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魔女の子(2-3)

「!?」

ふいに話掛けて来たのは誰だ。

「驚かせてしまったね。君たちは『指無し』の、しかも強力な能力の持ち主だと感じてね。頼み事をお願いしたいんだよ」

音も無く、気配すら無く、いきなり目の前に現れた小柄な人物。フードのついた黒っぽいマントで頭から全てを隠している。
目立つはずなのに全然気付けなかった。
男のような女のような不思議な声でどんどん話を進めてくる。

「森で行方不明になってる2人組の事は知っているか? 新聞にも載っていたはずなのだが」

僕たちはコクリと頷く。

「実は彼らは私の依頼で森に行ってたんだ」

淡々と話すフードの人物。
顔をよく見ようとしたが全く見えない。
真っ暗な井戸の底を見ているような、どこまでも続く闇を覗いてるようだった。

メルが僕の手を強く握る。
その手は震えていた。

「怖がらなくても良い。別に君たちをどうにかしようというわけじゃない」

「じゃあ、何で」
メルが語気を強める。

「さっきも言っただろう。頼み事だよ。異能持ちの君たちに行方不明の2人を捜してもらいたいんだ」