時間に余裕があるクラスで、5回目のマイクロディベートをしました。
1回目のテーマは、生活設計の分野「人は結婚すべきである」か否かでした。
2回目のテーマは、家族の分野「選択的夫婦別姓制度を導入すべき」か否かでした。
3回目のテーマは、保育の分野「親は子どもにゲームの時間制限をすべき」か否かでした。
4回目のテーマは、食生活の分野「朝食は和食にすべき」か否かでした。
5回目のテーマは、生活情報の分野「生成AIを使って学校行事のテーマを考えるべき」か否かです。
生成AIの技術は進歩し、この1年で、私たちにも自由に使えるツールになってきました。少し先の未来さえ予測できないほどのスピード感に、危機感すら覚えます。
数年後には、こんなこと議論するのもおかしく感じるくらい、当たり前に使われる世の中になっていそうな気がする生成AI。まだ使ったことがない段階で議論することは、価値あることだと考え、生成AIの活用の是非を問うことにしました。
まずは、質問1、2で、実際に自分で考えるとなると簡単にはアイデアが浮かばないことを実感させました。
次に生成AIとは何かを簡単に説明した後、生成AIを使う時に必要なプロンプトを考えさせました。
みんなが考えたプロンプトは、漢字2文字(もしくは3文字)、記憶に残る、かっこいい、明るい、感謝、応援、思い出、別れなどがありました。
マイクロディベートの流れです。
授業では、ディベートの根拠となる資料として、
「初等中等教育段階における生成AI の 利 用 に 関 す る 暫 定 的 な ガ イ ド ラ イ ン」の5ページ『1適切でないと考えられる例』『2活用が考えられる例』を提示しました。
https://www.mext.go.jp/content/20230718-mtx_syoto02-000031167_011.pdf
今回の「生成AIを使って学校行事のテーマを考えるべき」か否かについての、私の考えです。
2023年7月 4日に文部科学省から出された「初等中等教育段階における生成AI の 利 用 に 関 す る 暫 定 的 な ガ イ ド ラ イ ン」の5ページに書いてある「活用が考えられる例」によると、今回のテーマである、「生成AIを使って学校行事のテーマを考えるべき」に関しては、「③グループの考えをまとめたり、アイデアを出す活動の途中段階で、生徒同士で一定の議論やまとめをした上で、足りない視点を見つけ議論を深める目的で活用させること」にあたると考えられ、使い方さえ間違わなければ(一定の議論やまとめをした上で使う)、足りない視点を見つけ議論を深めるためには、活用してもよいと考えます。
しかし、「適切でないと考えられる例」によると「① 生成AI自体の性質やメリット・デメリットに関する学習を十分に行っていないなど、情報モラルを含む情報活用能力が十分育成されていない段階において、自由に使わせること」とあり、現段階では、教員も生徒もこの学習が十分に行われてないと考えるため、生成AIを使う段階ではないと考えます。
すなわち、私の考えは、「行事のテーマ選びに使ってもよいと思うが、まだその時期には早いと思う」です。
今回のテーマに「生成AIを使って学校行事のテーマを考えるべき」か否かを設定した理由は、生徒たちに生成AIについて立ち止まって考えさせる機会をもたせることが、今後、生徒たちが生成AIを活用していく前段階として必要なのではないかと考えたからです。
ちなみに、実際の予餞会のテーマは…
「青春(コバルト)の時の彩り」でした。
生成AIを使わずに生徒たちが考え抜いて生み出したテーマ。ディベートをした生徒たちは、テーマの受け止め方が違ったのではないかと思います。
これまで、時間の余ったクラスのみで、各テーマ、2クラスずつほど行って、各クラスで年間1〜3回行ったマイクロディベート。家庭科の学びを深めるのにとてもよいと感じています。