【大室山バーティカルレポ 久保分岐~Finish】
分岐で声援に押され、更なる登りへ。
久保分岐までが一つの目安。
この後は、若干傾斜が緩やかになる部分が出てきました。
急な傾斜の間をつなぐ、緩やかな登り。
「緩やか」とはいっても、比較的な話。
常時激登りであることに変わりなく、走れる部分は少ない。
今回、トレイルシューズではなく、軽量化を狙ってランシューにしました。
しかし、自分にとってはこれは失敗だったかもしれません。
大室山の急斜面に、シューズが滑って登りにくい(涙
必要以上に、足の筋肉を使っている感じです。
スパイクの効くトレイルシューズなら、もうすこし走れたかもしれません。
スタートしてからここまで、すでに多くの後発ランナーに抜かれました。
ひょいひょいと登って行く、その様子。
別の重力が働いているとしか思えない、トワイライト・ゾーン。
ゼッケンを見ると、50代のランナーの様子。
軽い足取り、やや小股で駆け上がっていく。
登りが緩やかになった所で、しばらくそのランナーさんの後ろに付き、コバンザメ作戦で登る。
小股で走る前走者に対し、私はややストライド大きくパワーウォーク。
スピードは、全く同じ。
しかし、徐々にきつくなってくる。
歩きと走りと、どっちが良いのだろう?
いや、単純に私の脚力が弱いだけか。
再び傾斜がきつくなったところで、ちぎられてしまいました。
もっとも、私も抜かれてばかりではない。
負けじと何人かのランナーをパスさてもらいました。
ただ、一人パスするのに、ものすごい労力を使う。
今回のコースは道が狭く、ほぼシングルトラック。
必死に登っているランナーの脇を通って前に出るのは、それ以上の走力が必要になります。
しばらく後ろに付き、ここだ!と思った場所で、
「右から行きます!」
など、声をかけつつ、大股で一気に前に出る。
前に出るだけで、もうアップアップ。
でも、パスした手前のんびりするわけにもいかず、そのままのスピードでしばらく登る。
そんなことを繰り返していると、額から大量の汗。
疲労困憊で下を向いて歩いている為、汗がサングラスの内側に落ちる。
視界が悪くなり、ますます歩きにくい(涙
どこまで登ればいいのか。
いまどれくらい登っているのか。
手元のエプソンで高度を確認しながら登る。
必死に登っても、先刻から50m程度しか登っていない。
そのうち、あまり高度を見ないようにしました。
標高1100mを越えたあたりの中間点。
ポケットからMagOnを取り出す。
短期決戦のレースで、どれほどの意味があるか分かりませんが、とにかく気分を紛らすため、登る以外の何かをしたい。
レモンフレーバーの酸味で、何となく疲労回復したような気分を味わう。
実際の体は、もう悲鳴を上げ続けています。
やがて、標高1200mを越えたあたり。
徐々に霞がかってきました。
気温も低い。
通常ならば肌寒いくらいでしょうか。
私にとっては天然のクーラー。
汗だくの暑い体が冷やされます。
それでも、ひたすら続く急斜面。
まだか?
まだ、登らないといけないのか??
標高1400mを過ぎたころ。
上から下ってくる人の姿。
既にフィニッシュし、下山している先行ランナーの皆さん。
頂上に近づくにしたがって、フィニッシュしたランナーの応援が受けられる。
バーティカルレースの醍醐味です。
「もうすぐフィニッシュだよ!」
「最後まで頑張れ!!」
そんな声援を受け、ラストスパートに入る。
上を見ると、三人のランナーの姿。
追いつけるか??
何でもいいから、とにかく上を目指すのみ。
傾斜は相変わらずですが、歯を食いしばって走りにかかる。
脚は疲労物質が溜まり、ガクガク。
心臓もバクバクですが、これで最後だと自分に言い聞かせ、ラストスパート。
何とか一人パス。
その先の二人のランナーも、ラストスパートをかけている。
抜けなくとも、自分の全てを出し切るだけ。
ついに木々の間から、頂上が見えてきた。
最後の斜面を、這いつくばるように登り切る。
自分の持てる力をぎりぎりまで吐き出し、
激登1100mのフィニッシュラインを越えることができました。
記録:1時間00分11秒
部門別:20位
男女別総合:46位