松山市はなみずき通り近くの漢方専門薬局・針灸院 春日漢方 -2ページ目

松山市はなみずき通り近くの漢方専門薬局・針灸院 春日漢方

体質に合った漢方薬・針灸治療 更年期障害・生理痛・頭痛・めまい・冷え性・のぼせ・不眠症・イライラ・気うつ、肩こり・腰痛・五十肩に穏やかな効き目

首の凝りは、「肺」の熱?


  <はじめに 最初の患者さん>    


首の後ろから、後頭部にかけての、強い痛みを訴える患者さんが来られました。
その痛みは、高校生くらいから続いていて、悪化すると頭ぜんたいの痛みに広がり、時にひどい目まいに変わることがあるので、油断できません。

どういう時に、首の痛み、頭痛が悪化するのか尋ねましたが、春先に多いかな、というくらいで、仕事が忙しくてとか、雨の降りそうなとき、食べ過ぎてとか、病気の原因を示唆する情報は得られませんでした。

それなりに針灸治療をして、来たときよりは良くなったと、言ってもらいましたが、いま一つ、決め手に欠ける治療でした。

それから数日して、また別の患者さんで、首の痛みから後頭部の痛みになるという方が来られました。



    <つぎの患者さん>


年齢は、60歳。
この方が病気になったのは、もう10年も前から。
工場の仕事で長時間、パソコンを操作しなければならなかったからです。
操作を間違えると、配管が壊れるとか、火事になるとか、そういう緊張を強いられるポジションだったそうです。

症状は、主に作業に使う右の首から後頭部の凝りと痛み、右腕ぜんたいの痺れ。さいきんは何故か、左の親指も痺れてきました。

首や頭の痛みに耐えられずに、5年前に仕事の配分を替えてもらい、他の仕事も混ぜるようにして、少しは痛みが軽減されましたが、相変わらず、毎日、痺れ、痛みに耐えながら仕事を続けています。

整形外科にかかって、CTやNMRを撮ってみると、頚椎のどこかの間隔が詰まっているが、手術しないといけないほどではない、ということで、痛み止めの飲み薬とシップをもらいました。

身体つきは、がっしりとした筋肉質で、色白で肌のツヤもよく、体力のありそうな人に見えます。

問診をしても、食欲も旺盛、お通じや排尿にも問題なし。
入院などしたこともなく、検診で指摘されるような異常もありません。

ただ、首や頭の痛みのせいで、身体の右を下にしないと眠れないので、夜中に何度か目が覚めて、ぐっすりと眠れないのが辛い。

   <腹診・舌診>

お腹を押さえると、腹直筋がよく緊張して盛り上がっているのは、筋肉質の体質の人らしいお腹です。

舌を診せてもらうと、表面が乾いて、キュッと締まった舌です。
口の渇き具合を尋ねると、冷水をかなり飲んでいる。
どうも体内に、かなり熱気が多い体質のように見えます。

しかしそれは、工場内がかなり高温になるので、飲まずにはおられないらしい。

次に診た脈診が、いちばんのヒントを与えてくれました。


     <漢方の脈診>



  
漢方の脈診は、左右の手首の動脈に、人差し指・中指・薬指の三本を当てて、それぞれの脈の打ち方を診ます。

そして、左右の手首の6か所に、上の図のように五臓・六腑が割り付けられています。
左右の手の内側に心・肺・肝などの五臓、外側に大腸・小腸など六腑が書いてありますが、これは、軽く浮かべて動脈の表面では六腑のようすを診て、指を沈めて深部では五臓の具合を診るという意味です。

五臓をその場所にに割り付けた理由は、漢方的な「陰陽五行」の理屈で説明はできますが、ややこしいので省略。
そういうものだと、思ってください。

しかし、そもそも、何故、手首の動脈の打ちようで、内臓の状態が分かるのか?
また中には、心包・三焦とかいう現実には存在しない臓器?も出てきます。
こういうことは、手の平の皺=手相で人の運命が分かる、というのと同じで、「迷信」と言っていいでしょう。

