映画”優駿” | カッツミーの競馬道

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長年続けている競馬全体への考えや想い、予想を届けています。

 私が競馬を始めた頃に、”優駿”というダービーを目指すホースマンの映画が作られ上映された。

 

 競馬を始めた頃、ダービーの前日には必ずこのビデオをレンタルして観賞し、翌日のダービーを観戦したものだ。

 

 内容は”オラシオン”という1頭のサラブレッドがダービーを勝つまでの物語である。

 

 

 出演は馬主役に当時人気絶頂のアイドル斉藤由貴、生産者役に緒形拳・緒形直人親子、調教師役に田中邦衛、そして騎手役に当時現役騎手の根本康弘現調教師(藤田菜七子騎手の師匠)、その他騎手役に加藤和宏現調教師や東信二元騎手が出ていた。

 

 日高の小さな牧場に1頭の仔馬が生まれた。当時のリーディングサイヤーを種付けして生まれたその仔馬は気品のある馬で、スペイン語で”祈り”という意味の”オラシオン”と名付けられた。

 

 オラシオンは1987年のダービー馬メリーナイス(当初は同期の評判馬マテリアルだったが、ダービーで惨敗したため、急きょ変更になった)がモデルとなって、映画では実際のダービーや、落馬した有馬記念の映像が使われた。

 

 オラシオンは馬主、生産者、調教師、騎手そしてファンの夢を背負ってダービーに出走する。

 

 映画最大のハイライトは、ダービーの最後の直線の美しい馬の疾走シーンと、着順が確定する歓喜の瞬間である。

 

 ダービーを中団で進めたオラシオンは、根本騎手のムチにこたえ、馬群を抜け出しライバルの追撃を振り切り、1着で入線したが、ライバル騎手から「斜行したぞ。失格だ」と怒鳴られる。その後場内放送で「オラシオン号の最後の直線での進路について審議します」とアナウンスが流れる。

 

 ゴール後の検量室前、オラシオンの関係者が結果を祈るように待っている。根本騎手は検量室の中で厳しい表情を崩さない。

 

 長い審議の後、場内に「オラシオン号の進路について審議しましたが、着順を変更するには至らず、到達順位のまま確定します」のアナウンスが流れた。

 

 歓喜の検量室前。関係者が涙を流し抱き合って喜んだ。根本騎手はライバル騎手から「やったな!おめでとう」と祝福をうける。

 

 オラシオンは優勝レイをまとい表彰式に向かうが、

 

 鞍上の根本騎手 ・・・「下手な乗り方してすみませんでした」

 

 斉藤由貴    ・・・「ありがとうございました」

 

 その後、根本騎手を乗せたオラシオンは地下馬道をウイナーズサークルに向かって歩いていき大歓声を浴びる。

 

 

 

 毎年ダービーが近くなると、この映画を思い出すが、競馬に携わるホースマンの全ての想いや願いや夢がダービーに詰まっていることが解り、少しはホースマンに近づけた気がする。

 

 競馬をモチーフにした映画は、私が知る限り”優駿”しか知らないが、競馬ファンは是非一度は見て、競馬の魅力をあらためて感じてもらいたい。

 

 そして今年もダービーがやってくる。