オートバイ乗りの書斎 -2ページ目

オートバイ乗りの書斎

東京下町。24年目に入った筋金?入りのカタナ乗り


この古びた金属の塊が美しく蘇ってくる
それは半年先のことだけど。
16年間乗り続けた相棒のオートバイ

購入した時よりもはるかに高い金を俺はつぎ込もうとしている
趣味だから?
そうだと言えばそうだし、そうでないと言えばそうでない。
こいつが一番セクシーに見える角度がある
女と同じだ
前から見たら普通に可愛い女なのだが、横顔がはっとするほどの美人さんがおれの職場にはいる
前からみたこいつは正直いってあまり美しくはない
後ろからみた身体のラインはまあまあだが、グッとくるほどではない
やっぱりこいつも横から見た姿が抜群だ、それも少しだけ斜めから見るのがいい
正直、グッときてしまていつまでも眺めていたくなる
その職場の女性もそうだ、だれの目も気にしなくていいのなら、ずっと見ていたい
もちろん、じっと眺めすぎることは職場という環境でもあるので、不可能だけど
彼女は間違いなく、美に金をあるていどつぎ込むタイプだ。
ネイルサロンには1か月に一度は行くという
その彼女のネイルを俺はよくこっそりと眺めることにしている
ほっそりとした色白の指先に咲いている可憐な花
その指先で触れられたら…




こいつはこれから修理工場でいったんバラバラにされて身体を総点検される
フレームやエンジンはいったん塗装を全部剥がして再びピカピカの塗装を施される
今でも十分にセクシーな肢体なのだけど、半年後には再びあの付き合い始めたころの若々しい身体になって俺のところに戻ってくる
夏になるまでしばしのお別れだ古女房よ

年末に一人きりでオートバイにまたがって地方都市を訪れるって、あまり人に話せるような年末の過ごし方ではないな。
そんなことをふっと思った。

朝食前に少し散歩。済んだ青空にそびえる掛川城の天守閣は美しかった。
まだ開園前の時間だったけど、何人かの観光客が散策している。たいていは一人旅のようだ。
ここでも、お一人様ブームといった感じなのだろう。






長年の愛車カタナの暖気運転。
7万キロを超えたがエンジンはいつも快調に俺の期待にこたえてくれる。



いったん国道150号を走り、吉田インターから東名にのって15時に東京に到着。
来年は、愛車の大メンテナンスのため半年ほどユニコーンに預けることになる。
昨日、無事に今年の仕事を終えた。
午後2時からの忘年会の盛り上がりはまあまあといったところで、終了と同時に早々に自宅へと向かった。

昨晩は心に何かがつかえた感じで落ち着かないままベットに入った。そのわけは何となくわかってはいるのだが、自分自身に対しても深く考えないように言い聞かせているのだ。

朝8時に起きて、ゆったりとシャワーを浴びて簡単な着替えをタンクバックに詰めこんで下町の自宅を後にした。
キンキンに冷えた朝の空気と雲一つない抜けた空は、いつもの走り納めの風景と変わりがない。気温はきっと10度を大きく下回っていることだろう。

最寄りの首都高ランプから上がり3号線を経て東名高速道路へ。
交通量は思ったより少ない。
走り出してしばらくすると、寒さで体温が奪われてゆくのがわかる。
海老名サービスエリアで休憩。
オートバイ乗りはまばらだ。

新東名へルートをとって新清水で高速を降りる。少し前から鼻水が止まらず、信号待ちではくしゃみの連発だ。だいぶ身体が冷えてしまったようだ。
年々、カタナに乗り続けるのが体力的にしんどくなってくるのを感じている。
でも、おりるつもりはない。
何歳になってもオートバイ乗りであり続けること、カタナ乗りであり続けること。人に話すようなこだわりではないが、俺にとってはとても重要なことなのだ。

国道1号のバイパスはとても単調で、走っているのが億劫になる。ましてやこの寒さだ。あいかわらず鼻水は止まらず、ヘルメットの中でくしゃみの連発だ。

15時。静岡県の掛川市に到着。山内一豊の掛川城で有名な地方都市だ。



夕暮れ時のひと時、上空を無数の鳥たちが群れをなして、旋回していた。
何かのサインなのか。



駅前の焼き鳥屋で一杯やるも、相変わらずの鼻水のくしゃみのため、30分ほどで退散しホテルへと戻った。
16年乗り続けた愛車のカタナ。
仕事納めの翌日から、走り納めのツーリングにでかけ、新年を迎えたらユニコーンジャパンに入庫予定だ。

次に戻ってくるのは半年後の6月になる。
エンジンや、フレーム、ホイールの塗装メニューをメインに16年で消耗した各種のパーツも交換の予定だ。



迷っているのは、マフラーを新品にするかどうか。30万円也。

現在の見積もりで130万を超えているのでかなり迷っている。



16年の年季が入った車体を眺めていると色々な思いが心をよぎってゆく。


よく晴れた12月の日曜日、カメラを持って地元を歩いた。

墨田区役所までタクシーでワンメーター。歩いてもいいのだが冬の日中の時間は貴重だ。




区役所の窓ガラスにきれいな青空が映り込んでいた。

隅田川テラスを冬の弱い日差しを浴びながらゆっくりと歩いてゆく。まだ午後の早い時間だというのに冬のもの寂しさを長い影が物語っているようだ。



隅田川を台東区側に渡って小さな公園で、銀杏の落ち葉に目が止まった。



言問橋まであるいて名物の言問い団子をいただく。店の窓から冬枯れの紅葉の木を眺める。



冬の日差しに輝く隅田川の水面

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東京スカイツリーが完成してから時間の足を早めて変わりゆく下町。この風景をずっと見ながら僕はここで人生を送ってゆく。

梅雨空の日曜日の午後

雨の合間に近所を散策した







水面に映る緑の木々の人工物





静寂と木々の濡れた匂い

アスファルトで覆われた都心に作られた人工の自然


オートバイでふらっと東京ゲートブリッジに出かけた






ガソリンエンジンで走るオートバイ

ジェットエンジンで飛行する航空機

鋼鉄の塊の橋

人工物に惹かれる自分




昭和の時代の名残?

もう今は営業していない珈琲店








変わりゆく下町の風景
古いものが一掃されるのにどれくらいの歳月を必要とするのか

華やかな街に変わってゆく喜び
失われてゆくあの日々の想い出