うたかた 9 | 嵐さんに寄せる想い~ここママの妄想小説

嵐さんに寄せる想い~ここママの妄想小説

嵐さんが大好き。
メンバー全員大好きですが、
特にも相葉くんに惹かれてやまない櫻葉erです。

家族の反対を押し切り、姉さんが家を出て行ったあの日から12年。



姉さんが亡くなったあの日は、例年より早い梅雨入りのせいで冷たい雨が一日中降っていた。



大人達が葬儀の準備に追われる中、その少年は部屋の隅で俯いたまま、まるで置物のように微動だにせず座っていた。



この子が姉さんの……



少年の前で静かに膝を付くと、気配を感じとった少年の肩がビクリと揺れた。



「相葉雅紀くん……だね?」



出来るだけ穏やかな声で訊ねると、少年は俯いていた顔をゆっくり上げた。



ああ……似ている



目許が、鼻が、口許が


初めて会った時の姉さんにとてもよく似ていた。



違うところがあるとするなら、若干色素の薄い髪色。



それが誰に似てるかなんて、想像するつもりもなかったけど。



「あなたは?」


「俺は……」



「俺の名は櫻井翔。

君のお母さんの弟で、君の叔父さんだよ」


「オレの、おじさん?」



少年が不思議そうに首を傾げた。


着ている服は中学の制服なのに、その表情はどこか幼くて、とてもアンバランスにも見えた。



「君はこれからうちに来るんだ。

俺と一緒に暮らすんだよ」


「おじさんと一緒に?」



今日会ったばかりの男に突然そんなことを言われて、少年が戸惑っているのは明らかだった。



でも、亡くなる前


姉さんに頼まれた。



雅紀を頼むと


守ってくれと


そして、自分の分まで幸せにしてくれと



それが姉さんの望みなら



「雅紀……」


「…………」


「俺と一緒においで」



そっと伸ばした手をじっと見つめ、少年は小さく頷いた。








つづく