松山市はなみずき通り近くの漢方専門薬局・針灸院 春日漢方

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体質に合った漢方薬・針灸治療 更年期障害・生理痛・頭痛・めまい・冷え性・のぼせ・不眠症・イライラ・気うつ、肩こり・腰痛・五十肩に穏やかな効き目

春日漢方 薬局・針灸院


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 冷え性・卵巣嚢腫に「温経湯」

 

 

 漢方の古典医学書『金匵要略』の「婦人雑病編」に「温経湯(うんけいとう)」という処方がでてきます。
 ご婦人用ということだから、「当帰」を主薬にした血の道の処方なんですが、独特の組合せで、少しクセのある面白い処方です。初心のうちは使い方がよく分かりませんでしたが、クセが飲みこめたら応用が広がって、「当帰剤」のなかではよく使う処方になりました。

 

 

 まず「温経湯」について、『金匵要略』にはこう書いてあります。

 「50歳くらいの婦人。下痢が何日も続いて、夕方に微熱、下腹が張っったり引きつれたり、手の平が火照って、口唇が乾くのは何の病気か?
 それは帯下(婦人科の病気)だ。原因は以前、流産したときの瘀血が下腹に溜まっているからだ。口唇が乾くのがその証拠だ。これは温経湯が治す。」


 この文章には、口唇が乾くことに関して、分かりにくい理屈が書いていますが、そこは無視して、「温経湯」がどんな人・どんな症状に使うのか、上げてみます。
 1、50歳くらいの婦人
 2、下痢
 3、夕方に微熱
 4、下腹が張ったり引きつれたり
 5、手の平が火照る
 6、口唇が乾く
 7、流産の経験

 

 1、50歳くらいの婦人だから、まず更年期の方を想定しています。
 2の下痢、については、「下血」、つまり不正出血の間違いだという説があります。
 処方のあとに、こういう人にも使えますという、おまけの文ががついています。

 「婦人で下腹が冷たい人。ながらく妊娠しない人。不正出血。生理の回数や量が多い、また生理が来ない場合に。」
 つまり、冷え性、不妊症、不正出血、生理不順などに使える、という大事なことが、こっそり書いてあります。

 

 

 冷え症に使えるのは良しとして、うえの3~6に、微熱とか、下腹の張り、手の平が火照る、口唇が乾く、という症状は、冷え症とは逆の内部の熱を表しています。

 

 とくに手の平の熱感は、身体の内部の血が不足して、潤いが無いせいで熱が生じたときの症状です。手の平・足の裏はそういう内部の熱感が出てくる場所です。
 でも温経湯は、手の平は火照っても、足は冷えています。手足とも火照るほどの熱気はありません。手だけ火照る程度の熱気。

 

 また口唇が乾くという表現も、微妙な熱気を表します。これが咽喉が乾く・口が乾く、とあれば、それは冷水を飲みたがることで、体内の熱がきついことを示します。
 口唇が乾くというのは、冬に口唇が割れてリップクリームを塗りたい状態です。血が不足して、潤いが無くなって多少の熱気を表しています。

 

 もとの文章に戻って、7、流産の経験。
 流産をするとどうしても下腹に血が残って、それが瘀血となるのだ、それがこの症状の原因だ、とあります。 流産いがいに、正常な出産でも、中絶、帝王切開でも、内出血が残って瘀血の元となります。
 また手術や事故なども瘀血の元となります。

 

 「温経湯」には瘀血を除く生薬が1品、入っています。「牡丹皮」です。中国で花の女王とされる、牡丹の根っこの皮です。
 そういう意味では、「温経湯」には瘀血を除くはたらきがありますが、これが「温経湯」の本来の働きではありません。

 

 『金匵要略』の文章では、うえの1~6の症状の原因がすべて瘀血だと言われていますが、それは間違いです。


 この病状のメインの原因は、更年期や過労からくる体質的な血の不足です。血の不足のせいで、内部にはぼんやりとした熱気が生じ、そこに流産などでできた瘀血も加勢している、というのが妥当な判断です。

 

