2008年1月初旬、部長は何かに追われているようで、本社へ行っていたりするし、私とも距離を置いてあまり口をきこうとしない。資金繰りが上手く行っていないのだろうか。
ここはひとつ、広報・PRの立場からお金をかけずに会社をPRしたりと、再生へ向けて頑張るのが私の使命なのではないか?と、思った。
そこで社長に、これからの会社のPRについて、いろいろやらせてもらえないかと直訴したところ「やってみなさい」との事だったので、俄然やる気が出てきた。
ところが後日急に社長から社長室に呼び出され、まったく身に覚えのないことで一方的に叱られ、挙句、「退院してきたばかりなんだから、おとなしくしていないとクビニするぞ!」と恫喝された。
社長はもともとワンマンで、社長という立場をわきまえない、社長らしからぬ暴言を吐くことがたびたびある人だった。そんな風だから、私の説明など聞く耳も持たず、そう言うだけだった。だから、ほんとうに頭に来た。
あまりの社長の豹変振りに私も頭に来て、すごく裏切られた気持ちにもなり、支店長の仕事が途中だったけれど、もう任務を遂行することはできないと思ったので、支店長に一通り事情を話したあと、「そういうわけなので、もう辞めるつもりでいます」と、伝えた。
すると支店長からは、「あたなが居ないと困るから、社長には私から話をするから、そんな事を言わないで欲しい」と言う返事が帰って来た。
ところが1月31日、木曜日にいつも通り会社へ出社したが、朝から様子がおかしい。
管理部門に2年近く席を置けば、社内の様子が異様なことぐらい想像がつく。
夕方17時になって、あともう少しで帰ろうかという時になって、直属の上司である部長から急に呼ばれた。
広い会議室でいきなり
「申し訳ないけれど、会社がもう危ないので、逃げられる人から逃がしてあげたいと思っている。来月にはまた他の人にも同じことを言わなければならない。
でも、その人たちの給料は保証できない。
Kateさんは本当に良くやってもらった。だから、給料が出るうちに逃がしてあげたい。
kateさんには悪いが、給料1か月分出すから、今日限りで会社を辞めてください。」と、言われた。
部長はほんとうに情けないような顔をして、私に詰め寄った。
社長や、支店長と一緒になって、私にいろいろなチャンスをくれたのは、この人だ。いちばん厳しかったし、いちばん信頼してくれていた。その部長がこの私に辞めてくれと言うんだから、選択肢はないんだろう。と、思った。
私がその事を確認すると部長は改めて「これは、リストラです。他の皆には、kateさんが辞めることを言ってないので挨拶しないで、引継ぎもしなくていいので、そのまま帰ってください。
今年の展示会も出展はできないから、こちらでキャンセルします。」と言いました。
私は「会社の状態が良くないことは、空気や部長の態度で何となくわかっていましたけど、こんなに早くこんな日が来るなんて、ショックです」と言って、泣いた。
部長は「泣かせてしまって、ごめんな。申し訳ない」と言って謝った。
会社が残る可能性がまだゼロではなかったので、私に黙って辞めろということだった。
いま思えば、ほんとうの事なんて誰にもわからないが、あのとき急に態度が豹変した社長は、じつは給料を一か月分でも余分に払いたくないから、私から辞めるよう仕向けたのかもしれない。
支店長は朝からその決定を知っていて、帰り際に「Kateさん、ごめんなさいね。また連絡しますから」と言ってくれた。
そうして、私は晴れて自由人となった。
この会社に入社して、3月で丸二年になろうとしていた、本当に矢先の出来事だった。