    <迷信も役に立つ?>

手首の動脈と内臓とは、なんの関係もないというのが、「科学的」な考えです。
でも、その「迷信」がときに、現実に役に立つことがあるんです。

この患者さんの場合は、右手の上部=「肺」の様子が現われる所が、とくに強く打っていると感じました。
これは、「肺」が元気過ぎるという意味ではなくて、「肺」に熱気が集まっていると考えます。

「肺」の部の強さが目立ちますが、左手の中央=「肝」は少し弱めのように感じます。
「肝」は、「血」をストックして全身に差配する働きをします。
これは、その「肝」の「血」が少いことを示しています。

    <肝虚で肺熱>

「肺」に熱が多く、「肝」に血が少ないのなら、漢方屋なら、その「肺熱」を冷まして、「肝血」を増やす処方を考えますが、針灸師は、次の「迷信」、「経脈」に基づいて診断と治療を考えます。

人体には、身体の半身に365個のツボがありますが、それはバラバラにあるのではなくて、12本の縦方向のライン、「経脈」上に並んでいます。
各「経脈」は、体表のツボと、体内の五臓六腑にそれぞれ繋がっていて、「陰気・陽気・血」などの生体のエネルギーを循環させています。



            肺経の流れ

体内で「肺」に繋がっている「経脈」は、「肺経」です。
「肺経」は、胸の上部からスタートして、肩の前面、腕の内側を通って、肘の内側、手の親指の先までつながっています。
「肺経」上には、11個のツボが並んでいます。

脈診から、この方が「肺」熱の体質だと診たら、つぎは「肺経」上のツボを探ってみました。
上腕部の「天府」と「狭白」のあいだを探ると、筋肉の割れ目の中に小さなしこりがあって、それを軽く押さえても、ひどく痛がります。

このツボは、五十肩の患者さんで、そこに強い圧痛があるのを、何人も経験しています。

針灸治療の場合は、圧痛があるという診断ポイントが、そこを治療すれば良いという、治療ポイントになるのです。

そのツボに、灸頭針をします。

 

             灸頭鍼


灸頭針とは、太く短めの針を1センチほど刺して、針の上で小さな炭団(たどん)を燃やします。
炭団といっても、見たことも聞いたこともない方が多いでしょうが、木炭の粉を練って、成型したものです。


灸頭針は、皮膚の奥に血流の停滞があって、そこに血の熱が詰まっているのを、血を動かして熱を取ります。

     <治療の結果>

灸頭針以外にも、一通りの針灸の治療はしましたが、この「肺経」の灸頭針が決め手になって、帰るときには、何年も苦しんでいた首の痛みが、久しぶりに楽に感じられました。

このように、それまでの症状が3分の1でも、軽くなったのなら、日を置かずに間隔を詰めて、治療をすることが、大事です。

1回の治療で、少し良くなっても、何日もそのままにしておくと、また元通りに戻ってしまう。
2回目の治療をして、また少し良くなっても、日を置けば、結局、元の状態に戻るのを繰り返すだけになります。

この方は、すぐ3日後に2回目の治療に来られて、さらに首や頭の痛みが軽くなりました。
それも病気の原因の、パソコンの仕事をしながらですから、この治療の成績は、かなり有効だと言えるでしょう。

 



治療のたびに、脈診の「肺」部は弱めに変わり、上腕部の肺経の圧痛も軽くなっていきました。
そうやってみると、「脈診」とか「経脈」という古代中国人の「迷信」も、いまでも現実に役に立つことがあるようです。

それから、季節や年度替わりで、仕事の忙しい時には、また悪化することもありましたが、その後は、週に1回くらいの間隔で、6回ほど治療に来られて、それですっかり首や頭の痛みは無くなりました。

頸部から後頭部の凝り、痛みは、首という場所なので、太い針を刺したり、また髪の毛もあって、お灸など火の気も使いにくいので、苦手な感じがありましたが、今回、首と離れた上腕部の治療でうまく治せたので、他の人にもこの方法を応用してみようと思いました。

