「櫻井先生、次の患者さんで最後ですよ」
「わかった」
明日が祝日で、そのま土日。
診療所も連休になるせいか、昼休みに舞い込んだ急患を皮切りに、午後はいつも以上に患者が多かった。
「まあ、重症患者がいないだけ良かったけど」
全員を診終わる頃には、表に掲げてる診療時間を1時間近く過ぎていた。
「みなさん、今日も一日お疲れ様でした」
気をつけて帰ってくださいね。
「お疲れ様でした!」
「大島さん、久しぶりにご飯行きませんか?」
「いいわね!何処いく?」
「そうだ!池脇さんもどうですか?」
「ごめん!うちは猫ちゃんが待ってるから」
「それなら、野間口さんは?」
「それならってなんだよ、それならって!」
俺もカミさんが待ってるから真っ直ぐ帰るよ。
「じゃあ、先生お疲れ様でした!」
「はい、お疲れ様でした」
いくら仕事で帰りが遅くなったとはいえ、明日から休みだと思えば、みんなの足取りも軽い。
もちろん俺だって……と、言いたいところだけど
「はぁぁぁ……」
マサキを誘うつもりが、結局誘えずじまいで
「こんな日は、飲んで早めに寝るしかないな」
ああ、なんともつまらない。
ひとりトボトボ歩きながらアバートに帰ると
「あれ?」
アパートの前に、すらりと伸びた影を見つけた。
つづく