 また口唇が乾く、という症状だけから、瘀血だと分かるという説明も、さらにバランスを欠いています。
 確かに瘀血というのは、血と熱気が体内で固まったものだから、内部の熱には違いない。昔の医学書にも、瘀血の症状として、「口は乾くが、じっさいには飲まない」とも、書いています。
 しかし、口唇が乾く 、だから 瘀血、とは言えません。そこを逆にして、瘀血という見立ての補強材料に、口唇が乾く、はなりますが。

 

 

 ここで「温経湯」の処方の中身を見てみましょう。

 

 処方)当帰・芍薬・川芎・阿膠・人参・甘草・牡丹皮・桂枝・生姜・
      呉茱萸・麦門冬・半夏  いじょう12種。

 

 血を増やす生薬が、「当帰」「芍薬」「川芎」「阿膠」「人参」の5種。
 かなり手厚い布陣です。当帰・芍薬・川芎は肝臓の血を増やす婦人薬の定番の組合せです。
 「阿膠」は動物の皮や骨から精製したゼラチン。膠とは、ニカワですから、血管や組織の破れ目をつないで、止血する作用があります。
 「人参」はほんらいは胃の血を増やして胃腸を元気にしますが、肝臓の血を作りだすために、胃から元気にしようとします。

 

 「牡丹皮」は瘀血を除きますが、血が不足すると、血の流れが悪くなって、細かい血管の内部に?血ができます。牡丹皮はそれを除いて血の流れを良くしています。
 瘀血という血と熱の塊りを除くので、体内を冷やす働きもあります。

 

 「桂枝」「生姜」「呉茱萸」 この3品は陽気を増やして身体を温めます。
 「生姜」は胃を温めます。
 「桂枝」は、肺気を増やして、体表面を温めます。
 「呉茱萸」は、体内の婦人科系のルートを温めて、血の流れを良くして、逆上せを下げる働きをします。

 

 「麦門冬」 肺や心臓の血=体液を増やして、潤して内部の熱気を冷まします。口唇が乾く・手の平が火照る状態に、効いています。

 

 「半夏」 胃から肺の気の流れを良くして、当帰や人参、麦門冬が作りだした血や体液をスムーズに全身に行きわたらせます。
 他の生薬が、3~2グラムなのに、麦門冬と半夏だけが、8~10グラムほど入っていて、肺を潤して冷やすことと、肺の気の流れを良くすることにポイントがあるようです。

 

 

 「温経湯」という処方は、「当帰」などで血を増やして、それを「桂枝」「生姜」で全身に巡らせて、身体を温めるのがメインの働きですが、そこに、「牡丹皮」・「麦門冬」という内部を冷やすものが、2品加わっているのがポイントです。


 「温経湯」の使い方をまとめてみると。
 まず生理のときに下痢する人。それは血が抜けて下腹が冷えるからです。下痢しても胃腸が悪いわけではない。食べればちゃんと入ります。これは「当帰」・「川芎」が適応します。便秘の方には、まず使わない。

 

 つぎに冷え性で、お腹や足腰の冷え。
 生理痛や生理不順、不正出血、不妊症など。
 お産後や流産、中絶などで出血の多かったあとの回復に。
 また「呉茱萸」は逆上せを下げるので、頭痛や肩こり・目まいに。それも生理に関係するものに効果大。
 生理に関係しなくても、立ち仕事や冷えからの膀胱炎、下腹痛など。
  これらは血が不足して、身体が冷えるための症状です。


 しかし「温経湯」を使うためには、どこか内部にちょっぴりの熱症状がないといけません。それが「手の平の火照り」と「口唇の乾き」です。
 手の平の火照りも、人によって程度はさまざまです。ほんとうに手が熱ばんで苦しむ人から、足は冷えるけど手は冷えない、という人まで。
 口唇乾燥も、言われてみれば乾くかな? という人から、口が乾いてよくお茶を飲む人まで。舌を診ても濡れてる人も、乾いた人もあります。

 

 私が最近、見つけた症状は、内部に熱気があれば、生理前に寝汗をかくようです。この寝汗には「牡丹皮」が効くようで、熱の程度によって「温経湯」から「加味逍遥散」、「桂枝茯苓丸」まで使えます。

 

 脈も血が足りなくて冷え性なら、細くて弱いだけです。細くて弱い脈の代表が、「当帰四逆湯」。昔の本には「脈細。絶えんとす。」とあります。これは血を増やして温めるだけの処方です。
 「温経湯」は、内部にすこし熱気があるので、ある程度の脈の大きさや強さがあります。