    <肝血虚で肺熱の理屈>

最後に、漢方的な理論から、この方の「肺熱」「肝血虚」と頑固な首筋の凝り・痛みを考えてみます。

この方は、色白で肌のきめが細かく滑らかでした。
これは、漢方的な体質の分類では、「肺」体質だといえます。

以前のブログの「白虎湯」の記事で、五臓に五色を当てはめると、肺は白色で、肺熱を取るのが「白虎湯」だと紹介しました。

「肺」体質の人は、運動して呼吸を盛んにして、汗をしっかりかいて「気」を巡らしておれば、健康でいられます。

しかしこの方は、毎日の仕事で、身体はほとんど動かさず、パソコンの画面を見て、神経ばかり使っていました。

目を使う・頭を使う・細かく神経を使うと、肝臓にストックされた「血」を浪費します。

「血」は、自動車のラジエーターのように、体内を潤して冷やす働きをしています。
「血」が不足すると、体内に熱気がこもって、この方の場合は、その熱気が「肺」に集まったと考えられます。

また筋肉を潤して、滑らかに動かすのも「血」の大事な働きです。

この方は、何年もパソコンを緊張しながら、細かく操作していたので、右腕~右肩の筋肉に、十分に「血」が行き渡らない状態が続いたために、頸部に強い凝りと痛みが起こりました。

これが農作業のように、筋肉ばかり使う重労働だけど、自然の中で大らかな気分で、大雑把な作業をするのなら、かえって頭痛がするような肩こり、首凝りにはならなかったでしょう。

指先だけの細かい作業を、神経ばかり使って、時間に追われてする仕事が、いちばん肩や首を凝らせます。
その作業を何年も続けると、やがて腱鞘炎とか、指先の痺れや運動麻痺になったり、頭痛や不眠など全身の症状につながっていきます。

 


そういうパソコン仕事に追われている方は、まずはしっかり休みをとること。
そして、もし体力に余裕があるなら、身体を動かす。
それも、屋内のジム通いよりも、自然の中でのゴルフ、スキー、釣り、ハイキングなどの運動が、気分転換にはいちばん有効です。

スポーツをする体力が無いという人は、近所の川でも神社でも、自然っぽいところに散歩に行くのが、おすすめです。

ここからは宣伝です。
うちでやっている優しい鍼灸治療は、日々のストレスで停滞した「気」を、無理なく全身に巡らせて発散させる効果があります。
軽いハイキングに行ったくらいの効果があります。

軽い気ウツの人や、ストレスでめげそうな方に、ぜひ鍼灸治療をおすすめします。

 

 

写真は、うちの庭に咲いていたアマリリスです。

白い花なのに、白っぽい壁の前に植えてあるので、さっぱり目立たないので、切って花瓶に生けています。

黄連解毒湯と白虎湯

 

       
            キトラ古墳の白虎

なぜ古墳の壁画が出てくるのかは、のちのち明らかになります。

 

 
   < 40代、男性  肩こり・口内炎・逆上せ >

当店に来られたころは、胃腸の調子が乱れやすく、口内炎をよく患っていました。

お通じが、緩くなったり、便秘して出なくなったり、一定しません。
では、どういう時に緩くなり、どういう時に便秘するのかは、なってみないと分からないらしい。

食欲は、おおむね旺盛。
それでも、仕事がうまく進まないときには、仕方なしに口に押し込んでるようなことになることも。

お仕事は、すこし特殊な技術職で、1週間ほど出張して、あちこちの工場のメンテナンスをします。
工場ごとに、毎回、別のトラブルを起こすので、何が起こっているのか、その都度、判断して対処しないといけない、気の抜けない仕事です。

出張では、ホテル住まいになるので、そういう時は、ご飯が美味しくはない。
枕が替われば、ぐっすりとは眠れません。
そうなると、肩こりも酷くなるし、しょっちゅう舌を噛むようになって、そこから口内炎が広がります。

目も充血して、白目の出血や結膜炎も起こしやすい。

そのころは、要は仕事の精神的なストレスと、不定期な睡眠や食生活から、胃腸に負担が掛かっているのだろうと考えました。

治療の基本は、胃腸の元気を補うこととして、不眠や口内炎・結膜炎など、身体の上部に停滞した余計な熱気を冷ますことで治療します。

  <半夏瀉心湯の薬理>

人体の下部のお腹は冷えて弱って、上部の「心」に熱が多い時には、「半夏瀉心湯」という処方が対応しています。

「半夏瀉心湯」は、胃の体液を増やす「人参」と、胃腸の深部から温める「乾姜」。
この両者で下部の胃を温め元気にします。

        

