前回↓の続き。

 『Airdogの話その3 製造会社と米国特許を調べた』前回↓の続き。『Airdogの話その2 簡素な外装と内部構造で不安になった』前回↓の続き。『Airdogの話その1 X3s発注→到着→不信感。』コロナ禍の前か…リンクameblo.jp

 

 

 

■前回のあらすじ

 

Airdogの正式型式名KJ300F。
設計がアメリカシリコンバレー。
製造は中国蘇州。

 

「米国特許」も調べたら間違いではなかったが・・・説明不足感。

まだモヤモヤが取れない

 

 

Airdogの宣伝広告には、

「シリコンバレー発」や

「米国特許」

以外にも様々な美辞麗句が並ぶ。


0.0146μmの微細粒子を99%以上除去”

”PM2.5など有害物質を99%以上除去”

”30分でお部屋がキレイに”

 

Airdogの性能を示した文句だ。

 

 

今回これらAirdogの性能値が、どこまで試験で証明されているか調べてみたの話。


 

■Airdog日記 全10話(予定)

1. X3s発注→到着の話
2. 外装と内部構造を調べた話
3. 製造会社と「米国特許」を調べた話
 

4. 性能試験結果を調べた話 ←今回
 

5. TPAフィルターを掃除してみた話
6. 買った理由:部屋換気の限界
7. 買った理由:HEPA式空気清浄機の限界
8. 故障?弱点判明・置き場所変更の話
9. AirdogX3s使用レビューまとめ
10. HEPA式空気清浄機との違い

 

※今回長文なのでページ最後にまとめを書いときました

 

 


 

  Airdogの試験実施機関

 

まずは日本販売代理店HPのFAQを見てみる。

 

 

「PSE=経済産業省 TELEC=総務省」

と書いてある。

書き方が乱暴すぎるな。

 

PSEとは:

電気用品安全法。

電気製品の不具合を見張る法律。(正常変圧、漏電やサージング等)

 

TELECとは:

(テレコムエンジニアリングセンター)

電波法・電気通信事業法登録の証明機関。
ケータイの電磁波など。

 

つまり。

これでは「ウィルス除去性能」の証明になっていない。

 

 

■マニュアルに試験実施機関の記載アリ

 

日本省庁の認可以外に他に証明は無いのか?

と探していると。

 

今度はAirdog X5sの製品マニュアルに、それらしき文字が見つかる。

 

 

さっきからとにかく字が小さい

 

「確かな技術」って言うんだから堂々大きく書けばいいじゃん。

やましいことでもあるのか?

 

 

まぁいいとして。

 

この計3種の試験機関。

長ったらしい名称が混じっている。

適当に長い名称つけて、実は存在していない機関とか?

 

 

全部調べてみた。

 

 

■試験機関1. 

Guangdong Detection Center of Microbiology (GDDCM)

 

意訳「広東省微生物分析検査センター」

 ↑

しっかりとしたHPだ。

 

が。

なんつったって中国の試験機関だからなぁ。

って、疑ったら失礼な気もするが、どうなんだろう。

 

 

■試験機関2. 

Jiangsu Calibration and Supervision and Inspection Center of Clean Equipment

 

意訳「江蘇省清浄機測定監督検査センター」

 

これは調べるのにかなり苦労した。

Google先生に聞いてもなかなかズバリなページが出てこなかった。

 

日本でいえば、東京都福祉保健局だろか。

 

 

でも「空気清浄機専門」の検査機関って。

さすが、大気汚染が常態化している中国ならではというところか。

 

前回も書いたが、Airdogの製造地は中国江蘇省蘇州。

「地元の検査センターで検査してもらいました」って感じだろう。

 

 

■試験機関3. 