 ここらを目安にして、「温経湯」を使っています。

 

 

        治験例  45歳 女性 卵巣嚢腫

 

 婦人科の検診で、5センチ大の卵巣嚢腫を見つけました。次の検査でさらに大きくなっているようなら、ホルモン療法をお勧めしますと言われました。以前にホルモン療法をしたときに浮腫みがひどかったので、それを避けるために漢方でも飲んでみるかと来店されました。

 

 お腹の中に5センチ大の嚢腫があっても、とくに下腹が張るとか、頻尿や便秘、腰痛などもなし。生理痛も生理不順もありません。
 年齢的にもう更年期なので、生理前にイライラしたり、便秘したり。また生理の量や日数は減ってはいます。

 足はかなり冷えるので、寝るときは靴下をはきます。肩こりも気になる。

 

 お腹を押さえて診ると、下腹が少し幅ったい感じ。左の腹筋がお臍の横から肋骨まで張った感じで、押さえると右側より痛みます。
 これは肝臓の血が不足して、そのせいで熱気がある状態です。
 更年期の方の定番のお薬、「加味逍遥散」が考えられます。

 

 またお臍の左下あたりに押さえて堅い部分があり、そこを押さえると痛みます。これは瘀血が下腹に溜まっている証拠です。
 この時点の私の固定観念で、婦人科系のトラブルは、卵巣嚢腫であれ、生理不順であれ、必ず瘀血が絡んでいるはずだと考えていました。
 しかしこの腹診からは、瘀血としては軽めの段階なので、「桂枝茯苓丸」を少し足せば良いだろうと考えました。

 

 足の冷えと肩こりは、血が少なくても、瘀血でも、どちらでも起こる症状です。 

 この方は仕事で忙しいので、粉薬でないといけないというので、「加味逍遥散」に少量の「桂枝茯苓丸」を足してお渡ししました。

 ところが3日後に、この薬は脇腹にもたれて、食欲が無くなったというお電話が。


 漢方薬をお出しする時にいちばん気をつけるのが、漢方薬が胃腸を悪くしたりしないか、ということです。だから問診で、胃もたれや胸焼け、食欲が落ちたりしない、ということは確かめたはずなのに。


 お手数ですが、残りのお薬を持って、もう一度来ていただきました。

 

 

 まずお通じの状態を尋ねると、この薬を飲んで少し緩くなっている。
 次に、舌を診せてもらうと、濡れています。

 薬のせいで胃腸が少し冷やされて、胃もたれを起こしたようです。


 「加味逍遥散」は血を増やす生薬の他に、熱気を冷ます薬が、「柴胡」「黄柏」「山梔子」と3種、入ります。
 また「桂枝茯苓丸」は、「牡丹皮」「桃仁」が瘀血を除くとともに熱気も冷まします。

 

 「加味逍遥散」みたいな血の道系のお薬が合わなかった場合に、方向を180度かえて、胃腸を元気にする薬にすることも考えます。
 しかし、胃もたれはしても、まだ食べられてはいる。またお通じも少し緩いけど下痢まではしていない。

 

 患者さんの感触では、足の冷えや肩こりには、すこし良いような気がするとも言われます。
 だから、この血の道系の薬が丸っきり、お門違い、というわけではなさそうです。

 

 血を増やす、という部分はそのままにして、身体を冷やす成分を減らして、身体を温める方向を目指すと、それは「温経湯」に落ち着きます。

 「加味逍遥散」の残り4日分を引き取って、「温経湯」の粉薬を1週間分、お渡ししました。
 「温経湯」は飲んですぐに、胃にもたれないのは分かりました。

 「温経湯」には、「呉茱萸」が入っているので、ものすごくエグい臭いと辛味がします。でもこの方は、そんなにイヤな臭いではない、と言われます。それはお身体に合ってるのですよ、と励ましながら、続けて服用していただきました。

 

 つぎの検診までに、ちょっとでも卵巣嚢腫を縮めたいので、1月半のあいだ1日も休まず熱心に飲まれました。
 検診の日の夕方、5時くらいにお電話があって、5センチあった嚢腫が、今回は縦・横とも2.5センチほどに縮んでいたらしい。

