極座標のr<0(負)ってなんのためにやるの? | 受験で実力を得点に変えよう(家庭教師の心がけ)

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家庭教師歴約25年。医学部東大など難関大学受験生中心に教えてきました。ちょっとした工夫でケアレスミスを防ぎ実力が点数に反映させる実践的方法や受験生の質問の多かったポイントや過去問などのブログにする予定です。ご連絡あればkatekyo424-public@yahoo.co.jpまで。

さて、前回書いたように、質問の答えの1つは極方程式の双曲線2本を1つの極方程式で表せることです。これは青チャートとかにも載ってることですね。その双曲線の極方程式の分母が負になる領域を実際計算してみて、どう図示すれば良いでしょうか?そこに答えがあり、結構複素数平面や極座標の見え方が変わると思います。



「xy座標にできて極座標にできないことは何か?」と考えてみて下さい。そこで、改めてxy座標の凄さを考えてみます。



(簡単な内容ですが、どうしても1箇所だけ大学で習う内容にかするので、やむなくこんな感じで少しずつ補足してあります。そこはなんとなく流して「色々あるんだなー程度」で今は大丈夫です。主要な内容だけでも是非一度理解して下さい)


x-y座標は偉大です


xy座標は、各座標が直角で真っ直ぐに伸びているおかげで、数直線と同様足し算や引き算が簡単にできます。これって当たり前すぎてあんまり有り難みがないとは思いますが、凄いメリットなんです。


少し具体例で見てみましょう。まずこのようなx-y座標の4つの原点からの位置ベクトルを考えてみます。4本は全て同一直線上です。鋭い方ならこの図をみて全てわかるかもしれません。

{D31D6F9C-13FA-4D17-B2D4-32BE88EF9A32}


上の4つの位置ベクトルの成分を例えば以下のように定めるとします。


{DE193B41-D63F-4ABF-ABEA-18EA0521B7A2}


これらは数学Bでやったように、当然のように足したり引いたりできますよね。


{2E263014-BBDF-405A-931F-DC4ED560A462}


このことは実はすごいことなんです。それは極座標で同じ状況を考えるとわかります。


極座標の弱点


では、極座標で、仮にベクトルの成分をxy座標と同じように表せると仮定するとどうなるか考えてみます。

(極座標をベクトルのように書いていますが、実はここが少しやばいです。極座標の単位ベクトルや演算自体高校数学では定義してないんです。ここでは極形式と極座標の関係性をなるべく高校生向けにわかりやすく導入するため、「ベクトルのようなもの」を今回の具体例の説明の間のみ限定でこう表しているとさせて下さい。向学心のある方のため、念のため本編が終わってから最後に軽く補足します。)


{3E9EBE46-49A0-460D-AB70-2ABC5094A625}


後ろ2つは左下方向に伸びてるのでので、偏角を+πしないといけなくなります。ただ、この場合は図を具体的にかける状況なのでなんとかなります。


{EA157DFC-CA67-49F7-9D61-501DBE76DAF5}


3つ目だけ左下方向に伸びるので、偏角がかわります。これがもし2つのベクトルがある直線上ということしか問題で与えられていないとという、ベタなシチュエーションを想像して、極座標で足そうとしてみて下さい。。。


「偏角はθ or θ+πとかあって、仮に両方同じ方向ならこうなって、仮に逆方向むいるなら、こっちが長ければ偏角はθでこっちが短ければ偏角θ+πで。。。こんな単純なこといちいち場合分けなんてやってられーん(>_<)」となります。ここは3回後くらいに具体的な問題でやるので、「やってられーん」っぽいと思ってもらえれば大丈夫です。これをやる位なら(rcosθ,rsinθ)とxy座標に直した方が良いと思います。


では、極座標の場合どうにもならないんでしょうか?そこで、本題のr<0の出番となります。


極座標の弱点を解決する


{A47E4D3C-17D0-437E-818B-CCB849B04043}


r>0において(-r,θ+π)=(r,θ)なんて書いていいるのが普通の書き方です。r-θ座標でr<0を考えて「負の場合は極に対して対称移動してね」ってことを強調するため

(r,θ)=(-3,θ+π)→(3,θ)

と書きましたが、同じことなので理解しやすい方で理解してもらえれば大丈夫です。


こうすることで、一直線上の逆方向に対してアプローチしやすくなります。具体例を考えればすぐに理解できると思いますので、さっそくこの定義に従って前述の各ベクトルをπ/6の偏角に揃えてみます。


{BAC74057-347F-4517-A2F2-F00D5C3DAC8F}

すると足し算の結果は以下のようになります。

{0FC63880-6F3E-48C9-8D90-4C2FB427E530}

これの極座標のrのことを動径の長さというんですが、その動径の部分のみに着目して下さい。

動径の長さ
2+4=6
4+(-2)=2
2+(-4)=-2

となります。ただの足し算になりますね^_^偏角は常にπ/6のままで、演算が全て終了した後最後に図を考える直前で、r>0の形に戻せば良いと考えます。

これによって同一直線上の座標やベクトルを考えたいときに、

「方向がどっちかわからなくても、偏角を固定して考えられる」

というメリットができ、その和と差は動径の長さの和と差として処理できます。(が、これ位当たり前のことでも、上述した理由で、演算を定義しなくて良いのか?それで解答で使っていいか?などと迷う羽目になり、仕事でも使いづらいんですよね。。。双曲線はOKでも、これ位の足し算位ダメなんだろうか??ここでは、複素数写像変換における極形式と極座標の本質的なつながりを明らかにしたいので両方やりますが、くどいようですが危険と判断すれば極形式や|z|,arg zを使って下さい。)



具体的な恩恵のある例に行く前にもう少し我慢して下さい。ここで、1つ疑問がわかないですか?


「極座標≒極形式だったら、極形式でもできるんじゃね?でも、普通教科書に載っている極形式はr=|z|>0ってかいてるじゃん?!


当然そう思いますよね(^_^;)具体例に行く前にまず、次回そこを解決してしまいます。少なくとも複素数平面で考えるのは、ちょっとしたトリックで完全に高校数学の範囲内で説明できます。




(念のため補足)→大学では、以下のように極座標では単位ベクトルを表して使います。方向はそれぞれ正方向に微小変化した方向で、数3の積分でほぼ使ってるに等しい内容です。詳しくは線形代数でベクトルの本当の定義、ベクトル解析で微分や座標変換といった道具としての使い方なんかを習うはずです。


{F4C0CBF3-78AA-4483-9D86-6E53A415D2E5}




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