「ああ、今日はご馳走さま。
おやすみ」
「うん、おやすみなさい」
オレは笑って翔ちゃんを見送り、玄関のドアを閉めた。
一人ぼっちになった部屋。
オレは、ついさっきまで翔ちゃんがいた場所にペタンと座った。
翔ちゃんとキスをするのは今日が初めてじゃない。
今までだって、キスなら何度もしてきた。
今日だって先に仕掛けたのはオレだけど、翔ちゃんはいつだってちゃんと応えてくれる。
でも、それだけなんだよね・・・
オレはあのまま押し倒されても全然構わなかったのに
オレを抱き締める翔ちゃんの手は、いつも何かを戸惑っていて・・・
静かに離れていった唇。
『翔ちゃん・・・?』
思わず名残惜しそうに呼んでしまった。
翔ちゃんはオレのこと、本当はどう思っているの?
オレとひとつになりたくはないの?
「翔ちゃん・・・」
ローテーブルに突っ伏して、大好きな人の名前を呼んだ。
たった今別れたばかりなのに、もう会いたくて仕方ないよ・・・
つづく