マグロにぎり万引き猟師 vs 17歳マグロ漁船乗船記 | katoo the world

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商業施設でマグロのにぎりずしを盗んだとして、兵庫県警洲本署は、窃盗の疑いで、同県洲本市の漁師の男(74)を現行犯逮捕した。

逮捕容疑は洲本市塩屋のイオンスタイル洲本で、
食料品2点(計1291円)を盗んだ疑い。男は容疑を認めている。

男はマグロのにぎりずし2パックや牛肉などをかごに入れ、代金を支払わずに店を出た。
すしをかごに入れる様子を見ていた男性従業員(64)が、男が店を出たところで声をかけたという。

先日、近隣のショッピングモールにありながら、漁港直送を謳う鮮魚店に訪問した。

元々本店には訪問していたのだが、正に漁港横にあり、高速道路で片道2時間程度かかるので、今回の出店には大いに期待していたのだが、結果は予想以上である。

1メートル近くのヒラマサや見た目鮮やかな真鯛、豪快に切り分けられたマグロ、生け簀内では座布団の様にデカいヒラメがおり、他にも通常の鮮魚店では中々見ない珍しい魚がこれでもかと並んでおり、何とも楽しい。

自宅近くにも漁港の様な鮮魚店が有り、丸ッと一匹購入しては捌いて調理している。

元々料理が趣味なので、包丁捌きなどお手の物だが、今回伺った新店の魚は中々手強そうだ。

ホウボウとかマツカサダイとかオニカサゴとか、何をどうすれば良いのか?
3枚おろしという概念が通用しない、特殊装甲かの魚介を前に暫し狼狽えてしまう。

まあ、今回は夕方に伺ったので、調理の手間のかからない魚介のみを購入したのだが、近々でリベンジしたい所存だ。

さて、そんな大人楽しい鮮魚店ではあるが、商業施設でマグロのにぎりずしを盗んだとして、窃盗の疑いで漁師の男(74)が逮捕されたと聞き、何とも遣る瀬無い想いでいる。

漁師なのだから、わざわざマグロの握りを盗む事もあるまいに…、とも思ったが、もしかしたらこの男性、借金返済の為にマグロ漁船に乗らざるを得なかった多重債務者なのかも知れない。

債務を整理し終え、永年の船上生活から陸に戻ったモノの、全てを失った男性はフラフラと当て所無く彷徨う。

そんな中、ひもじい想いで立ち寄ったショッピングモールに、マグロのにぎり寿司が陳列されている。

債務を返済する糧となったマグロ。
そして同時に、彼から全てを奪ったマグロでもある。

感謝と復讐の想いが交錯し、混沌とした意識の中、彼はマグロにぎり2パックを持ち出し、万引き犯として逮捕されてしまったのだった。

此処で私は数奇なる人生を送らざるを得なかった独りの男を思い起こさずにはいられない。

そう!賢明なる我がブログ読者諸氏に至っては、既にお気付きの事であろう、「借金を返すためにマグロ漁船に乗っていました」の著者、菊地誠壱氏その人である。

両親の事業失敗により5000万円の借金を背負い、借金返済の為、17歳にして親の頼みでマグロ漁船に乗せられた男性のルポ、菊地誠壱著「借金を返すためにマグロ漁船に乗っていました」が興味深い。

大半が果てなく続く船酔いと、船員によるパワハラで埋め尽くされる書籍ながら、それでも前を向き、少しずつ成長して行く著者が実に逞しい。

「親の借金を返済する為にマグロ漁船に乗せられる」と言う理不尽を受け容れ、そんな場に於いても少しでも役に立てる様、努力と工夫を重ねる。

端から見れば余りに不憫な青春にも感じるが、当の本人は「まあ、そうかも知れんすね…」と、苦笑いして作業に戻るかの漢らしさを感じずにはいられない。

辛くとも、厳しくとも、俺にはもう、マグロしかないんですよ…。

そんなMr.SASUKEかの悲壮な決意すら垣間見えるのだ。

年末恒例のテレビ番組「新マグロに賭けた男たち2024天国か地獄か」の放送も決まったが、「黒いダイヤ」と称されるマグロにより、人生を狂わされる者は少なくない。

しかし、こう言っては何だが、高々1291円のマグロにぎりパック万引きが新聞記事となると言うのは、中々に世知辛い現代日本ではある。

せめて「ワシのじゃあ!ワシの釣り上げたマグロなんじゃあ!」と取り乱す所まで書き起こして頂きたい次第である。

かとぅ