                人参 

        
                乾姜 
いっぽう「黄連」「黄芩」は、強烈な苦味で、上部の「心」の熱気を冷まします。
この温めるものと、冷やすものが、同居しているのはが「半夏瀉心湯」の特徴です。

        

              黄連

      

              黄芩


そして「半夏」が、胃と「心」の上下に分離した気を巡らして寒熱を調和させます。

この方の場合は、食欲が落ちること、下痢することも少ないので、胃の冷えよりも、上部の「心」熱が目立つ状態です。

煎じ薬なら、お腹を温める「乾姜」を減らして、「心」熱を冷ます「黄連」「黄芩」を増やすなどの加減ができますが、この方は出張が多いので、既製品の粉薬の組合せで対処しないといけません。

「半夏瀉心湯」に、「心」熱を冷ます「黄連」「黄芩」の応援団として、「黄連解毒湯」という処方の粉を、少量加えました。

 

    <黄連解毒湯>

 



「黄連解毒湯」は、「黄連」「黄芩」のほかに、「黄柏」「山梔子」が加わります。

どの生薬も、派手な黄色・赤の処方です。
    
漢方の生薬は、すべて酸・苦・甘・辛・鹹の5味に分けられて、効能も決まります。

ふつうの食品では、苦味のものは、ニガウリくらいしかありませんが、漢方薬の苦味は、本当に強烈で、とくに「黄連」などは、口に入れると、あまりの苦さに吐き気がして、あとで寒気がするほどです。

苦味は、消化管や血管など、熱で弛んだ器官を引締め、熱を冷まします。

「黄連解毒湯」は、選りすぐりの苦味薬を4種あつめた処方で、胃から「心」の身体の上部の熱気を強く冷まします。

「半夏瀉心湯」+「黄連解毒湯」の組合せで、胃腸を調えて、「心」熱を冷まして、肩こり・口内炎・結膜炎・不眠などにうまく対処できていました。

その後も体調の変化に応じて、「柴胡桂枝湯」、「桂枝加芍薬湯」+「黄連解毒湯」など、胃腸の調子を調えることにポイントおいて、処方を選んできました。


  <逆上せ・熱感・寝汗・不眠>

それが、近ごろは、胃腸に関わるトラブルは無くなりましたが、それに代わって身体の熱感、いつも顔が逆上せて赤い、寝汗、眠りが浅くぐっすり寝た気がしない、という症状に変わってきました。

とくに夜に寝てからの、身体の熱感が強く、冬でも寝るときは下着一枚で、薄い夏布団だけで寝ているらしい。
それでも、夜中に寝汗をかいて、布団を跳ねとばしている。
寝汗のせいで、睡眠も浅く、何度も目が覚める。

それに対して、「心」熱をより強く冷ますように、「黄連解毒湯」の割合を増やしたり、さらには「黄連解毒湯」だけを処方したりしましたが、あまり効果が得られません。

  <麦門冬湯>

この方は、風邪をこじらせたり、コロナに罹ったときも、最後は、咽喉がイガイガして、夜中にひどく咳き込む状態になります。
その時は、肺の体液を潤して、肺の熱を冷ます、「麦門冬湯」がよく効いていました。

         
                      麦門冬
そのことから、夜の逆上せ、熱感、寝汗などは、「心」熱ではなくて、「肺」熱なのではないかと考え直しました。

また、寝汗という症状は、単に身体に熱気が多いだけではなくて、身体の内部に、体液の不足など、どこか弱いところがある場合に起こります。
身体に弱いところがあるので、表面から汗が漏れ出るのを防げないのです。

「麦門冬湯」は、「麦門冬」が肺の体液を補い、「人参」「粳米」が胃の体液を作りだして、身体の弱いところを補います。

しかし、「麦門冬湯」だけでは、冬でも寒くないほどの、身体の熱気が抑えられそうもありません。
そこに「心」熱を冷ます「黄連解毒湯」を加えても、これまでの経験から、効果は無さそうです。