 

 以前にも、6センチほどあった卵巣嚢腫が、別の処方でしたが、1月ほど服用して、半分に縮んだこともありました。
 たぶん、こういうすぐに縮んでしまう卵巣嚢腫は、なかに水が溜まっているだけなんでしょう。
 これがチョコレート嚢腫のように、中に血が詰まっていたりすると、もっと時間がかかるのでしょう。

 

 この漢方は飲んでいると、身体の調子がいいから、と言われて今も続けて服用しておられます。

 「温経湯」は、冷え性をはじめ、生理のトラブル、不妊症など婦人科の病気に広く応用が期待されますが、男性だってストレスとか手術とかで血が不足して、冷え性になった時には、使うことがある便利な処方です。

 

写真は東温市の白猪の滝のちかくの神社のイチョウ。2枚目の写真のようにとても大きなイチョウなんですが、根元かいくつにも幹が分かれて、きれい形をしていません。脇にその子株も2本、伸びています。

神社の庭や周囲は、イチョウの葉で埋め尽くされています。

最後の写真は、うちの店の横に生えているイチョウの葉です。 今年はゆっくり寒くなっていったので、黄緑から薄茶に変色して終わりました。

 

 

 

 

 

 


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元気な人・弱い人の痔瘻

 

 

 痔瘻は肛門の病気ではありますが、他の切れ痔・いぼ痔・脱肛などとは性質のちがう面があります。痔瘻の特徴は、身体の内部が化膿する病気だということです。


 ちがう場所なら、例えば蓄膿症。これは鼻の奥の副鼻腔の中が化膿する病気。或いは中耳炎。これは耳の奥の鼓膜の内側が化膿したもの。或いは尿道から膀胱もそれに近い場所になります。

 

 これらの場所は、身体にとっては皮膚のようにまるで「外」でもないし、内臓のように「内」でもない、やや裏側、外からは少し内側に入り込んだ場所です。
 こういう場所は、外からの細菌感染にさらされてはいますが、細菌が入ればすぐに発病するわけではなくて、その方が健康でありさえすれば、免疫の働きで、感染は起こりません。

 

 肛門だって、お通じのたびに大量の大腸菌が付着し、それをティッシュで拭けば必ず肛門の粘膜は傷つきます。それでも感染が起こらないのは、その人が健康だからです。


 逆にいうと痔瘻であれ蓄膿であれ、そういう病気になるのは、免疫が働かなくて、身体の内部に感染を起こし、それが長引いて化膿症になったということです。

 漢方的にみると、そういう人は生まれつき弱い所があって、内部に熱気をこもらせ易い体質です。そこに精神的なストレスや、飲酒が過ぎると、体内に熱気を詰まらせます。
 それが細菌の感染に負けて、化膿症になる原因です。

 

 痔瘻が起こる場所は、副鼻腔や中耳、尿道のように、空間があるわけではありません。肛門の粘膜の内側には静脈叢という、細かい血管がスポンジのように集まった組織があります。


 Wiki によると、人間が直立するようになって、この静脈叢はいつも鬱血しがちで、これが痔の原因となる、とあります。この鬱血した静脈叢に細菌が入って炎症をおこし、それが長引くと化膿して、痔瘻となります。

 以下、元気な人と虚弱な人の痔瘻の治験例を検討します。やはり体質に応じた症状をあらわし、それに見合った治療が必要です。


        男性 30歳  営業職

 

 仕事の関係で、平日は遠方にいて、休みの時だけ家に帰るという生活です。ご本人のお電話で、しばらく帰れないから、電話で相談できないかということでした。
 薬は奥様が取りに来られて、送るそうです。

 

 症状は、この数週間、お尻の周りが重苦しく突っ張った感じ。排便時や排尿時に肛門を締めると、鈍痛が走る。
 肛門から、出血や膿が出たりはしていない。
 いまは大したことではないが、このままにしておくと、大変なことになって手術とかはイヤだから、相談することにした、と。

 

 

 ここまでのお話で、初期の痔瘻だろうなと思いました。

 

