ACジャパンCM「聞こえてきた声」vs ”変な人”価値観の押し付け | katoo the world

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ACジャパン2023年全国キャンペーンCM「聞こえてきた声」が話題となっている。

下記ACジャパンHPより抜粋

私たちは、無意識のうちに性差や男女の役割について固定的な思い込みや偏見を持ってしまいがちです。本当はもっと働きたいのに。本当はピンクが好きなのに。本当はパイロットになりたいのに。男性はこうあるべき、女性はこうあるべき、という社会の偏見によって苦しんでいる人、何かを諦めようとしている人がいるとしたら。その人たちの選択の自由が今よりも増える社会になればと企画されました。マンガのセリフをフックに、ジェンダー平等について考えるきっかけをつくります。

●テーマ:ジェンダー平等
●広告会社:ADKマーケティング・ソリューションズ
●掲載メディア:テレビ/ラジオ/新聞/雑誌 他

「オギャー、オギャー」

「はいは~い。今行くね~」「よしよし」

「会社の方針を発表します」

「ご飯だよ~」

「将来の夢はパイロットです」

「支払い。カードで」

「ピンクのがいい!」

「サッカーしようよ~」

「子供が熱を出したので有休をとらせてください」

「聞こえてきたのは男性の声ですか?女性の声ですか?」

「無意識の偏見に気づくことから、はじめませんか?」

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我々の日常で「聞こえてきた声」。

脳内で再生される声が、男なのか女なのかで、ジェンダー平等について考えると言う、問題提議を主軸にしたACジャパンCMとしても異質なつくりである。

まー、私は「男とはこうあるべき。女とはこうでなければならない」…と言った前時代的な価値観を押し付けられて育って来た自負が有る。

流石に「長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった」と迄は思わないが、些か理不尽ながらも、そう言うモノとして受け入れて、是迄生きて来た。

そんな私に先述の台詞に関して「聞こえてきた声」は…

「オギャー、オギャー」>おむつが濡れてグズっている赤ちゃん。

「はいは~い。今行くね~」「よしよし」>洗い物途中でエプロンで手を拭きながら、パタパタとスリッパを響かせるお母さん。

「会社の方針を発表します」>会社としては苦境であり厳しい方針転換は余儀なくされないが、変に重い雰囲気にならない様、努めて明るく振り舞う男性取締役。

「ご飯だよ~」>『うん!今日のカレーは中々の出来ね。昌ちゃんも喜ぶ筈!』と、会心の出来のカレーにご満悦なお母さんだが、その後昌ちゃんから「あー、今日は友達と食べ行くからいらないわ」と部屋から言われ、怒りの余り独りで全てを喰らい尽くす。

「将来の夢はパイロットです」>優等生っぽい男の子がクラスの気になる女子の反応を伺いながら言ってみたが、当の女子はトイレを我慢していてそれ所では無い。

「支払い。カードで」>同伴する女性がトイレに立った合間に支払いを済ますと言う、自分のスマートさに「おしっ!今日こそはエロス、行けるだろう」と期待を寄せる中年男性だが、女性はトイレに行ったのでは無く、実は待たせている次のパパ活相手に「ゴメン、少し遅れる」と連絡を入れている。個人的には複数人の男性と同じホテルで落ち合うのは、些かリスクが高いので配慮すべきだと感じる。

「ピンクのがいい!」>サンタさんはいないなんて事は随分前から知ってるけど、親には知らないふりをして「サンタさん、今年は来てくれるかな~、ワクワク!」とか言って、親から少しでも金を引き出そうとするオマセな女の子(6歳)。

「サッカーしようよ~」>「キャプテン翼」大空翼(小学生編)役:小粥よう子

「子供が熱を出したので有休をとらせてください」>”ヒステリックなシングルマザー役”と言う、是迄とは異なる新境地にチャレンジする長澤まさみだが、違和感は無いと言うか、彼女の本質こそが実は”ヒステリックな毒親性”にあるのでは?…いや、こんな事を考えさせる程の迫真の演技こそが長澤まさみの凄みか…。

…などと、ステレオタイプに受け取ってしまった次第だ。

CMの主旨の通り、確かに私の「無意識のうちに性差や男女の役割について固定的な思い込みや偏見」が裏打ちされた結果となった。

「将来の夢はパイロットです」と言っているのが、中年童貞42歳持田初治郎でも良いし、「サッカーしようよ~(ニチャア)」と、公園で遊ぶ女児に声を掛けているのが、中年童貞50歳田所太でも良いし、「ピンクのがいい!」と言っているのが、中年童貞63歳山本大三郎でも良い。

「支払い。カードで」と言っているのが、社長令嬢の短大生ティックトッカー、伊集院佐和子(18)で、支払先は銀座の名店「寿司銀」の大将”江戸前の魔術師”南川源太郎でも良い。
「へえ!いつもお嬢にはお世話になってますんで…、へえ!」と、名店の大将ながら些かヘコヘコし過ぎなのが気になる。

「子供が熱を出したので有休をとらせてください」と言っているのが、一人息子を自らの不注意で死なせてしまい、それ以降精神に変調を来した主婦、林田桐子(38)でも良いし、夫である林田陽太(43)が「もうあの子はいないんや…。桐子ッ、もう忘れなアカン…」と、泣きながら桐子を抱き抱えるが、桐子は虚ろな目で「子供が熱を出すと、何で母親が休まないといけないの?アンタが休めば良いじゃない?」と、ブツブツと続けているのかも知れない。

何れにせよ、今回のCMテーマである「無意識のうちに性差や男女の役割について固定的な思い込みや偏見」は排除して行かなければならないとは思うが、同時にこのCMこそが「固定的な思い込みや偏見」の塊では無かろうか?

「サッカーしようよ~」が男の子で、「ピンクのがいい!」が女の子に聞こえる事の、何が”固定的な思い込み”や”無意識の偏見”なのかは知らんが、多様性を求めると言う事は、「固定的な思い込みや偏見」を含めた、多様な価値観を認めると言う事であろう。

「将来の夢はパイロットです」と言う、中年童貞42歳持田初治郎や、「支払い。カードで」と言う社長令嬢の短大生ティックトッカー、伊集院佐和子(18)を認めない訳では無いが、だからと言って「サッカーしようよ~(ニチャア)」と、公園で遊ぶ女児に声を掛ける中年童貞50歳田所太や、「ピンクのがいい!」と言う中年童貞63歳山本大三郎と言うレアケースを、即座に「聞こえてきた声」としてイメージ出来ると言うのは、中々に無茶だし、私の描く上記の方々は、「固定的な思い込みや偏見」に対する反感を元に、悪意を込めて作為的に作られた”変な人”である。

何も変だから認めないと言う訳では無いが、変な人を「変と思うな!」と言われても、「変を変と言って何が悪い!」と言う事にも繋がる訳で、どうにも居心地の悪い世界である。

要するに「”変な人”を基準とした価値観を持つのは一向に構わんが、ソレを”普通の人”に押し付けるな」と言う事である。

是にてジェンダー平等に於ける議論は終了!

かとぅ