【ハセツネレポ ~Finish】
月夜見駐車場に到着。
ここでは唯一の補給を受けられます。
頂けるのは水分1.5Lで、水かポカリを選択できます。
ただ、寒かったせいか、ここまで水分をあまり消費していません。
背中のハイドレ1.7Lが空になっただけで、ソフトフラスク3本分1.2Lは全くの手付かず。
ここから先、水場もあることを考えれば、水分を貰っても荷物になるだけかもしれません。
しかし、山では何があるか分からない。
貰えるものは、貰っておこう。
500mlペット3本、全て水を頂きました。
続けて、荷物の整理。
ブルーシートが敷いていますが、雨のせいでただの水溜まり。
腰を下ろして休もうという人は、誰もいませんでした(汗
貰ったペットボトルをハイドレに移し替える。
ジェルを前ポケットに移す。
そして、暗かった腰のブラックダイヤモンドの電池を交換。
すると、見違えるような明るさに。
使い古した充電池を入れていたのが悪かったようです。
ここからは頭と腰の、ライト2台体制で進みます。
さて、荷物整理で立ち止まっていると、どんどん体温が低くなっていく。
身体が、寒さで震えてくる。
「体が震えて、寒いよね~」
と、エイドスタッフさんの労いの言葉。
ご心配頂き、有難うございます。
疲れて休みたい気持ちもありますが、身体を温めたいし、
どちらにしろぬかるんで腰を落ち着ける場所なんてない。
さっさと次に進むのが得策です。
と言うことで、10分ほどの滞在後、そそくさとコース復帰。
しかし、月夜見からの初っ端の下りが凄い状況。
前を走るランナーさんの、滑った後がいたる所に。
どこに足を着いても、コケる予感しかない…。
案の定、何度もすっ転ぶ私。
終いには、転んで手を付いた先に、イガグリが。
むき出しの指に、棘が刺さる。
どこの、猿カニ合戦だ。
まさに踏んだり蹴ったりです(涙
へっぴり腰で月夜見の下りを降りる。
続けて、御前山への登りに取り掛かります。
第2関門を過ぎてからの、登り返し。
疲労が溜まっている後半。
人によっては最高地点の三頭山よりもキツイとの評です。
実際に多くのランナーが下を向き、とぼとぼと登っている。
雨は降り続け、足元はドロドロ。
ウンザリするような急登を、カメの歩みで進めていく。
上を見上げると、先行するランナーのライト光が、遥か上方に見える。
まだ、あそこまで登らないといけないのか…。
ゾンビ状態で登り続けること数十分。
やがて、明るい誘導灯とスタッフさんの声が聞こえてくる。
23:29、やっと御前山山頂にたどり着きました。
一休みする間もなく、下りへ突入。
御前山の山頂近くは、登りも下りも木段です。
個人的に木段は苦手なのですが、今回ばかりはドロドロのトレイルよりマシです。
御前山からは大ダワまで下り。
本来なら気持ちの良いトレイルの下り。
しかし、この日は泥で滑りまくり。
折角の下りなのに、全く走ることができません。
走れないと、体が冷えてくる。
何一つとして、プラスになるような状況は無く、ただひたすらに追い込まれていきます。
時刻は0時を過ぎ、日付を跨ぐ。
奥さんは、家で寝ているだろうか?
こんな深夜に、俺は一体、何をやっているんだ…。
自分自身の悲惨な状況に、もう笑うしかありません。
そんな精神状況の中、なんとか大ダワに到着。
時刻は0:21。
トイレに立ち寄った後、最後の山場となる大岳山に向かう。
大岳山までは距離4kmで100m程の登りですが、
後半になって疲れがピークの中、御前山をやっとの思いで越えた所での登り返しは、心底ツライ。
前を行くランナーに付いて、黙々と登る。
しかし、大岳山の登りは更に厳しく、登山道は鎖場へ。
必死に脚を踏ん張り、岩を乗り越える。
もうすぐ山頂か?という所で、腕のガーミンから聞きなれない音がする。
見てみると、画面がブラックアウト。
12時間ちょっとで、ついにガーミンの電池が切れました。
ここから先は、距離も時間も分からない。
が、もはやそんなものはどうでもいい。
とにかくフィニッシュに向けて、進んでいくしかない。
そして、ついに大岳山山頂に到着。
まだこの先、日の出山などもありますが、大きな登りは無く基本下りです。
但し、水溜まりだらけの下り道。
更には、濡れてツルツルになったガレ場。
走ろうにも、走る気力が湧かない。
しかし、大岳山の下り切ると、道は広く、緩やかに変化。
とぼとぼと下っていた体に鞭を入れ駆け出すと、まだ走れる。
前後にランナーの姿は見えず、とても心細い状況ですが、暗闇の中を一人快走します。
そして、そのままの勢いで第3関門御岳山を通過。
【第3関門通過】13時間03分05秒
関門通過後、道は整備されて走りやすい。
泥で滑って走れなかった分、ここで鬱憤を晴らします。
前を行くランナーを、一人また一人と追い抜きつつ、
ついに日の出山への登りへ。
登りと言っても、ここまでの道程を思えば、たいした登りではありません。
最後の階段を登り、ついに日の出山に到着。
晴れていれば美しい夜景が見えるところですが、今日は夜景の「や」の字も無い。
滞在していても全くの無意味なので、そそくさと下りへ向かいます。
麻生山を越え、金毘羅尾根へ。
ここらあたりは緩やかに下ったり上ったりで、走りやすい。
降り続ける雨水が溜まり、沼と化した登山道ですが、
フィニッシュが近づいていることを思えば、もはや気にするほども無い。
構わず水中に足を突っ込み、勢いで超えていきます。
走り続け、残り2km地点。
誘導を左へ。
「あと1km」の看板。
ついにここまで来た。
やがて、山道を終え、アスファルトのロードへ出る。
足裏から伝わる、久しぶりの感触。
残る力を全て出し切り、爆走。
そして、見えてきたハセツネの幟。
五日市会館へ帰ってきた。
暗い山道を乗り越え、煌々と輝くフィニッシュゲートへ。
過酷な状況の中、ついに71.5km、累積標高4582mを走り切ることができました。
【記録】14時間58分46秒03