 なぜ具合が悪くなったか、思い当たることはないか尋ねてみると、仕事が忙しくて、宿泊しているビジネスホテルに帰ると、ビールや缶酎ハイを飲みすぎてしまう。
 それで翌日、下痢もするが、肛門の痛みもひどくなる。やっぱり飲みすぎが良くないんだろうな、と。

 

 他の体調も尋ねると、お通じは酒を飲まなければ正常。飲めば下痢。
 食欲は旺盛。ただ近ごろ、肛門が重苦しいと、ご飯が美味しくない。
 水物はふつうに飲んでいる。 小便もふつう。
 仕事は忙しいが、しんどいとは思わない。
 夜もふつうに眠れている。
 学生時代はラクビーで鍛えていて、ずんぐりとした筋肉質の体形。

 

 患者さんに会って、脈を診たり、お腹を押さえたり、舌を診たりはできないので、与えられた情報だけから考えるしかありません。

 

 病気の本態は、肛門の周りの化膿です。肛門じたいの炎症なら、いぼ痔や切れ痔のように、鋭い痛みや出血になりますが、肛門あたりの重苦しさや排便時の鈍痛だから、肛門の内部に膿が溜まっているのでしょう。

 

 そうなった原因は、お酒の飲みすぎ。アルコールは明らかに熱気の強い食品で、飲むとまず胃腸の熱気を増します。それを続けていると、肝臓・胆のうの熱症状に変わります。
 この方の場合は、まず胃腸の熱気が消化管の末端の肛門に集まって、痔瘻を作ったのでしょう。


 この病気になってから、気分も乗らないので、あまりお酒も進んでは飲んでいません。

 食欲が旺盛、ということなので、胃腸の熱気もあるし、その熱を冷ますような漢方薬を使っても、胃にもたれたりはしないでしょう。


 もしこれが、食欲にムラがある。胃もたれや胸焼けし易い、変わったものを食べたらすぐ下痢、などと言われると、使える処方は限られてきます。

 

 あるいはこの上に、脇腹やみぞおちが重苦しい、胃が痞える、便秘する、口が乾いて苦い、夜が眠れない、などの訴えがあれば、これは肝臓・胆のうに熱気が詰まった状態ですから、漢方薬は「柴胡剤」から選ぶことになります。

 「柴胡」が主薬で、身体の深部の肝臓・胆のうの熱を取ります。

 

 この方の場合は、まだ肛門という身体の少し内側、内臓よりは外の組織に熱が詰まった状態です。
 そういう肛門とか、尿道、膀胱、前立腺、女性器、子宮など、下半身の器官の炎症に専門的によく使う、「竜胆寫肝湯」という素晴らしい処方があります。 
 
 竜胆は植物名ならなんでしょう? リンドウです。リンドウの根っこが漢方薬の竜胆です。これが主薬。


 寫肝とは、肝臓・胆のうの熱気を冷ますことですが、「柴胡剤」とちがって、より広く内・外を隔てる「膜」の熱気を冷まします。「膜」でできている生殖器や泌尿器、血管や粘膜に停滞する熱を冷まします。

 

 竜胆以外に、心臓や肺の熱を冷ます、黄連・黄柏・山梔子など。
 また体内の血を増やして内部を潤す、当帰や芍薬・地黄など。
 尿道や膀胱の熱を冷まして利尿する、木通・沢瀉・車前子など。

 

 18種の生薬が、少しずつ、1.5グラムずつ入った処方です。

この18種の組合せは、明治の日本の漢方の名医、森道伯が、中国に古来から伝わる9種の「竜胆寫肝湯」を改良して作ったものです。

 少しずつの生薬が、多種類入ったせいで、薬の効く病気の範囲が広くなり、慢性化した炎症性の病気に手広く使えるようになりました。 

 

 この方の希望が、ホテル住まいでは漢方薬も煎じ薬は無理。粉薬にして欲しいとのこと。そうなると選べる選択肢はすくない。

 

 

 「竜胆寫肝湯」の粉薬を1週間分、奥様にお渡ししました。

 

 10日ほどのちに、ご本人が見えられて言われたのは、あの粉薬が届いて、2日半ほど飲んだら、肛門のすぐそばに穴が開いて、膿が流れ出した。
 膿が出たら、お尻の重だるさや排便時の痛みなど、きれいに無くなった。
 それで気分まですっきりと良くなった。

