飲んだり食ったりしていいからな。
今夜は有名パティシエのスイーツも
ずらりと並ぶらしいから
片っ端から試してみるといいぞ」
「はぁ……」
「はぁ……って、なんだ?どうした?
もしかして緊張してんのか?」
「それもありますけど……」
あの後、行き先も告げられずに連れて行かれた場所は、潤さんの友達がやってる店で
『悪いけど、コイツに似合うスーツ
見立ててやってよ。
それと、上のサロン空いてる?
ヘアスタイルもアレンジして欲しいんだけど』
『え……ちょっ……ちょっと、潤さん!?』
『言いたい事があったら翔さんに言えよ。
あれもこれも全部社長命令なんだから』
「社長命令」
そんなふうに言われたら、抗うことも出来なくて。
真新しい細身のスーツと意図的に手を加えられた髪型は
いつもの自分じゃないみたいで、なんだか落ち着かない。
そんな僕の気持ちを余所に、潤さんの車はパーティー会場に到着した。
つづく