複素数平面アプローチの基本姿勢(早稲田大学教育学部2017年数学第2問) | 受験で実力を得点に変えよう(家庭教師の心がけ)

受験で実力を得点に変えよう(家庭教師の心がけ)

家庭教師歴約25年。医学部東大など難関大学受験生中心に教えてきました。ちょっとした工夫でケアレスミスを防ぎ実力が点数に反映させる実践的方法や受験生の質問の多かったポイントや過去問などのブログにする予定です。ご連絡あればkatekyo424-public@yahoo.co.jpまで。

今回は特に受験生を悩ます、多岐に渡る複素数平面へのアプローチの基本的な考え方にスポットを当てます。今までのはある意味全てふりで今回がメインテーマです。



とりあえずは前回の極座標で解いたものをまったく同じ考え方で極形式で解いてみましょう。



極形式でも場合分けしたくない!


スペースの都合もあり、複素数の大きさ関連の処理は数2Bの解と係数の関係を利用してみました。数学1Aの方が第一感の方は前回の方を参考にして下さい。



極座標→極形式にしただけで、こちらに書いたことを利用して、αの大きさのみ正として極形式で表し、βとzは極形式(のようなもの)であらわせるとして方向は正負によって決めるとして場合分けを減らした点など全く同じ考え方です。心の中で「極形式と書かなければ、その形で表してなんの問題もないでしょ?」と考えていると書くと伝わりやすいでしょうか?






極座標と少し変えているのが、極形式処理における自然な偏角処理として緑枠のように三角関数として処理する方法をとっています。偏角が一致するだけのことをsinとcosを経由して表すのにどうしてもまわりくどさを感じるかもしれません(僕も面倒です)



あえて偏角だけはargを用いて前回と同じように書くのも悪くはないんです。個人的な美的感覚ですが、そうすると極形式の最大の長所である「計算さえちゃんとやれば、写像変換を意識するまでもなく、拡大率や回転量が(r,θ)としてでてくる」という最大の長所を消すような違和感があるんですよね。それさえ気にならないのであれば、もちろん前回と同様偏角で処理してなんの問題もないです。



こちらの極形式処理なら確実に高校数学の範囲内ですので、使いこなせれば大きな武器になるはずです。誤解を恐れず書くなら「極形式でガンガン計算するのは、ベクトルの成分ガンガン計算するのと同じ」ような長所短所を感じます。



これらを踏まえて本題に入ります。




複素数平面への基本姿勢



このように前回の内容と合わせて理解すると、極形式で解いている時に、常に極座標で理解をしていることをベースに解いている雰囲気が伝わったでしょうか?こちらの今年の東大の問題は極座標とつながっているのですが、繋がり方はこの問題と全く同じで、そこをサボって適当に解こうとした結果があのような大ハマりにつながります。。。



僕自身複素数平面を勉強するときは、これを全体に拡張する感じでやります。具体的には、1問単位で勉強をするのではなく、1問で出てくる部分的な処理を以下のようにざっと分類しています。例はパッと思いつく代表的なものです。



1.x-y平面ベースの処理(ベクトル>幾何>座標たちと連携)こちらも合わせて参照して下さい

和と差、直線、法線、方向ベクトル、同一直線上、x+yiとおいてxとyの関係式、偏角が等しいことから同一円周上、拡大と相似、etc.


2.r-θ平面での極座標ベースの処理

商と積、積を反復→n乗、回転拡大関連のあらゆるもの、二次曲線、円、etc.


3.複素数平面独特の処理

複素数の演算処理、複素共役が絡んでくる処理、実数条件、純虚数条件、etc.


4.その他(方程式→複素数の計算処理など)

複素数数値計算、複素数係数方程式、2次方程式のD<0のとき、a+bi=0⇄a=0,b=0、etc.