Societe Generale de Survellance SA

 

何か聞いたことあると思ったら。

やっぱりSGSのことだった。

説明するまでもない。スイス本社の検査試験機関。

 

 

 

■ここまで整理

 

ウィルス試験は広東省の微生物研究所

ブドウ球菌は江蘇省の清浄機専門の検査機関

細菌、PM2.5、ホルムアルデヒド、揮発性化合物は、有名なSGSで試験実施。

 

いずれも実在する試験機関だった。

 

 

なおこれらの試験機関は、日本製含め他社製品も試験を実施している。

 

下↓の画像は

「Guangdong Detection Center of Microbiology」

に試験委託した製品の一部。

 

三菱電機製ハンドドライヤージェットタオル

 

 

三菱電機製空気清浄機「MA-WPV90B-W」

 

 

Electrolux社製空気清浄機「Pure A9.2」

スウェーデンの家電メーカー。

 

 

 

  Airdogの試験結果を探した


前述の3つの試験機関が発行したであろうAirdog(KJ300F)のTest report(テスト結果)またはCertification(認定書)を探した。

 

かなり時間かかったが、

見つけた。

 

 

(以下、お題目は該当文書pdfページのリンク)

 

■1. GDDCM発行のAirdog性能試験結果

 

 

※スペース都合上、一部画像上下を詰めたページ有

 

■GDDCMでの試験結果

 

H3N2インフルエンザウィルス

Removal rate(除去率)99.876%

 

→宣伝と相違無し。

 

 

■2. SGS社発行のAirdog性能試験結果

 

 

 

※スペース都合上、一部画像上下を詰めたページ有

 

■SGSでの試験結果

 

PM2.5

Elimination ratio(除去率)99.9%以上

 

Bacteria(バクテリア:細菌)

除去率 99.9%以上

 

Formaldehyde(ホルムアルデヒド)

除去率 99.9%以上

 

→宣伝と相違無し。

 

 

■3. 江蘇省検査センターの性能試験結果

 

「Jiangsu Calibration and Supervision and Inspection Center of Clean Equipment」の試験結果は・・・

 

これはなかなか見つからなかった。

英語、中国繁体語も駆使したが、ダメ。

 

格闘して1週間ぐらいかかって、ようやく見つけた。

 

 

下部組織だと思われるが「蘇州市計量測試研究所」なる組織が試験したらしい。

 

 

※スペース都合上、一部画像上下を詰めたページ有

 

■蘇州市計量測試研究所での試験結果

 

Staphylococcus(ブドウ球菌)

Rate of Bacteria Removal

(除去率)99.94%

 

→宣伝と相違無し。

よく考えたらブドウ球菌もBacteria、細菌の一種?
だったらまとめてSGSに試験依頼すればよかったのでは?
委託料の問題なのか捏造の容易さか・・・

 

 

かなり苦闘したが、製品マニュアルに記載あった試験項目の結果が出そろった。

 

■ここまで整理

 

試験結果データに改ざんが無いか、試験方法にインチキが無い前提で、

性能試験結果は出ていたことが分かった。

 

だが。

ここまでで見つからなかった宣伝文句もある。

 

 

  0.0146μmうんぬんも調べた

 

”0.0146μmの超微細物質を99%除去!”

※μm:マイクロメートル

 

CM等で一番目に付くこの↑宣伝文句。

 

 

■0.0146うんぬんの試験機関

 

日本代理店HPのFAQに、試験機関名の記載がある。

 

「検査機関:National Center of Quality Supervision and Inspection and Testing for Air Conditioning Equipment」

 

 

 

製品マニュアルも探してみたら、珍しい?発見をした。

 

「X3s」の製品マニュアルより

 ↓

 

「X5s」の製品マニュアルより

 ↓

 

X3sの方には、すごーく小さな文字で

「試験機関:National Center of Quality Supervision and Inspection and Testing for Air Conditioning Equipment」

とあった。

 

X5sのマニュアルには試験機関の記載が無い。

 

X5sの方がフラッグシップモデルなんだから書くべきだろう。

いや、両方のマニュアルに平等に書くべきだろう。

なんだろうこの抜け漏れ。

 

 

上記機関名を検索すると、

National Center of Quality Inspection and Reserch On Product in Shanghai

のページに飛んだ。

 

 
勝手に訳せば

「国家上海産業品品質監督検査研究所」

というところか。

 

中国国内最初の、国営の家電品質検査センターらしい。

このセンターの試験結果もウソ・インチキだったら、国家ぐるみでのウソ付きってことですね。

まぁ、そういう国かもしれないなと思うところはあるが。

 

さぁ、この機関発行の証明書を探すぞ。

 

