・太陽フレアの100万倍、超巨大フレアの初期観測に成功
アストロアーツ5月29日付記事、元はJAXA宇宙科学研究所です。
太陽フレアの100万倍、超巨大フレアの初期観測に成功 - アストロアーツ (astroarts.co.jp)
概要>国際宇宙ステーションの全天X線監視装置「MAXI」とX線望遠鏡「NICER」を組み合わせた観測で、恒星フレアが初期段階から観測された。その規模は、過去最大の太陽フレアの100万倍に達するものだった。
>恒星が起こすフレアは、恒星の外層大気で磁場に蓄積されたエネルギーが突発的に解放される爆発現象だ。今月10日前後には太陽で大規模なフレアが連続して発生し、これによって猛烈な磁気嵐が起こって日本などで低緯度オーロラが観測された。
フレアは、「恒星の外層大気で磁場に蓄積されたエネルギーが突発的に解放される爆発現象」とのことです。
単なる爆発現象ではなく、磁場に蓄積されたエネルギーの解放というのがポイントですね。
先日の大規模太陽フレアについては次の記事をご覧ください。
大規模太陽フレアとその影響 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
ここで、アストロアーツ掲載の上の画像をご覧ください。
NASAの太陽観測衛星SDOが撮影した、11日(日本時)に発生した太陽フレアです。
X5.8/1.5はフレアの強度を表し、最も強いクラスであることを示しています。
>フレアはオーロラ発生の引き金となる一方で、通信障害や人工衛星、有人宇宙活動などへの悪影響というリスクももたらす。こうしたリスクを定量化するためには太陽だけでなく、他の恒星のフレアも観測し研究を進める必要がある。しかし、恒星フレアは規模が大きいほど発生頻度が低くなることもあり、宇宙のいつどこで起こるかわからない恒星フレアの発生を待つのは非効率的だ。
フレアは人間の文明活動に重大な影響を及ぼすので、定量的に研究しておく必要がありますが、太陽だけではデータ不足です。
ただ、宇宙のどこかでフレアが生じるのを単に待っているのでは、確かに非効率ですね。
>多数の天体の常時監視と個別天体の詳細観測を両立させるため、東京大学の栗原明稀さんたちの研究チームは、国際宇宙ステーションに搭載されている日本の全天X線監視装置「MAXI」とNASAのX線望遠鏡「NICER」を連携させて、恒星フレアなどによる突発的なX線増光を起こした天体を素早くとらえるシステム「MANGA(MAXI and NICER Ground Alert)」を開発し、観測を行ってきた。
栗原明稀(くりはら・みき)さんは、千葉大の学部から東大院に進学して現在博士2年というご経歴で男性です。ホームページは次。
実は、栗原さんの地元の木更津にある将棋関係サイトの9年前の画像に、同姓同名で外見もよく似た少年が載っているのですが、栗原さんの現在の趣味には将棋は載っていません。気になります・・・
マンガシステムですか。
その後継はアニメシステムになるのかな(^^;
ここで、アストロアーツ掲載の下の画像をご覧ください。
国際宇宙ステーション搭載のMAXIとNICERの姿です。
クリックしてもこれ以上拡大はしないのが残念。
>このMANGAシステムを利用して、2020年8月17日、太陽フレアより桁違いに大きいフレアを起こすことが知られている近接連星系「りょうけん座RS(RS CVn)型連星」の一つである「おひつじ座UX」のフレア初期の増光がMAXIにより検知され、そのわずか89分後にNICERによる詳細な追観測が行われた。
おひつじ座は秋の終りの星座で、トレミーの48星座の一つ。
一番明るいアルファ星ハマルが唯一の2等星で、あまりパッとしませんが、そのわりには黄道十二星座の一つとして有名です。
>その結果、MAXIとNICERがとらえたフレアの規模が、過去最大の太陽フレアの100万倍近いものだったことが明らかになった。また、フレアによるエネルギー解放直後のX線エネルギースペクトルの連続成分の情報から、プラズマの温度とX線光度の変化に時間差が生じていることがわかった。これはフレアの際に見られる、磁力線が恒星表面からアーチ状に立ち上がる「フレアループ」内のプラズマ形成の時期をとらえていたことを示唆するものだ。フレアループのサイズは太陽半径の約4倍に達していて、その規模は典型的な太陽フレアスケールの約100倍と見積もられている。
「過去最大の太陽フレアの100万倍近い」のですか。
そんなフレアがもし太陽で生じたら、現在の文明は相当の被害を被るでしょうね。
恐ろしいことです。
フレアループのサイズが太陽半径の約4倍で、その規模は典型的な太陽フレアスケールの約100倍というのも凄い話です。
>今回のデータの解析からは、フレア発生直後のプラズマが電離非平衡状態で説明可能であることも示されている。研究チームでは今後、「XRISM」等の他のX線観測衛星との同時観測を行い、電離非平衡プラズマの初検出を目指すという。
電離非平衡プラズマですが、プラズマとはそもそも電離しているものなので「白い白馬」的重複感があり、「電離」を付けなくても通じるものの付けても不自然ではないようです。
電離非平衡プラズマとは希薄なガスが衝撃波などで加熱されてできたプラズマで、電子とイオンの温度が異なる状態が長く続きます。
若い超新星残骸などがその典型とされます。
フレアに関する研究がさらに進むことを期待します。