 自分で肛門の周りをそっと触ってみるけど、どこにも痛みはないし、膿が出た穴は塞がっているみたいだ、と。 

 

 やっぱり酒は良くないのかな? 少しくらいは良いんじゃないの? とか言いながら、再発するとイヤだからと、続けて1月分を服用しました。


 

         55歳 男性  教員

 

 この方は少し遠方にお住まいで、最初にお見えになってから処方は決めて、あとはお電話で様子を伺って、お薬をお送りしました。

 

 さきの方とちがって、痩せて色白、話声も小声で大人しい印象。

 やはり病気は痔瘻ですが、すでに10年近く、患っています。


 症状は、肛門の近くにできた穴から、チビチビ膿が出ています。

 膿はサラサラと薄く、出る量も少しです。
 肛門の痛みや腫れはあまり無くて、すこし違和感がある。


 この方が強調したのは、膿がチビチビ出ているほうが気持が良い。
 むしろ膿が出なくなったら、肛門が腫れて痛んで、気分的にも堪らなくなる、ということでした。

 

 

 どういう時に痔が悪くなるか尋ねると、やはり先生だから、学期末や年度末に仕事が重なって、遅くまで無理をすると、必ず調子が悪くなると言われます。

 

 お通じはまあ、ふつう。ただし痔が悪くなる時は、まず便秘気味になって、膿の出が悪くなって、肛門が腫れて痛くなります。
 この方の便秘は、お通じがスムーズにないけれど、出る便は緩めです。ここらは気をつけて、しつこく確かめます。

 

 食欲はこれも、まあ、ふつうですが、仕事が忙しくて調子が悪くなると、胃が痞えて食べる量が減ります。
 飲み物は、温かいお茶が好き。
 忙しいと疲れ易い。 またストレスが貯まると、寝つきが悪くなる。
 
 痔瘻という病気は、身体の一部が炎症を起こして化膿していますから、それに見合った熱気が、肛門に集中しているはずです。
 それなのに、この方の体調は、胃腸が冷えて弱った状態になっています。

 

 また肛門にも化膿巣ができていますが、中に溜まっている膿はサラサラと薄め。サラサラの膿は熱気に乏しく、冷えた状態を示します。
 しかし、冷えてはいても、化膿症なのは間違いない。
 その薄い膿も、外に流れ出さずに、内にこもると肛門の張りや違和感が増してきます。
 とすると、胃腸の全体は冷え性でも、肛門には多少の熱気が詰まっていると考えるべきでしょう。

 

 しかも、すでにこの状態で10年ちかく、だらだら続いているというのも、この病気が実はそんなに簡単ではないのを示しています。

 

 胃腸の大部分は冷え性で、一部に熱気が停滞しているという場合に、漢方屋が思いつく処方は、「半夏瀉心湯」です。
 患者さんの希望で、これも粉薬で治療しないといけません。

 

 漢方の古典『金匵要略』の<狐惑病編>というのがあって、そこに「甘草瀉心湯」という処方が出てきます。これは「半夏瀉心湯」の甘草を1グラム増やしただけなので、まあ、同じようなものです。

 

 「狐惑病」は、キツネ憑きだから、なにか精神異常にも使えそうですが、「咽喉を蝕むのが惑、下陰を蝕むのが狐」とあります。消化管の上端の口・鼻・咽喉の口内炎・鼻炎・咽喉の詰まり、に用いるし、下端の陰部・肛門の、尿道炎・膣炎・痔などにも使えます。
 消化管の両端の病気に使えるという、便利な処方です。

 

 「半夏瀉心湯」の処方の中身は、「人参」「乾姜」「甘草」などで胃腸を温めながら元気をつけ、「黄連」「黄芩」で上部の熱を冷まします。「半夏」は上熱・下寒に分離した気を交流させます。

 

 しかし「半夏瀉心湯」だけでは、この方の病気がすでに長いのと、局所からチビチビ出ている膿の相手にならないと感じました。
 そこで「桔梗湯」を足すことにしました。

 