と、とんでもないですね。。。これらの1-4を融合させて1つの問題を解いていくわけですが、そのうち1.2番目の処理に着目し、必ず元の範囲で自分が普段考えている基礎をベースに考えて、「完全にそっちに移してしまう」or「見かけだけ複素数平面にフィットさせておく」の2択を後者優先でやって書く量を減らせるように心がけます。



ある程度整理できたら、1つの条件から「複数のアプローチを天秤にかけて、必ずそこから1つだけを選ぶ」ことを心がけながら、各条件の組み合わせの相性を探っていくようにします。「なるべく楽な方法を学んでいく姿勢」と「自分のアプローチの軸や好みを守る姿勢」のバランスを無理ない範囲でとることも重要でしょう。



あくまでも僕自身今勉強中ですので、この内容も鵜呑みにせず参考程度にして、自分なりの脳内の整理をして、最善の解法が自然に出てくるような基礎力を効率よくつける方法を是非模索してみて下さい。受験生の方やこれから勉強する方は、模範解答なんか信用せず、自分の今ある基礎とリンクさせた方がよほど未来の得点につながりやすいですよ^_^




(書くべきか迷ったのですが、未来の受験生のために少し現状に対する本音を書かせて下さい。批判の意図は毛頭なく、自戒を含めた客観的な現状分析のつもりです。残念ながら、この問題のみならず「ちゃんと極形式と極座標のつながりとか負の概念とかわかって解いてんのかなー?」という解答が散見されるのが実情です。わかった上で受験生用にレベルを落としていると伝わる解答もあれば、わかってないんじゃね?という解答もあり、新課程への変更による混乱があるのかもしれません。今受験生の方は、それらが収まるまで待ってられないと思うので、模範解答などは参考程度にとどめて、やり方は自分自身で常に検証する姿勢の方が安全なように思います。)




ちなみにr>0限定だと。。



それでは、もしr>0しか使えないとしたらどんなえらいことになるかというのにいきましょう。両バージョンやるつもりでしたが、極座標版でギブアップしました。2度とやりたくない(>_<)ただの足し算と偏角の組み合わせでこんなに出てくるんです。。。未検証ですが、極形式の方が偏角を三角関数で機械的に処理できる分楽になるかもしれません。興味のある方は是非一度やってみてください^_^




いかがでしょう?前回の処理とこの処理は全く同じことやってるだけなのに、なかなかえらいことになるというのが伝わったでしょうか?



(これをふまえて極方程式で鈍角部分を第4象限に対称移動しようとして場合分けをサボろうとしてうっかりした例がこちらです。最大最小という表現は-がつくとやっぱりおかしくなるので、こういう場合は絶対値つけて議論した方が楽です。一般的な問題の姿勢としてら、極方程式の瞬間だけ-を考えて対称移動させ場合分けをサボるのが1番楽というのが実戦的でしょうか?)



結局、r<0によって偏角がπズレるというのを受け入れるのは、あくまでも「面倒な場合分けを避けられる」上に



「ベクトル使える能力あればr<0は十分使いこなせる」



程度の内容だからです。同じ数学で-を導入する意味がそんなに変わらない方が自然に感じませんか?物理の速度や運動量と全く同じようにとらえているだけです。



実際試験問題を解く際には、とりあえず考えやすいr>0で組み立てておいて、「処理過程でrに±や偏角にθ+πが出てきそうになり、場合分けなんかを対称移動で片付けられそう」という状況になったら、r>0という条件を最初からなかったことに変えてしまいそのまま先に進めていくのが、1番実戦的なアプローチなのかもしれません。



次回は(α/β)=tとおいてしまうやり方です。α=βtとし、複素数をベクトルとして捉えられる性質を利用した優れた方法の1つですが、今回は少しだけ面倒なことになります。次回からは逆像法の応用例としてやります。




僕のプロフィール詳細はプロフィールに詳しくあります。なにかありましたら遠慮なくこちらへメールして下さい^_^

↓内容が良いなと思っていただければご協力お願いします。

家庭教師 ブログランキングへ
大学受験 ブログランキングへ