してほしんだ。
そうすると、名文がずらっと並ぶ。
そうだ、教科書に載るような名文だ。
でも読んでみると、
「こ……これが名文ってものなのか？」と
頭をかかえる文章が並ぶ。
小学校のときに書いた
「せんせいあのね」のほうが
名文が多いんじゃないかと思うくらい。
名文ってなんなんだ……。
でも、よくよく読んでいくと、
作者が素敵だと思ったことがそのまま書かれている。
作者が信じてることがそのまま書かれている。
文章の中に、作者がいる。
それを名文と呼ぶことがわかるんだ。
「これが名文！」なんて答えはなく、
正解があるわけでもない。
ただ、作者が必ず文章の中にいるんだ。
子供からの手紙や、大切な人からの手紙は、
その人が、その人の言葉で読み手に向けて書くからこそ、
価値があるのと同じように。
パリコレだってそうで、
「これがいまの私」と
ファッションの中にデザイナーがいる。
これがなにを教えてくれてるかというと、
難しく考えて正解を探すんじゃなく、
シンプルに自分がいいと信じるものを表現すること。
これなのだ。
料理の正解を探し、
音楽の正解を探し、
色んな正解を探そうとしちゃうけど、
一番大事なことは、そこに作者がいるかどうか。
そして、受け取る人がいるかどうかなんだ。
「これが私の仕事だ！」と言えるかどうか。
「これが私の音楽だ！」と言えるかどうか。
自分が最高だと感じたものを、表現するのだ。
すごくシンプル。
間違うことも、変になることもたくさんあるけど、
長い目で見ると、それが正解になるから。
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美言2710『これがわたしだ！』