 

■他にも多くの試験結果が出てきた

 

「National Center of Quality Supervision and Inspection and Testing for Air Conditioning Equipment」

なる機関による、

「0.0146μmの超微細物質を99%除去」

の試験結果を探していると。

 

不思議なものが見つかった。

 

 

Airdog X5s(KJ300FX5s)性能にかかる試験結果表の全てが掲載されたページを見つけた。

 

↑画像は表紙のみ。

 

 

このpdfは、Airdogを設計・販売する会社「Silicon Valley Air Expert Inc.」社が発行するカタログだと思われる。

 

 

このファイルはすごい。

 

 

何がすごいかって、さっき書いた↓の試験結果が付いていたのはもちろん。

 

・インフルエンザウィルス除去性能

・ブドウ球菌除去性能

・細菌、PM2.5、ホルムアルデヒド、揮発性化合物の除去性能

 

 

その他の試験項目結果も付いていた↓。

 

・超微細物質除去性能

・ISO、IntertekETLなど各証明書

・PM2.5試験は、SGS以外の世界的に有名な検査機関である「TUV SUD(テュフズード)」の試験結果も掲載。

・CADR(Clean Air Delivery Rate:浄化空気供給率)

・CCM(Cumulate Clean Mass:累積空気浄化量)

CADRとCCMは何故かご丁寧に計3機関の結果を掲載。

 

 

やっぱり、ちゃんと試験していたようだ。

 

ならば、このレポートを日本代理店HPに掲載しても良かったのでは?

 

 

というか、さっきまで延々と、試験結果を探していたパパオの努力が少し無駄になっちまった・・・

それはまぁいいですが。

 

 

■0.0146うんぬんの試験結果

 

上記全ての試験項目を見ていくヒマはないので、

一番大事な

超微細物質の除去性能

この結果だけ見てみることにした。

 

 

試験機関は前述の

National Center of Quality Inspection and Reserch On Product in Shanghai

 

 

どうやら

・14.6nm(ナノメートル)=0.0146μm

・51.4nm

・101.8nm

の3種の微細物質の数量がどれだけ減衰していくかを

1分単位で測定した模様。

 

 

その結果が下。

 ↓

 

40分経過後、

3種の微細物質の除去率99.7%

という結果に見える。

 

60分後にはその率は99.9%を上回るという結果。

 

■Airdog微細物質除去試験の補足

※pdfに記載あり

 

 

試験場所:

Environmental chamber(人工気密室)

広さ30m3。

 

試験測定装置:

Condensation particle counter(CPC)

(粒子測定機)

Laser particle counter

(レーザー式粒子計測器)

 

 

ウィルス除去性能の試験方法は、JAMA(日本電機工業会)で定義がある。

「20~30m3の試験チャンバー内に試験品を設置し、ウィルスを浮遊させる」

参考文献:JAMA

 

→Airdogのこれ以上の詳細な試験方法は分からんが、広さと測定器はJAMAの定義と同じ。

 

 

調べて、見つかって。

正直驚いた。

 

インチキやデータ値改ざんが無いとは断言できない。

だが、ここまで試験結果の詳細をカタログに載せるのは、日本製品でもあまり見たことがない。

 

 

しかし、日本代理店はなぜこれを堂々と公開しないんだろうか?

 

うーん。

やっぱインチキテストだからか?

 

 

■ここでもハッキリおことわりを書く

 

試験結果が出ている=性能が高い

とは断言できない。

 

あくまで閉塞空間内での試験であり(日本製も同じだけど!)、実生活環境下で測定値どおりの性能が発揮されているかどうかは、精密な測定器が無い限り、製品を使った本人の実感覚でしか分からない。

ので、信じるか信じないかは、自分次第です。

 

 

■今回日記まとめ

 

多くの性能試験結果証明書が見つかり、Airdogの各宣伝文句は(性能試験がインチキでない限り)間違いではないことが分かった。

 

ただ、日本代理店のHPや日本向けマニュアルに、丁寧で正確かつ詳細な記載をしていないのは残念。

 

 

 


 
今回はここまで。
 
次は「Airdogを3週間使ってフィルターを掃除してみた」を書く。
 
 
マル