今年の早稲田の教育学部の複素数平面もなかなか面白い問題でしたが、こちらの問題の方が数学としてシンプルで美しい問題のように思います。難度評価もわりと最高レベルに近いのですが、実は前回、前々回で述べたことと逆像法基礎編を理解していれば、それほど高度なことが要求されている問題でもありません。
まずは、問題を見てパッと浮かんだ方針が4つほどあり、うまくいけば処理が楽そうな浮かんだ順に左側に簡単にまとめてみました。右側は不採用案の解き終わった後の自分の判断が正しかったかの軽い検証です。
このアプローチの幅の広さが複素数平面の面白さであり、難しさでもありますね。。α/βが実数ってだけで
ベクトルベースの「実数tとおく」
複素数平面オリジナルの「複素共役が等しい」
極座標ベースの「偏角が等しいか180°ずれる」
など3つも代表的なアプローチある時点で、それぞれの長所をある程度把握していないと対処しきれない特殊な範囲のような気もします。
(案1)は複素数のまま条件を整理していく
(案2)は解と係数の関係から一発で持っていけないか
この最初の2案はα/βが実数という条件を使いづらく、共通する欠点を避けるため先にα/βが実数という条件を片付けて具体的な処理の方向を見極める方針に切り替えます。
(案3)は(α/β)=tとおいてしまい極座標or極形式で攻める案
(案4)はα/βが実数→一直線上から極座標or極形式で攻める案
です。ここで仕事での優先順位も鑑みて、(案3)→(案4)の方でいこうと考えました。
しかし(案3)で一応仕事で1番使いそうな極形式処理をやっている時に、tが想定より無様な形になったので、「うーん美しくない解法だなー」と思い、とりあえず最後までやった後、マイ本命の(案4)の極座標処理でやってみると、想定通りスムーズにいきました。
「やはりいくら定番処理でも、新しい変数を導入するのはリスクもあるな」「可能なら全ての条件はベースを揃えて処理というのを軸においた方が最善解法にいきつく可能性が高そうだ→検証中」と改めて勉強させられた感じです。
ブログの内容の流れから、まずは(案4)の極座標アプローチをこちらを利用して無駄を削ぎ落としたものからいきます。
まず、(α,β,z)を複素数の「ベクトル分移動する写像変換(和差の時)」兼「回転拡大する写像変換(積商の時)」とみて
「zを固定して与えられた条件を満たす(α,β)の存在するzの範囲」を求めにいきます(気持ちだけ)。
α+β=z
α/β=(実数)
の2条件から3つが同一直線上にあり、極座標に置き換えて「αの動径方向をr>0の方向と決め、βとzの動径の長さの正負は演算の結果に任せる」と基本方針を定めます(物理の速度とかに似てませんか?)。
そうすると
「全部同じ偏角方向だけ考えれば良い」
↓
「足し算のみで全く場合分けが必要なくなる」
↓
「範囲を求めたり存在条件文字を追求する文字を「複素数」→「動径の長さと偏角」の実数の2変数に単純に置き換えられる」
という流れで気持ちだけから処理可能な形に置き換えられます。
ここまできたら、動径の長さの存在条件はまんま実数の解と係数の形をしているので、こちらの逆像法で追求し、偏角の存在条件はただの1次式なので素直に代入して範囲を求めました。
最後に図示する直前に、動径長さの負のとき偏角をπズラして正に戻して終了ですね。そして、図示する時には偏角を固定して動径をイメージし、こちらの1番下の考え方をベースに放射状にファクシミリを6方向のみに流すイメージで図示します。
この解法の長所は
複素数の写像
極座標の基礎
逆像法の基礎
の3つだけで、処理に慣れていればほぼ迷わず解けることにあります。すこしはr<0も悪くないというのが伝わったでしょうか?
(高校数学においてのリスクはこちらに書いたように「複素数平面上でのz=α+βの関係を極座標においてr<0を考えて偏角一定とすれば成立するというのを証明なしにつかってよいのか?」というところにあります。現在の受験数学でOKとされている内容からどう感じられるでしょうか?ただ、それさえ許されれば最も無駄を削ぎ落とした解答のはずです。)
このメリットを体感してもらうため、次回後半でちゃんと場合分けしてやってみます(→泣きたくなります)。前半ではついでにこれの極形式版もやります。当然緑枠部分に大きな違いがあらわれますが、極形式≒極座標というのが伝わるかと思います。
↓内容が良いなと思っていただければご協力お願いします。
家庭教師 ブログランキングへ
大学受験 ブログランキングへ