香取金光教の教えに神戒十箇条があります。
最初に「天道を知りて地の徳を知らぬこと」との戒めがあります。
この十箇条はわりと分かりやすい言葉で書かれていますが、前期の最初と最後の「真の信心なきため真の信徳無き事」はやや分かりにくい感じがします。
天道とはご存じのごとくお天道様であります。
太陽の恵みを感謝する者はいるが土地の恵みを感謝する人は少ないとの解釈であります。
土地の恵みとは昔は農業するときの作物の実りのもとであります。
最近では「地」とは地球を意味するくらい地球の環境や災害といった「地」の恵みの感謝がないとの解釈であります。
私は人生においては「地」の関係で大きなおかげをいただいたと思っております。これも3代にわたって天地の神様を信仰したおかげかもしれません。
私の「地」とは地盤、地質でありまして昭和52年に学校を卒業以来、地盤の調査や改良工事の仕事をしてきました。
岡山は干拓地が多く地盤が軟弱で住宅を建てると度々沈下して困っておりました。住宅会社から対策を相談され住宅では行っていなかった地盤調査をすることをお勧めしました。地盤が悪い時の対策としては当時の土木先端技術を取り入れて地盤改良することを提案しました。
丁度昔の当教会所が不同沈下もあり古くなったので、建替えを計画しており社長に頼んで実験的に我が家に採用することにしました。今では住宅の地盤改良は全国に普及しておりますが当時木造在来住宅に採用するのはおそらく日本で初めてであったと思います。
後から言われますがその時特許をとっておれば今頃はすごいことになっていたのではないかとよく言われました。
それからは口コミで住宅の地盤改良が広がり宣伝することはなくても次から次に仕事が来るようになりました。
それにつれて会社は大きくなり、まさに「地」の徳で大きなおかげをいただきました。
私は40歳で役員にしていただきましたが、その後お家騒動もあり50歳前に退任し違う会社へ移りました。そこでも数年で経営の仕事を任されましたが60歳で会社は買収され退任しました。
いろいろ苦労もありましたが振り返ってみますと、日本で最初に成功した技術をいろいろな人や会社に頼まれれば教えてあげて普及に役立ったのが良かったと思います。
何かあるとその人たちが次から次に助けてくれたのです。いまでも教会の仕事と副業で自営業を行っていますが、その関係でいろいろな仕事を頼まれて忙しくさせていただいております。
坂村真民さんの詞に「尊いのは頭でなく 手でなく 足の裏である 一生人に知られず 一生汚いところと接し 黙々として その務めを果たしていく。。。」
私の土地の仕事もそのようなところがあります。「ああいい家だなぁ」という人はいるが「ああいい基礎だなぁ」という人はまずいません。しかしこの地盤にユーザーの夢が建つのだという思いで黙々と仕事をしてきたのであります。
それもあってか地の徳のおかげをいただいたのかもしれません。
このように私は身をもって「地の徳」を実践させていただいたおかげで今があると思っております。皆様も地の神に感謝されると大きなおかげがあることを忘れないようにするとよいかと思います。