厨房から顔を出した相葉くんが、一瞬驚いた顔をして
でも、すぐに口許を綻ばせた。
相変わらず知らない男に睨まれたままだったけど、時間がない俺は相葉くんに声を掛けた。
「あの…この間はわざわざ来てくれてありがとう。メシもすごく旨くて、作り置きしてくれた惣菜も…ホントに助かったよ」
「いいえ、オレの方こそ…突然押しかけちゃってすみませんでした」
「ううん、そんなことないよ。
俺、料理とかからきしダメだから…ホントに助かった。
でさ、そん時のお礼…っていうか
相葉くん、今度の日曜日空いてるかな?」
「えっ?」
「もしよかったら、俺と一緒に……」
「その日は無理だよ」
俺の言葉を冷たく遮ったのは、相葉くんの隣りに立つ男だった。
「その日、雅紀は予定があるからアンタとなんか出掛けねぇよ」
「ちょっ…潤!何言って…」
「だから、サッサと帰れよ。
さっきから仕事の邪魔なんだよ」
「潤!!」
潤と呼ばれた男は、相葉くんの声にフッと顔を逸らした。
「そっか…予定があるなら、仕方ないな…
こっちこそ、色々ごめん…」
「櫻井さん…」
「じゃあ……」
俺は相葉くんたちにくるりと背を向け、その場を立ち去った。
つづく