 これも『金匵要略』に、「排膿湯」という処方が出てきます。中身はシンプルに、「桔梗」に「甘草・大棗・生姜」。
 「桔梗」は局所に詰まった熱気を冷まします。化膿症も皮膚の一部に熱が集中した状態だから、「桔梗」はおできの膿を治す働きもします。

 

 「半夏瀉心湯」に「桔梗湯」を少し足して飲んでもらいました。
 これを飲んでいたら、お腹の調子も良くなって、寝つきもよく、少しずつ体力も付いてきたような。


 かんじんの肛門の膿は、飲んでいればチビチビ出ているので、これが良いのだそうです。こちらとしては、膿がもう出ないように持っていきたいのですが、膿が中で詰まってしまうと、そのほうがうんと悪いらしい。

 

 そのうち、学期末で忙しかったあとで、忘年会で飲みすぎて下痢をしたら、肛門が腫れて痛くなりました。膿は出なくなっています。

 「桔梗」は局所の熱を冷ましますが、熱の取り方は控えめな方です。もう少し強く肛門の熱を取る方法を考えました。


 「半夏瀉心湯」のなかの熱をとる成分、「黄連」「黄芩」を増やすように、「黄連解毒湯」を足すという手もあります。
 しかし「黄連解毒湯」は、ストレートに熱を冷ますので、この方のダラダラ・イジイジした病気には、何か合わない感じがします。

 

 1例目の方にも使った「竜胆寫肝湯」なら、慢性化した病気に、まず血も増やすし、局所の水を利尿し、熱も冷まして、この方の水っぽい膿にも合うように思います。


 ただしこの人は「竜胆寫肝湯」だけを飲ませようとすると、下痢したり胃に痞えたりして飲めません。あくまで「半夏瀉心湯」で胃腸に元気をつけながら、肛門の痔瘻にだけ「竜胆寫肝湯」を効かせます。
 「半夏瀉心湯」を2、「竜胆寫肝湯」を1、くらいの割合で混ぜて飲んでもらいました。

 

 この処方が気に入ったので、休みやすみですが、3年にわたって飲んで、イジイジと長らく続いた病気も終わりました。

 

 

写真は東温市の白猪の滝のちかくの神社のイチョウ。これは去年の今ごろ、撮った写真です。

最後の写真のように、根元から何本にも幹が分かれていて、黄葉してもきれいな樹形にはなりません。ただ枝が大きく広がっているので、大量の落ち葉が庭を埋め尽くしています。

 

 

 

 


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秋~冬のプランター

 

 

 もう暦の上では「立冬」になって、店の前のプランターやバスケットの植えj替えをしないといけなくなりました。

 

 

バスケットのポーチュラカも枯れ果てました。少ない土でも真夏の暑さに耐えて半年近く花をつけていました。バスケットをひっくり返すと、細かい根っこがぎっしり詰まって、こうやってわずかな水分も無駄にしないで吸収してたのでしょう。

 これはパンジーに入れ替えます。

 

 

 花のついた苗を買ってきたのですが、植えて2週後に摘芯をしたところです。花の二節下で茎を切ります。

 せっかく咲いている花を切ってしまうのは、気分的に抵抗がありますが、ざっくり切ります。いちばん上の写真が切った花びらです。

 しばらくは花が無くなって丸坊主になりますが、切った茎から新たな花茎が2倍に増えて出てきます。

 下が2週間後のすがたです。

 

 

 プランターには秋の始めに、サフィニアの苗を植えました。これも摘芯をしてみて、2株はうまくいきましたが、他の2株は根に悪い虫がついたか、土が気に入ってくれなかったか、枯れてしまいました。

 

 

 上がうまく行った方、こちらはまだ置いておきます。

 下は枯れたほう。こちらの2株は植え替えます。

 

 

白と赤のガーデンシクラメンにしました。

その左右は、ハツユキカズラ。これは去年のプランターから引き続いて、使い回しています。

 名前に「雪」とあるから、冬が得意なシーズンで、夏は苦手なのかと思ったら、じっさいはその逆で、冬のあいだはほとんど成長せず、いっぽうこの夏の猛暑にも負けずあちこちに枝を伸ばして、壁に這い上っています。

 以前はヘデラなどのツタを植えたこともありますが、このハツユキカズラの方が、見た目がスッキリしているので、最近はあちこちの玄関先などで見かけます。

 

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