この古びた金属の塊が美しく蘇ってくる
それは半年先のことだけど。
16年間乗り続けた相棒のオートバイ
購入した時よりもはるかに高い金を俺はつぎ込もうとしている
趣味だから?
そうだと言えばそうだし、そうでないと言えばそうでない。
こいつが一番セクシーに見える角度がある
女と同じだ
前から見たら普通に可愛い女なのだが、横顔がはっとするほどの美人さんがおれの職場にはいる
前からみたこいつは正直いってあまり美しくはない
後ろからみた身体のラインはまあまあだが、グッとくるほどではない
やっぱりこいつも横から見た姿が抜群だ、それも少しだけ斜めから見るのがいい
正直、グッときてしまていつまでも眺めていたくなる
その職場の女性もそうだ、だれの目も気にしなくていいのなら、ずっと見ていたい
もちろん、じっと眺めすぎることは職場という環境でもあるので、不可能だけど
彼女は間違いなく、美に金をあるていどつぎ込むタイプだ。
ネイルサロンには1か月に一度は行くという
その彼女のネイルを俺はよくこっそりと眺めることにしている
ほっそりとした色白の指先に咲いている可憐な花
その指先で触れられたら…
こいつはこれから修理工場でいったんバラバラにされて身体を総点検される
フレームやエンジンはいったん塗装を全部剥がして再びピカピカの塗装を施される
今でも十分にセクシーな肢体なのだけど、半年後には再びあの付き合い始めたころの若々しい身体になって俺のところに戻ってくる
夏になるまでしばしのお別れだ古女房よ