そこで思いついたのが、「白虎湯」です。


             白虎湯
左上から、「石膏」「知母」「粳米」「甘草」

「黄連解毒湯」がきつい黄色系なのに対して、「白虎湯」は全体に白っぽい生薬でできています。
 

主薬は「石膏」  「白虎湯」には、大量16グラム入ります。

鉱物の「セッコウ」そのものです。
少量、2~3グラムの「石膏」は、体表面の熱気を冷ましますが、大量の「石膏」は、肺の内部の熱気をダイレクトに冷まします。
大量の「石膏」は、よく患者さんの状態を見極めて使わないと、全身が冷えてぐったりしたり、下痢や嘔吐を起こします。

「知母」は苦味の生薬ですが、肺の内部を潤しながら熱を冷まします。
「知母」の6グラムも、やはり「肺」熱をきつく冷まします。

「粳米」は玄米です。胃から肺の体液の元を補います。

「白虎湯」は、肺の熱気を冷ますのに、もっとも強力な処方です。
だから、古典の『傷寒論』では、使い方を間違うと、全身が冷えて下痢が止まらなくなると、警告してあります。

私も、煎じ薬で「白虎湯」を使った経験は、40年間で4例しかありません。
アトピー性皮膚炎で、皮膚がただれて、強い痒みで一睡もできないような患者さんに使いました。

既製品の粉薬には、「白虎湯」そのものは無くて、そこに「人参」を加えた「白虎加人参湯」があるので、それを「麦門冬湯」の熱冷ましの応援に加えました。

粉薬で、他の処方に少量加えるだけなら、問題は無いでしょう。

「麦門冬湯」+「白虎加人参湯」 
この組み合わせにしてみたら、初めて、ぐっすり眠れた、という感じが分かったそうです。

寝汗をかいて、夜中に何度も目が開いたり、着替えたりが無くなりました。
夜、ぐっすり眠れたら、朝起きたときの身体の爽やかさがぜんぜん違う。

これなら旅先のホテルであっても、朝からスッキリした頭で仕事にのぞめます。


        

 

                四神図
  
さて、ここで冒頭のキトラ古墳の壁画の話しに戻ります。
古墳の石室の4面の壁に、西の白虎をはじめ、東の青竜、南の朱雀、北の玄武と、「四神」の絵が描いてありました。

東西南北の四方に、青・白・赤・黒の4色が配されています。
この4色には、春・秋・夏・冬の四季が対応します。

では、その四方・4色・四季に、人体の五臓を当てはめるとどうなるか?
東・青・春には肝。 西・白・秋に肺。 南・赤・夏に心。 北・黒・冬には腎となりますが、おや、五臓の最後、脾はどうなるのか?

ここらが、東洋思想の融通無碍というか、どうとでもなるところで、四方には中央、4色には黄、四季には各季節の終わりの18日間を、「土用」といって、脾と対応させます。
世間的には、ウナギを食べる夏の土用だけが、有名ですが、四季それぞれに土用があります。

やっと「白虎湯」のネーミングが説明できます。
さっき、「白虎湯」の生薬が、白っぽい物ばかりというのも、ネーミングと関係しますが、「肺」の熱気を冷ます処方だから、「白虎湯」の名がついたと言えるでしょう。

では、他の「四神」の処方はあるのか?
『傷寒論』には、「小青竜湯」「大青竜湯」があります。

あと、玄武の名に似た「真武湯」があります。
全身冷えて下痢するときの処方で、玄武・北・冬のイメージはあります。

朱雀湯という処方は無さそうです。
それは棗の赤に因んだ「十棗湯」だという説もありますが、これは作用が激しいので今は使われない処方です。










 

高知 牧野植物園

 

連休中の5月3日に、高知市の牧野植物園に行ってみました。

同行は、妻と高校時代の友人1人です。

 

 

始めに入ったのが、この巨大温室。

 

