kawanobu日記/なお増え続ける本、高価な本をまたまたもらってしまった;ジャンル=読書、出版 画像1

 来る時は来るものだ。最近、立て続けに3点4冊、別々の友人から本が送られてきた。最初に来たのは、新書だから値段は安い(730円+税)。その約1週間後に届いたのが、オールカラーで税抜き2800円もするハードカバー書籍だ。そして最後は、2冊で税抜き5200円にもなる上下巻本だ。

刷り部数の少なさを想像させる価格
 今は大昔、あるブログで本をなるべく買わないようにしていることを書いたが、こうやって買わなくとも本は確実に増えていく
 逆にアマゾンで時々、洋書を注文するし、必要な本は買うしかない。前に長期連載した『カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺』(みすず書房)など、本の余白がないほど書き込みを入れたり、横線を引いたから、買うしかなかった。ただ買う前は、これほどの良書だとは正直、思わなかったが。
 さてハードカバーの本を送ってくれた友人である。事前に進化のことで教示したことがあったので、巻末の謝辞に名前まで挙げてくれた。
 新書は、無名な出版社だから1万部も刷っていないだろうが(最近はよほどの読書家・出版通でない限り、ほとんど無名の出版社も新書に参入している)、ハードカバーは現在の活字離れ時代には臆病な老舗出版社は3000部も刷っていないのではないか。そのことは、定価付けからだいたい想像がつく。
 そんな高価な本を送ってくれるのは、著者にはかなり負担になるのだ。

著書だって自著を8掛けで買う
 一般の人は、著者は自分の本をタダでもらえると思っている方が多いのではないか。確かに「少し」はタダでもらえる。
 一般に出版社で単著を出したとして、タダでもらえるのは、せいぜい10部までというのが通り相場だ。知人や恩師、読んで批評して欲しい先学の方々に送る場合、とうていそれでは足りない。
 すると、どうするか。自分の本を、8掛けで買うのである。
 著作者にもよるが、もうリタイアしたある高名な考古学の先生は、自著を200~300冊も購入して知人・友人に献本していた。購入した代金は、印税引きという処理をすることが多い。
 「先生、それではご印税がなくなりますよ」とリブパブリがかつてその先生にご注進を申し上げると、「いいんだ」と太っ腹な返事であった。
 この方の場合、大学教授を務めていたから、給料は大学から出る。本を出してもその印税で儲けるつもりは全くなかったのだ。ご自身の研究成果を、多くの同業者に広く共有してもらいたいという思いからだろう。

勤め人著者なら気にしなくていいが、フリーなら献本も負担
 さて今回の税抜き2800円の著者も、知人・友人に何冊し献本したか聞かなかったが、あくせく原稿を書いてもタダ働きに近かったのではなかろうか。8掛けで買えても1冊2240円(+税)も出版社に払う。一方で出版社から受け取る印税は最大10%だ。いただいた本の場合、ビジュアルがかなりのスペースを占めているので、その編集コストがかさむから、それだけもらっていない可能性がある。
 彼は公立博物館に勤務している公務員だから、そこから給料は得る。普通の物書きとは違うのだが、それでも給料以外にもらえる金があれば、いろいろ使いたい費目があるだろう。
 逆にフリーの物書きなら、景気よく献本していると、それでなくとも少ない印税が目減りする。しかしそれをケチると、自分の売り込みにはならない。
 そこの案配が、難しいのである。

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