東京五輪を批判をする方へ | 戦略PRプロデューサー・片岡英彦【公式】ブログ

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賛成するも反対するも言論の自由。自分と異なる意見でも、自由に発言する権利は、法律に触れない限り尊重されるべきだと思います。日本とはそういう国です。
 
という前提ですが、、、相変わらず日本人は議論を整理して行うことが苦手です。ムードに流されて自説を曲げる人。相手によって言うことが変わる人。異なる前提をごっちゃにした意見を言う人。。。
 
五輪批判もザクッと以下の3つに整理した方がいい。
 
1  そもそも「商業五輪」が気に食わない人
 
「企業が金儲けする」から五輪はイカンというアプローチの人、いるいる。このアプローチで五輪批判するならば、東京五輪に限定して批判してもダメです。84年のロス五輪の”ロケットマン”辺りから批判してもらわないと辻褄が合わない。
 
そして、少々重い話をしますと、このアプローチを突き詰めますと、「企業がスポーツを支援する」という「スポンサーシップ制度」の是非に話が及びます。
 
本来ならば日の目をみないニッチなスポーツが世界大会を実施できて注目が集まる。結果として選手人口が増え、活動資金が集まって、さらに世界へと普及していく。先進国以外の途上国からの選手が「参加することに意義がある」という五輪精神に則って参加する。メダル獲得の可能性は少なくとも国の代表として五輪に出場して何とか活躍する。自国の次の世代の選手へと自らの経験を継いでいく。
この辺りの「ポジ」と思われる商業主義のダイナミズムと、「ネガ」と思われる「商業主義の弊害」の部分とを並行して考えないと「アホか?」とか私は思ったりします。←いくら「言論の自由」があっても、ここまでは言いませんが、勝手に心に思うだけならば「内心の自由」です。
 
2  「運営主体がだらしない」から気に食わない人
 
何だか最初からグタグタです。五輪エンブレム問題(事件?)、新国立競技場のザハ問題(事件?)、マラソンと競歩の開催地の札幌への移転問題、JOCや組織委員長の退任、辞任問題。開会式の演出に纏わるあれこれ(ブタさん?)騒動。これらのグタグタについては、本当にその通り大問題です。日本の組織のオペレーション(ガバナンス)は大丈夫か?と思うのが当然であります。東京五輪が「国の威信に関わる」というのが本当だったら、すでに日本という国の「威信」なんて、きっとこの程度なのでしょう。
 
ただし、そういう「不満」を言っていられるのは日本国内でだけです。世界に対しては「アンダーコントロール」と言ってしまっているわけです。JOCの会長が退任したから、組織委員長が辞任したから、都知事や首相が交代したからといって、国際的には「御破算」にできません。「どう帳尻を合わせるか」という一点においては、日本という国家(一応、主体は都市ですが)としての責任を持たないとですね。
 
国内であれこれ文句言ったところで、「ケツまくって中止にすれば済む」というのでは、主催都市としてはかなりいい加減な話です。資金問題自体は実は大したことないと思うのですが、国際的信用や日本ブランドの失墜をどう免れるのか。どうやってこのグタグタを「ソフトランディング」させるのか。「清濁併せ呑む」心の準備と知恵がないといけません。単なる「出来ないから止める」では、国際的にはただの「駄々っ子」です。「だったら最初から手を挙げるな!」です。「実施しなかった」ではなく「実施できなかった」ことで失う国の威信は相当大きいと思うのです。
 
3 「五輪やっている場合ではない」と言う人
 
コロナ禍です。下手すれば来年まで続きそうです。「こんな時にスポーツイベントやってどうする?」「医療関係者のこと考えろ!」「スポーツ選手ばかりが我慢しているわけではない」・・・どれももっともなのです。
 
五輪批判のアプローチが、1でも2でもなく、この3に限定される場合は、まずは「本当にできる方法はないのか?」というオペレーション方法の検討が重要となります。この辺りは私はプロではありません。仮に、
 
・外国人観光客を入国させない。
・選手団には事前のワクチン接種と適正期間の隔離の義務付け
・無観客での開催
・事前事後の関連行事の中止
 
これでもリスクが大きくて出来ないというならば、もう中止にするしかないですね。こうなると“本当の“非常事態(戦争状態)だと思います。高校野球も大相撲も、学校の運動会も出来ない状況であれば、五輪も中止するしかない。具体的には今後コロナ患者が数千人単位で連日増えるとか。関東に直下型の大地震がさらに起これば、誰も迷うことなく「中止」の判断をすることでしょう。
 
問題は、「そこ(非常事態)までは酷くはない」状況で、「どういうやり方であればできるのか?」という判断になります。今、裏方の方たちは、この辺りのことで苦労しているのでしょう。
 
私はオペレーションのプロではないですが、コミュニケーションはプロですので、大体どの辺りのことで苦労しているかのイメージは湧きます。こういった「苦労(悩)」を広く国民と共有していくことも、これからの時代には必要なコミュニケーションだと思います。
 
池江璃花子選手の五輪出場決定では思わず涙してしまいました。彼女の五輪出場の決定に異を唱える人は少ないと思います。なぜならば、国民と「苦悩」を共有したからだと思います。
 
IOCとかJOCとか、運営の裏方はこの辺りが下手っぴです。
 
ではでは。