しかし、ここにたどり着くまでに、一苦労。

朝ドラ「らんまん」のブームも、済んでいるだろうと思っていましたが、園のある五台山を車で上がっていくと、すでに駐車場は満杯なので、山を下りて臨時駐車場へ、と。

 

 

臨時駐車場で、送迎バスを待つこと15分。

思ってたより小型のバスが来て、行列の前の20数人を乗せて終わり。

次のバスは、20分後。そのバスに、乗れるかどうか分からない。

それで頭にきて、歩いて登ることに。

一度、車で上がり下りしているので、大したことはないとは思えるが、汗をかきかき、30分、山を登って、やっと園に到着。

 

 

 

 

温室ですから、世界の見慣れない花が、あちこち咲いています。

 

 

これは有名なオオオニバス。 本当に大きく育つと、径2メートル、子供が乗れるほどになるそうですが、ここのは、1メートルほどでした。

 

この温室の大きさが分かっていただけるかな?

 

 

ヒカゲヘゴ。 日本一大きなシダ植物。高さ10メートルにもなる。

遠くからはヤシの木のように見えます。

学生時代、毎年、探検部で西表島に行ってました。

島のジャングルを分け入ると、この樹?がたくさんあって、恐竜が出てきそうだと言ってました。

この枝をバサバサ切って、テントの中にクッションとして敷きました。

 

ここまでが、温室のなか。

 

商売柄、薬用植物が気になります。

 

 

マメ科のクララ。  この根は生薬の「苦参」

強烈な、しかもイヤらしい苦味の生薬で、心~小腸の熱を冷まして、皮膚病、尿道炎、手足の火照りなどに使います。

 

 

正確な植物名は分かりませんが、なんとかサイシン。

ウスバサイシンの根は、生薬の「細辛」 ツーンと痺れる辛味で、肺~気管支を温め、咳、咽喉痛、頭痛、関節痛などを治します。

 

 

 

上の写真は分かりづらいですが、下のような花が咲いていました。

牧野富太郎が、この花を愛していたらしく、看板が出ていました。

オウレン属のセリバオウレン,キクバオウレンの根は、生薬の「黄連」として栽培もされる、重要な生薬です。

しかし、バイカオウレンの根が生薬になるかどうかは分かりません。

「黄連」は、これも強烈な苦味で、心熱を冷まします。

この写真の植物の根を考えると、1年間で伸びる長さは知れています。

だから、生薬としては、昔からかなり高額の生薬でした。

 

 

県立牧野植物園は、昭和35年、60年以上前に出来たものですが、この円形の展示館・資料館は、十数年前に出来たもの。

設計者は、内藤廣。

この人のことを、NHKの「日曜美術館」でやっていて、牧野植物園にも興味を持ちました。

 

内藤氏は、いま進行中の渋谷の大規模再開発の、基本設計なども担当しているらしい。

この建物も、出来た時点では、すべての木々がまだ成長してなくて、建物が丸見えでしたが、10年後の木々の成長を見越した設計にしてあると。

記念館の中の、晩年の牧野博士の部屋と、博士の蝋人形。

手前に古新聞に挟まれた、大量の植物標本。机の周りには、ページを開けたまま積み上げられた大量の書籍。

 

 

こちらは、ミュージアムショップなどになっています。

 

臨時駐車場の送迎バスに時間を取られたのもあって、もう時刻は、3時半。

植物園ぜんたいの5分の1も、見られていませんが、帰りの高速の混雑を考えて、早めに出ることにしました。

送迎バスは、20数人しか乗れないのは分かっているので、帰りはバスの時刻表を見て、バス停に早めに並びました。

 

グーグルマップで見ると、松山から牧野植物園までは、2時間10分と表示されますが、実際には、休憩も入れて、2時間半以上かかります。

今回は、友人と半々に運転したので、その分は、かなり楽をしました。

 

 

今回は、ハスラー君で初めて、高速に乗りました。

以前のデミオの半分の排気量しかないので、パワー不足を懸念していましたが、じっさいに乗ってみると、何の遜色もなく、むしろ、デミオより、楽に高速を走れたように思います。

25年前の1300ccの普通車は、25年後の660ccの軽四に、機能面で、追い付かれたということですね。