社長は奥様と別れ、雅紀さんのお母様と一緒になるつもりだった。
しかし、プライドの高い奥様がすんなりと身を引くわけもなく、話しはどこまでも平行線のまま。
そんな中、社長は突然居なくなられた雅紀さんのお母様を必死に探そうとしていたが
そんな時、奥様が流産してしまい……
「流産……?」
流星のお母さんは、父さんの子供を妊娠していた?
奥様自身、妊娠には気づいておらず
医師からは、妊娠初期の流産は赤ちゃんの方に原因があるのだと言われたが
奥様は、自分が流産したのは全て夫である社長のせいだと責め立て
社長も、わが子がこの世に生まれて来ることが出来なかったのは自分のせいだと自責の念に駆られ
お二人の間に出来た深い溝。
それから社長は、これまで以上に仕事一筋になってしまった。
「それじゃあ、アイツは……?」
私の隣りにいた潤さんが「アイツ」と言ったのは流星さんのこと。
ここにいる誰もが流星さんの出生の真相を知りたいと思っている。
たとえそれが、流星さんにとって辛くて哀しい現実だとしても……
「流星さんは……」
「オレは母親が浮気して出来た息子だよ」
私の言葉を遮るように、流星さんは自ら自分の出生の秘密を打ち明けた。
つづく