「これでお別れなんて寂しいわ」


朝方のモック駅ホーム。

別れを惜しむのはマリーとシーラ。

マリーが子どものようにシーラに抱きつく。


「シーラのお陰で列車の旅が楽しくなったわ。あんなおじさんと二人だけじゃ退屈でしかたなかったもの」


そう言って俺の方をちらりと見る。

やれやれ。


「またどこかで会いましょうね」

「ええ、もちろん」


マリーはシーラの後ろ姿をずっと見ていた。

俺は壁にもたれかかり、ただじっとマリーを待っていた。

モックに着いたばかりだ。泊まるところも決まってはいない。さて、どうしたものか。


「バーニー」

「おじさんで悪かったな」

「聞こえてたんだ」

「まあな」

「あれ? もしかして怒ってるの? おじさん呼びされただけで?」

「気分が良くなる話ではないな。それより泊まる場所はどうするんだ? 適当にホテルでも探すのか?」


キョトンとするマリー。

まさか何も考えてないとか言うんじゃないだろうか。


「大丈夫よ。お父様が間借りしていた部屋があるもの。住所も控えてあるわ」

「でもそのお父様はいないんだろ?」

「きっとそうね」

「鍵は?」

「無いわ」

「どうするんだ?」

「大家さんに頼めば良いでしょ? それがダメなら、あなたがチョチョイと開ければ良いのでは?」

「お前なあ。俺がそんな事できると思ってんのか」


たしかにできない事もないが。


「ええ。それともこんな寒い所で野宿させる気?」

「通報されるぞ。どっちにしても」

「別に構わないわ。通報されたとして寝る所と食べる物は保証してくれるでしょうし」

「とんでもねえな」


マリーが笑う。


「早くしないと置いていくわよ」


先を歩き出すマリーを俺は慌てて追いかける。

どうにも調子が狂う。

とりあえず暖かい部屋でゆっくりと寛ぎたいものだ。

冷えた空気が重たい体に染みる。

空は随分と明るくなっていた。









* * * * * * * *







とりあえず一章はここまでになります

続きはまだ制作中……

スチームパンクらしい、SFらしいガジェットを色々出していけるよう試行錯誤しております